エピローグ
レイムス湖婦女襲撃事件 最終報告書
□首謀者
【ランドル・フライ】
連続強盗事件による強盗罪、及びマリー・ロビン殺人未遂罪にて逮捕、起訴される。
本部裁判の結果、爵位の剥奪及び実行犯同様懲役8年の刑を言い渡された。
また、損壊した建物及び器物の弁償費は被告人の私財をもって補填される。
留置場では酷く怯えた様子だったが、襲撃したのがアデル・ジェニーレンではなくマリー・ロビンであることが分かると、一転落ち着いた様相を見せた。
控訴はせず、粛々と受け入れているようである。
□事件関係者
【ダヴ・ジェニーレン】
<要注意:赤字で書かれ、二重に丸で囲まれている>
精神不安定により妄言を繰り返す。
被害者マリー・ロビンへの執着が凄まじく、決して情報を漏らさぬこと。
墳墓発掘罪及び警察官暴行未遂罪により逮捕。
16年前の殺人事件の秘匿罪についても捜査され、その過程で妻であったフィス・ジェニーレンの殺害容疑が浮上。
更には、レイムス湖の現場管理の責任者が遺体で発見され、その殺害容疑もかけられた。
捜査の結果、全ての犯罪に関与していることが判明する。
人望あるダヴ・ジェニーレンの凶行に、世間は大きな騒ぎとなった。
起訴後も反省の色は全く見えず、本部裁判で極刑が言い渡された。
【オウル・ロビン】
マリー・ロビンとの対面以降、感情が抜け落ちたかのように虚空を見つめていることが増える。
ランドル・フライの強盗及び殺人未遂の幇助罪、及び16年前の事件の犯行秘匿罪により逮捕。
懲役1年が課され、現在既に出所済み。
妻であるメイヴィ・ロビンの墓を移設して、東部の田舎町の長屋で細々と暮らしている。
すっかり髪が白くなり、元の様相が分からないほどに年老いているようだ。
近隣住民の話では、時折狂ったように「マリー!」と叫び声を上げているという。
東部第5警察署に巡回を依頼。
【アデル・ジェニーレン】
ダヴ・ジェニーレンの逮捕により、ジェニーレン男爵家は没落。
強盗事件による被害はランドル・フライにより補填されるも、新規事業立ち上げに多額の融資を受けていた為に、資産で補っても尚幾ばくかの負債を抱えた。
ジェニーレン男爵家の評判の良さから一転、あまりにも衝撃的な事件であった為、関係者であるアデルは忌避され行く手がなかなか決まらずにいた。
しかし事業で関わりのあった豪商の家で、善意により使用人として雇われることとなる。
仕事など一切したことがなかった為苦労しているようだが、少しずつ負債の返還を行なっている。
時折何かに怯えた様子を見せては、必死に謝罪している姿が見られると報告あり。
北部第3警察署にて引き続き注視する。
【クリフ・ミルヴァス】
モーガン・クロウ巡査への警察官暴行罪にて逮捕。
しかしクロウ巡査の証言により、起訴は取り止めとなる。
ジェニーレン男爵家に帰すも、そのまま消息を断つ。
今年に入り、王都の裏賭博場にて目撃情報あり。
ただし相当に荒れた容貌だったということで、真偽は不明。
現在当裏賭博場に違法取引の嫌疑あり。
近々家宅捜索を実施予定。
【リンジー・ビートル】
北部第3警察署からそのまま何かに怯えたように実家へと戻ったという。
ダヴ・ジェニーレンから違うドレスをマリー・ロビンに贈ったという証言を得たことで、改めてマリー・ロビンがモスグリーンのドレスを着用するに至った経緯を確認するために再度の事情聴取が行われる。
その過程で、リンジー・ビートルが無理にマリー・ロビンへドレスを着用させた疑いがかかり、逮捕には至らなかったものの厳重注意を行った。
リンジー・ビートルの両親は娘の所業に激怒し嘆き、良縁は難しかろうと、早々に彼女の結婚をまとめた。
現在、彼女よりも40は年上である北部商会連合長の後妻として家庭に入っている。
既に後継者は存在しており、日々夫の介護に明け暮れているという。
□被害者
【マリー・ロビン】→【リネット】
<マリー・ロビンの名に赤い取り消し線>
記憶は未だに戻らず。
事件の元担当刑事が開設した「クロウ探偵事務所」の所員として勤務。
元担当刑事であるモーガン・クロウと共に幾つかの難事件を解決に導き、警察内部の信頼は厚い。
本の知識は記憶を失っても健在のようで、マリー・ロビンの幅広い知識が捜査の一助になっているのは間違いない。
また似顔絵を描くという特技を持っており、目撃証言から犯人の顔を再現するという捜査を行う。
この方法は警察内部でも検討中。
<ここから力強く赤で何重にも丸で囲まれている>
事件発生より約3年後、「リネット・クロウ」と名前を改める。
文責:ピーター・ラーク巡査部長
誰がマリー・ロビンを殺したか 九重ツクモ @9stack_99
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます