ゆきんこのてぶくろ
ハシバミの花
いち
きのうの
「おそとまっしろだ」
たーくんが、
「はーっ」
ってガラスにいきをはくと、まどガラスも
「れっどー、ぶれいくん!」
たーくんは、お
レッドブレイクンは
いちばん
赤い手ぶくろをおねだりしたのだって、レッドブレイクンみたいになりたいからなんですよ。
「たあっ、たあたあっ、たあああ!」
そのままブレイクンファイブごっこです。
手足をふり回して、おそいかかる敵たちを次々にやっつけます。
「みんな! ぼくのもとにあつまるんだ! ふぁいぶーあろー!」
部屋にいるのはたーくんとまだあかんぼうの妹だけ。ベッドで天井を見あげてる妹は、もちろんいっしょにあそんではくれません。
「りーちゃんはやくおーきくなってあそぼーねー」
ベビーベッドのさくにもたれ、ミルクのにおいのするりーちゃんの顔をのぞきながらたーくんは言いました。
「ぼく、れっどがいちばんすきだけど、りーちゃんなられっどさせてあげてもいいよー」
りーちゃんは、キラキラした目でたーくんを見ています。
「ほら、れっどのじゃすてぃーふぃすと!」
お気にいりの赤いてぶくろを、りーちゃんに見せてあげます。
「ほら、ここに、ぼくのなまえがかいてあるでしょ。おとうさんが、マジックでかいてくれたんだよー」
りーちゃんはきゃらきゃらとわらって「んまんまうー」と言いました。
まっ赤な手ぶくろは、手のこうのところに大きな雪のがらがぬいこまれていて、かわいくてかっこいいのです。
りーちゃんもたーくんの手ぶくろが気にいったらしくて、小さな手でつかんで、そのまま口にいれてしまいました。
「あーあだめだよりーちゃん。手ぶくろは食べられないよ」
手ぶくろをとり上げようと引っぱってみましたが、りーちゃん、ぎゅっとつかんではなきません。
つよく引っぱったら、りーちゃんの生えかけの小さな歯がぬけそうでこわいので、たーくんは
「しかたないなー、ちょっとだけかしてあげるよ」
と、あきらめてそのままにしてあげました。
そこにお父さんがやってきて言いました。
「たーくん、雪だるまつくろうか!」
「つくる!」
「雪いっぱいふったから、大きいのつくれるぞ!」
「こんなのつくろうよ! こーんなこーんな、ぼくよりもおおきいの!」
お父さんはたーくんにジャンパーをきせながら、
「たーくーん。手ぶくろは?」
「りーちゃんに、かしてあげてる」
「いいのかい?」
たーくんは少しかんがえて言いました。
「うーん、りーちゃんだからいいよ」
「そうかい。えらいぞお兄ちゃん」
「うん!」
二人が部屋をでてゆくのを、りーちゃんがじっと見ています。
キラキラした目で、たーくんの手ぶくろをしっかりとにぎりしめていました。
近況ノートにイメージイラストあり↓
https://kakuyomu.jp/users/kaaki_iro/news/16817139559115093354
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