第19話 原動力
同年代よりも苦労を背負った分、私の原動力は文学へと突き進み、シゲさんとの日々を基にした小説が地元主催の文学賞に佳作入選を果たしたとき、本当はお礼が言いたかった。
シゲさんに報告したかった。
それは叶わなかった。
シゲさんはその前に亡くなられたからだった。
シゲさんはハンセン病の長年における隔離政策の実態を社会に訴えるために国を相手取り、勝訴した。
日本では90年代まで優生保護法が施行されていたからだ。
生前、シゲさんは「もう、今では国を恨んではいない」とおっしゃっていた。
偏見と差別。
それはコロナ禍に見舞われる現代でも共通項は多くある。
感染者に対して誹謗中傷、差別、偏見のニュースを聞いたとき、真っ先に私はシゲさんのことを思い出した。
みんな差別をする心はある。
私にでさえもある。
みんなの心にもある。
ハンセン病の負の歴史を繰り返さないためにもコロナウイルスと正しく闘わないといけない、とシゲさんは私たちに教えてくださる。
シゲさんに教えてもらった分を私たちは生きる原動力にしなければいけない。
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