Episode 8 Strongest

「つまりな、冒険者は大抵スクワッドっていう複数人のチームを組んでメイズに潜るんだ。そうすることで、よりお互いのカバーができて、生存率も上がるって訳。そんなことも知らなかったのか」


 あのあと、俺はジークにスクワッドの説明をしてもらっていた。


「でも一人で冒険者をやっている奴もいるだろ?」


「よっぽどの猛者はな。でも、駆け出しの俺たちが一人で潜ったら即死だな」


「そうなのか」


 スクワッドの事については知らなかったが、ここでジークに誘ってもらえたのは運がいい。


「有名なスクワッドはより高難易度の任務を受けられるしな」


「なるほど」


「いま、この都市で一番強いと言われているのが、ファンタジア・スクワッドとゲレティゲット・スクワッドだ」


 そう言って、ジークはそのスクワッドが掲載されている新聞を差し出す。


「なぁ、これなんだ?」


「あぁ。これはこのゲレティゲット・スクワッドのリーダーのティアラさんだよ」


「違うよ、その隣のこれ」


 新聞には、ティアラ・ルーデスという名前の横に<炎妃>と書かれていた。


「あぁ、それは異名だよ。ある程度の成果を上げた冒険者に与えられるものだ。ティアラさんの称号は炎妃フレイムエンプレスなんだ」


「へぇー」


「そんなことはいいとして、テオ。俺たちのスクワッド名はどうする?」


「うん?」


「スクワッド名だよ。俺と組んでくれるんだろ?」


「いや、ちょっと待ってくれ」


「なんだよ。組んでくれないのか?」


「そうじゃなくて、俺ジークに言わなくちゃいけないことがあるんだ」








「何だ、そんなことか」


「そんなことって、魔法が使えないのは冒険者にとって致命的だろ?」


「そりゃ無いよりはあった方がいいとは思うが、一昔前は魔法を使わない冒険者なんて別に珍しくなかったしな」


「そうなのか?」


「あぁ。でも、まだ冒険者登録できていないのは問題だな。お前のその師匠さんは、許してくれてないんだろ?」


「あぁ。もっと強くなるまでダメだって」


「困ったな」


「あぁ。困った」


二人で縛らなく悩んだ後、ジークはこう言い放った。


「でも、バレなきゃよくね?」






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

イビル・エクス・マキナ 黒崎灰炉 @HairoKurosaki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ