第3話 私の提案


 いちばん、幸いだったことは、あれほど苦しめていた、大きすぎる憂鬱が簡潔に言えば、三分の二ほど減ったという点だ。




 もちろん、失った年月も多いので、後遺症も癒え切ってはいない。


 ちょうど、病み上がりの状態なので、不便もまだ多くある。


 それでも、トラウマという大きな傷口にかさぶたが塞がり、その傷跡も消えようとしているのは大きな進歩だ。




 私の希望はこのEMDRが日本だけでなく、世界中の病院で風邪の診察を受けるように、手軽に受診できる世の中だ。




 精神科を受診するのはハードルが高い、という声は少なからずある。


 私のセカンドオピニオンの主治医の、現在の主治医の先生の専門は内科医なので、そのハードルも解消される。




 もし、かかりつけ医の下で、このEMDRを手軽に受診できたら、あらゆる悩みを抱えている人々、全員に有効なのではないか、と大いに期待する。




 何より、EMDRのいいところは、精神薬を頼らずにトラウマの治癒を目指すところだ。


 実際、多いときは十錠ほど飲んでいた、精神薬もEMDRを受診してからというもの、あと一錠を残し、近い将来、ゼロにする予定だ。




 EMDRは、解離性障害や複雑性PTSDを含む、トラウマ関連の障害だけではなく、うつ病や強迫性障害、パニック障害、パーソナリティ障害や摂食障害、統合失調症など、ありとあらゆる疾患に有効性があるのが強みだ。




 スポーツの面では選手にEMDRを施すと、パフォーマンスが上がり、失敗体験が減少する、とも報告されている。




 あらゆる分野でも有効なのだ。


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