にっ

 ヒーターのあたたかい風をうけながら、りーちゃんはたーくんの赤い手ぶくろをいじります。

 まどのそとのちゅう車じょうでは、たーくんとお父さんが雪だるまをつくってますけれど、まだつかまり立ちもできないので見えません。


「たーくん、そっちにも雪があるよ!」

「うん!」

 二人は楽しそうにがんばって、雪だるまをつくっています。

 お父さんがシャベルで雪をあつめて、たーくんが大きな雪の玉をころがすやくわりです。

 ころがすと下の雪が押しつぶされてくっついて、雪の玉はどんどん大きくなってゆきます。

「たーくん、手ぶくろしないままで、お手手はつめたくないかい?」

「すこしつめたいけど、だいじょうぶ! 手ぶくろ、りーちゃんもきにいったみたいだから」

「りーちゃんと、早くいっしょに遊びたいね」

「うん! そうしたらぼく、いろんなことをおしえてあげるんだよ!」

「今はまだ寝てるだけだけれど、赤んぼうはね、あるとき急に立って遊びだすんだよ?」

「ほんとうに?」

 たーくんがきくと、お父さんはじしんまんまんで答えます。

「本当さ! たーくんだって、そうだったんだよ」

「うーん。おぼえてないや。でも、りーちゃんとはやくあそびたい」

「そうだね」

 そんな話をしながら、たーくんとお父さんは雪玉をコロコロコロコロと、ねっしんにころがしました。


 お父さんのポケットで、スマートホンがなりました。

 たのしい音楽で、お母さんからだってわかりました。

「はいはい」

 お父さんが通話にでます。

「今スーパー? りょうかいむかえにあがります」

 お父さんはそう言って、電話をきりました。

「たーくん、お母さんをむかえにいくから、お留守番をたのめるかい?」

「うん!」

「門はあけちゃだめ。出入りするのは勝手口から、人がきたら家の中にはいってインターホンで、カギもあけちゃだめだよ? できるかな?」

「うんできるよ!」

「じゃあ行ってきます」

「いってらっしゃい!」

 お父さんは車でおむかえにゆきました。


 たーくんは、二人が帰ってくるまでに、もっと大きな雪玉をつくって雪だるまをかんせいさせて、おどろかせてあげようと思いました。

 せっせと新しい雪玉をころがしていると、せなかの方からわらい声がします。

 たーくんがふりむくと、そこに小さな女の子が、顔をだしていました。

「まっ!」

 ぴょんととびはねて、女の子がとびでます。

 まっ赤なニットのぼうしと手ぶくろの、かわいらしい子です。

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