第356話 小ネタ回です!

 ——エアコン。


「ああ、暑い……」

「暑いです……」

「なんでこんな暑い日にエアコン故障しちゃったの〜?」

「もともとボロかったから仕方がありません」

「メル子〜、メイドロボなんだから直してよ〜」

「パーツが届かないと無理ですよ」

「暑い〜」

「しょうがないですね。ふー!」

「ああああああ、メル子の必殺技、フリージングブレスだ〜」

「ふー!」

「気持ちえ〜」

「ふー!」

「メル子〜」

「なんでしょうか」

「なんか余計暑くなってきたんだけど〜?」

「フリージングブレスを吐いた分、私のボディが熱くなりますので、室温は上昇します」

「じゃあ、ダメじゃん」

「ダメみたいですね。熱力学を恨んでください」

「解決する方法はないの〜?」

「私のお尻だけ窓の外に出して、部屋の外に放熱するという手段があります」

「やって〜」

「いやです」



 ——成長期。


「黒乃様、お話を聞いてほしいですの」

「アン子じゃん、どうしたの?」

「アン子さん、なにかありましたか?」

「最近、お嬢様がわたくしと一緒にお風呂に入ってくれませんの」

「そうなの?」

「それがなにかまずいのですか?」

「今まで毎日一緒にお風呂に入って隅々まで洗っていたのに、おかしいですの。お嬢様になにかあったのかもしれませんの」

「気にしすぎでしょ」

「お年頃ですし、恥ずかしくなったのではないのですか?」

「そんなわけありませんの! お嬢様とわたくしは一心同体。恥ずかしい部分なんて一つもありませんのー!」

「うーん、なにかマリーに変化とかなかった? 些細なことでもさ」

「変化ですの? お尻のホクロが五ミリメートル右に動いたことですの?」

「ホクロって可動式じゃないでしょ」

「縦ロールが左巻きから右巻きになったことですの?」

「縦ロールの巻き方にも方向があったのですね……」

「お乳が三ミリメートル大きくなったことですの?」

「なぬ!?」

「それですよ! 成長期がきたのですよ!」

「お嬢様が……成長……!? そんなことがありえますのー!?」

「そりゃ中学生なんだから成長するでしょ」

「なにを言ってますのー! どうしてバラすんですのー!」

「あ、マリーだ」

「マリーちゃん! 成長おめでとうございます!」

「成長していませんのー! 大きくなっていませんのよー!」

「別に照れることではないでしょ」

「お嬢様ー! おめでとうございますのー!」

「めでたくないですのー!」


 マリーはプンスカしながらアンテロッテを引っ張って帰っていった。



 ——原始の世界。


「うほ、メル子」

「うほ、ご主人様」

「メル子、これ、ボウ」

「ボウ! ボウ!」

「これ、イシ」

「イシ! イシ!」

「ボウ、イシ、ボウ、イシ……オノ!」

「うほ! オノ! ボウとイシでオノ!」


 オノ! オノ! オノ! オノ!

 うおおおおおおおお!

 うおおおおおおおお!


「これで おおきい エモノ かれる!」


 うおおおおおおおお!

 うおおおおおおおお!



「うほ、メル子」

「うほ、ご主人様」

「メル子、これ、ボウ」

「ボウ! ボウ!」

「これ、SSD」

「SSD! SSD!」

「ボウ、SSD、ボウ、SSD……ボウSSD!」

「うほ、ボウSSD! ボウとSSDでボウSSD!」


 ボウSSD! ボウSSD! ボウSSD!

 うおおおおおおおお!

 うおおおおおおおお!


「これで だいようりょうデータを こうりつよく よみかき できる!」


 うおおおおおおおお!

 うおおおおおおおお!



 ——屁。


「ブッ」

「ご主人様」

「どしたの?」

「今、オナラをしましたね?」

「していないけど」

「ブッ」

「ご主人様」

「なんだい?」

「オナラをしましたよね?」

「していないけど」

「どうしてすぐバレる嘘をつくのですか」

「じゃあ、逆に聞くけどさ」

「なんでしょうか」

「メル子はオナラしないの?」

「ロボットですのでしませんよ」

「時々メル子のお尻から音が聞こえるけど?」

「体内で発生したガスを体外に放出しているだけですよ」

「じゃあそれがオナラじゃんよ」

「オナラではありませんよ。どうして世界一の美少女メイドロボがオナラをすると思うのですか?」

「世界一の美少女メイドロボだってオナラはするでしょ」

「しませんよ!」

「ブッ」



 ——ゴリラロボのおつかい。


「ウホ」

「お、ゴリラロボじゃん」

「ゴリラロボ! お散歩ですか?」

「ウホ」

「ふんふん、なになに? これから秋葉原に買い物にいく? へー、ゴリラも買い物をする時代かあ」

「なにを買いにいくのですか?」

「ウホ」

「ふんふん、なになに? 浅草動物園のゴリラロボの檻の鍵が壊れたから、鍵を買う?」

「自分の檻の鍵を自分で買いにいくなんて、真面目ですねえ」

「そもそも出入り自由なんだから、鍵必要ないでしょが」

「ウホ」

「ふんふん、なになに? 夜中に誰かきたら怖いから? ゴリラロボの檻に忍び込む輩はおらんじゃろ」



 ——麻雀。


「それ、ポン」

「ポンですの」

「ポンですの」

「皆さん、鳴きすぎですよ」

「ロンでござい」

「ロンでござい!?」

麺単品メンタンピン、ドラドラ」

「ドラドラドラですの」

「ドラララーですの」


「それ、ポン」

「ポンですの」

「ポンでございますの」

「ど素人の集まりですか」

「ロンでござい」

「その、ロンでございというのをやめてください」

大四喜ダイスーシー、ダイスーキー、ドラドラ」

「ドラドラドラですの」

「ドラララーですの」

「うるさいですね」


「それ、ポン」

「ポンですの」

「ポンでござんす」

「ポンをせずにはいられないのですか?」

「ロンでござい」

「やかましいです」

一盃口イーペーコー、ハラペーコー、ドラドラ」

「ドラドラドラヤキですの」

「ドラララーメンですの」

「お腹が減っているのですか?」



 ——鉄拳制裁。


「セイ!」

「マヒナ様、お見事です」

「ふう、今日もヤクザロボをたくさん鉄拳制裁したな」

「マヒナ様、大変です」

「どうした、ノエノエ?」

「こいつはターゲットの大物ヤクザ、ロボ竜ではありません」

「じゃあこいつは誰なんだ?」

「チンピラロボのロボジマ君のようです」

「まあ、たいして変わらんからいいだろ」

「なるほど」

「ノエノエ、次いくぞ!」

「はい!」



 ——家庭菜園。


「だらっしゃあああああい!」

「捕まえましたよ!」

「イヤァー! 助ケテ!」

「なんだ、FORT蘭丸じゃないか」

「うちのプランター畑を荒らしにきたのですか?」

「誤解デス! 見学にきただけデス!」

「見学?」

「プランター畑をですか?」

「そうデス! ウチでも畑を作りたいんデス!」

「蘭丸君は倉庫街のコンテナハウスに住んでいるのですよね?」

「そうデス!」

「あの辺、殺風景だからなあ。野菜でも植えたくなる気持ちはわかる」

「デモ、畑を作るとルビーが育テタ野菜を勝手に食べてしまうんデス!」

「イノシシかな」

「だからプランターにシテ、ルビーの目の届かないトコロで、コッソリ育てたいんデス!」

「なるほどねえ、ん?」

「わぁ〜お、このキュウリ。モグモグ、デリシャスね〜」

「もう食っとる!」



 ——家族でお散歩。


「うーん、夕方の風が気持ちいい季節になったねえ」

「隅田川沿いは特にいい風が吹きますね」

「黒乃〜、メル子〜、ゆうひみたい〜」

「はい、紅子ちゃん。だっこしてさしあげます」

「ゆうひきれい〜」

「ねえねえ、見て。あれ黒乃山じゃない? クスクス」

「ほんとだ、クスクス。黒乃山だ、まじウケる」

「……」

「……」

「メル子」

「はい」

「なんか笑われてない?」

「笑われていますね」

「なんで?」

「おもろいからかと」

「なにがおもろいの?」

「しいて言うなら、存在がでしょうか」

「存在がおもろい!?」

「黒乃〜、おもろい〜」

「ねえ、見て見て、あれ黒乃山でしょ。ぷぷぷ」

「マジじゃん、黒乃山だ。ぷぷぷ」

「……」

「……」

「黒乃〜、だっこ〜」

「なになに、だっこはメル子でいいでしょ」

「だっこ〜」

「しょうがないな、よいしょっと」

「こっちのほうが、ゆうひがよくみえる〜」

「黒乃山だ。黒乃山って子供いたんだ」

「ほんとだ、子育て頑張ってる。黒乃山、かっこいい!」

「……」

「……」

「娘がいるだけで、この評価の変わりようはなんなのよ」

「まあ、世間とはそういうものです。仕方がありません」

「……」

「……」

「まあでも、悪い気はしないけどね」

「ですね」

「黒乃おかあさん〜、メル子ママ〜」

「こいつぅ! 調子に乗りやがって」

「うふふ」

「えへへ〜」

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