さーん
たーくんはキョトンとしています。
「きみはだれ?」
「まっ!」
女の子がぴょんとはねます。
その赤いニットのぼうしと手ぶくろは、どこかで見たおぼえがあります。
たーくんはかんがえました。
「きみは、まだしゃべれないの?」
「んっ!」
女の子がまたぴょんとはねます。
たーくんはかんがえます。
こんなちいさくてかわいい女の子なら、いっしょにあそんだら、どれだけたのしいでしょう。
「ねえ、いっしょに雪だるま、つくる?」
「んま!」
女の子がとびはねました。
つくる!
って言ったのです。
ふたりは雪だるまをつくりました。
雪玉をころころころころ、いっしょにおします。
たーくんはきづいてました。
「その手ぶくろ、ぼくのとおんなじだ」
「んー?」
女の子はふしぎそうにたーくんを見ます。
まっ赤な手ぶくろ。
それには、手のこうのところにおおきな雪のがらがぬいこまれていて、かっこいいのです。
女の子の手にはちょっと大きくて、ぶかぶかになっています。
「ぼくの手ぶくろは、いまは、ないの」
雪玉をおすたーくんの手は、つめたくてまっ赤になってます。
「いもうとの、りーちゃんにかしてあげたんだよ」
「んー?」
「りーちゃんはねー、かわいいんだよ。まだちっちゃくて、いっしょにあそべないけど、あそべるようになったら、いろいろなことをねー、いっぱいね、おしえてあげるんだ」
「ま!」
そうして、たくさん雪玉をおして、おおきな雪玉がみっつもできました。
それをふたりでえっちらえっちら、おうちのげんかんに、みっつかさねて、ついに雪だるまができました!
「できた!」
「んーま!」
ふたりの雪だるまは、目のところにきれいな黒い石がついてて、はなと口はほそい木のえだ、頭にはお空みたいに青いバケツがのっていて、ニコニコしてておしゃれです。
「うでをつけなきゃね!」
「ん!」
おふろのマキおきばから、ちょうどいい木を二本もってきて、それを体につけると、雪だるまは今にも元気いっぱいでうごきだしそうです。
「かんせー!」
「まんまー!」
ふたりはうれしくなって、ぴょんぴょんはねました。
そこでたーくんはいいことをおもいつきます。
「そうだ、うでにぼくの手ぶくろをつけてあげよう! そうしたら、青いぼうしと赤い手ぶくろで、この雪だるまはすごくかっこよくなるよ!」
「ん!」
「ほら、きみのぼうしと手ぶくろと、おんなじ色になる!」
「ま!」
ふたりは大よろこびです。
「じゃあ、とってくるね。ここでまっててね!」
「ん!」
たーくんが家にはいり、りーちゃんのいる子どもべやにはいります。
「りーちゃん手ぶくろかえしてね」
ですが、そうしてベッドをのぞくと、そこにりーちゃんはいませんでした。
「りーちゃん?」
りーちゃんは赤ちゃんなので、自分ではまだうごけません。
「あれ?」
たーくんはかんがえました。
「りーちゃんがいないし、手ぶくろもない」
お父さん、言ってましたよね。
そうです、赤んぼうは、きゅうに立ってあそびだすのです。
だからりーちゃんも、きゅうにどこかへ行ったにちがいありません。
たーくんは家じゅうをさがしたけれど、りーちゃんは見つかりませんでした。
「あれえ? りーちゃんどこ?」
とびらはしまったままなので、お外には出てないはずです。
たーくんは、げんかんのまえの、雪だるまを作ったとこにもどって、女の子にいいました。
「ごめんね、りーちゃんがいないんだ。手ぶくろも、なくなっちゃった」
ところが女の子もいません。
「あ、手ぶくろ」
雪だるまには、女の子がしていた手ぶくろがつけられていました。
それは、青いなバケツとよくにあってて、雪だるまを今にもうごきそうに見せています。
「あの子は、どこにいっちゃったんだろう」
たーくんは、ふしぎそうに、くびをかしげます。
ププー。
門のすぐそこで、お父さんの車のクラクションが鳴らされました。
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