第293話 作戦会議です!

マヒ「今からアインシュ太郎対策会議を始める!」

ノエ「みなさま、ご静粛に!」


黒乃「なになに、なによこれ?」

メル「なんですか、この会議は?」

マリ「なにが始まりますの?」

アン「マヒナ様、ノエ子さん、これはどういうことですの?」

マッ「おで とれーにんぐの とちゅう かえりたい」

蘭丸「シャチョー! ボク休みだったンデスよ!」

フォ「……ねむい」

桃智「先輩、ここどこですか?」

ルビ「わぁ〜お、だーりん、なんかたのしそうね〜」

ゴリ「ウホ」

チャ「ニャー」


マヒ「しずまれ! いいか重要な会議だ! 浅草の命運がかかっているんだぞ!」

ノエ「みなで対策を考え、浅草を救うのです!」

黒乃「えー? なによもう。てかアインシュ太郎ってだれよ」

メル「なにをした人なのでしたっけ?」

マヒ「お前らー! 忘れたのかー! 月を破壊しようとした理論物理学ロボットだ!」

ノエ「詳しくは第219話を参照してください!」


黒乃「そのアインシュ太郎がどうしたのさ」

マヒ「我々はずっと博士を追っていた。そしてようやくその尻尾を掴んだのだ」

ノエ「博士はこの浅草でなにかを企んでいるんです。それを阻止して博士を捕まえます」

メル「なにかって、なにを企んでいるのですか?」

マヒ「わからん!」

マリ「わからないんじゃ対策の立てようがございませんの」

アン「お嬢様の言うとおりですの」

マヒ「真面目に考えてくれ! みんなの安全にも関わっているんだぞ!」



マッ「おで あいでぃあ ある」

マヒ「マッチョメイド、どんなアイディアだ?」

マッ「みんなで きんとれ する そうすれば たいてい なんとかなる」

マヒ「さすがだ、マッチョメイド」

ノエ「はい、みなさん聞いてください。今マッチョメイドが真理を述べました」

メル「そういうのでいいのですか……」



黒乃「はいはい! じゃあ私も考えた!」

マヒ「黒乃山、聞かせてくれ」

黒乃「みんなで相撲の練習をすればいいんだよ! 大相撲パワーでアインシュ太郎を倒そう!」

マヒ「黒乃山、ふざけているのか?」

ノエ「黒乃山、今はそのような冗談を言っている場合ではありません」

メル「そうですよ、ご主人様!」

黒乃「なんでやねん!」



メル「私も考えました!」

マヒ「メル子、頼む」

メル「なにも戦うだけが対策ではありません。事が起きた後の対処も考えるべきです」

ノエ「なるほど、大切な視点ですね」

メル「有事に備えて、食料の備蓄をするべきですよ! 私が南米料理を作りますので、みなさんはそれを缶詰にしてください! 缶詰工場を作るのですよ! 缶詰で一儲けをするのですよ!」

マリ「商売の話になっていますの……」

マヒ「ノエノエ! すぐに工場の手配だ!」

ノエ「はい!」



ゴリ「ウホ!」

マヒ「ゴリラロボ。まさかバナナの備蓄とかいう案じゃないだろうな?」

ゴリ「ウホ……」

マヒ「ああ! すまん! 聞かせてくれ!」

ゴリ「ウホ!」

黒乃「ふんふん、なになに? 事が起きた場合を考えて、最高級バナナを冷凍保存しておくべき?」

ゴリ「ウホ!」

マヒ「やっぱり同じじゃないか!」

メル「ゴリラロボ! ナイスアイディアですよ!」



蘭丸「マヒナサン! ボクも考えまシタ!」

マヒ「FORT蘭丸、述べてみろ」

蘭丸「逃げるんデス! ミンナで無人島に逃げるんデスよ! ミンナで島で畑を耕シテ暮らしまショウ! 日の出とトモに起きて、日が沈んダラ寝まショウ! 野菜が収穫できタラ、宴をしマス! 最高デス!」

ルビ「ダーリン、無人島すきね〜」

マヒ「FORT蘭丸、逃亡主義者は冷凍保存の刑に処すぞ」

蘭丸「イヤァー!」



チャ「ニャー」

マヒ「お、チャーリー。案があるなら聞かせてくれ」

チャ「ニャー」

黒乃「ふんふん、なになに? 巨大ロボだよ、巨大ロボ? 巨大ロボがあればなんとかなるだろ? ギガントニャンボットを量産するんだ? ギガントニャンボットでハント博士をぺちゃんこにしてやるぜ? ガハハハハ、だってさ」

マヒ「私怨じゃないか!」

ノエ「しかし巨大ロボで備えるのはいい案です」



マリ「わたくしに名案がありますの」

アン「さすがお嬢様ですの」

マヒ「ほほう? 自信があるようだね」

マリ「おとり作戦ですの。アインシュ太郎は黒乃さんを狙っている節がありますので、黒乃さんを囮にしますの」

黒乃「私を!?」

ノエ「マリー、詳しく聞かせてください」

マリ「黒乃さんを全裸にしてカゴの中に入れますの。まんまとアインシュ太郎がカゴの中に入ったら、カゴに電流を流して気絶させて捕まえますの」

黒乃「それだと私ごと感電するんだが。全裸になる意味もわからんし」

マヒ「方法はともかく、黒乃山を囮にするのはアリだな」

アン「さすがお嬢様ですの」

黒乃「アリなわけないだろ!」



アン「わたくしも考えましたの」

マリ「さすがアンテロッテですの」

アン「黒乃様を全裸にして……」

黒乃「もうええわ」



フォ「……しい」

黒乃「フォト子ちゃん、なんて?」

フォ「……ボクの作戦を聞いてほしい」

マヒ「聞こうか」

フォ「……博士の似顔絵を描くの、うふふ。それを町中に張り出して情報提供してもらうの、えへへ」

ノエ「指名手配書ですね」

フォ「……あとはみんなの似顔絵も描いてあげる、うふふ。たくさん描いてたくさん町に張るの」

メル「楽しそうです!」

黒乃「全員賞金首みたいだなあ」



桃智「博士を捕まえるのも大事ですが、被害者を出さないようにするのも大事ではないでしょうか?」

マヒ「なるほど、ごもっともだ」

ノエ「どのようにして実現しますか?」

桃智「黒ノ木先輩が狙われているのなら、先輩を徹底的に守るべきです。具体的には私の部屋で先輩を保護します。一歩も外に出さないようにして、絶対に見つからないようにします。その間の先輩のお世話は全部私が担当します。ハァハァ」

黒乃「ヒエッ」

メル「却下です!」



鏡乃「黒ノ木鏡乃みらのです! 尼崎からきました! 中学生です! 今日は作戦を持ってきました!」

黒乃「また鏡乃きた!? 新幹線代はどうなってるの!?」

マヒ「鏡乃、どんな作戦なんだ」

鏡乃「はい! ドリル作戦です!」

黒乃「ドリル!?」

鏡乃「ロボットの腕をドリルと交換します。いざという時はこのドリルで戦います! 人間の腕もドリルと交換します! サイボーグです!」

マヒ「いい作戦だ。実際アタシの腕もドリルになっているしね」

黒乃「かっけぇ!」

メル「絶対にドリルの腕はいやです!」



ルビ「あいむすくりゅ〜、なかなかいい案でないね〜」

マヒ「ルビー、実は一番頼りにしているのが君だ。持ち前のハッキングスキルで博士の居場所を割り出せないのか?」

ルビ「やってるよ〜。でも博士は膨大な演算能力を持っててね〜、こっちの演算能力が奪われてるから、むずかしいね〜」

ノエ「なぜ博士はそんな演算能力を持っているのです?」

ルビ「どっかの巨大なシステムを乗っ取ってるのかもね〜、わったいんせいん〜」



黒乃「はいはいはい! また作戦考えた!」

マヒ「……まあ一応聞いておこうか」

ノエ「黒乃山、お願いしますよ!」

黒乃「まかせとけ! おっぱいだよ! おっぱいを……」



美食「女将、この作戦は本物か?」

マヒ「美食ロボ、みんなで考えているんだから本物に決まっているだろう」

美食「ほほう、では教えてくれ。本物の作戦とはなんなのだ」

マヒ「え? それは実現可能で、効果が高くて、即効性があり、安価で……」

美食「ふうむ、実現性か……そもそも作戦とはなんなのだ。会議室で考えたから作戦なのか? インドにも作戦はあるのか? この会議の作戦が本物と言ったからには答えてもらおう。まず第一に作戦とはなにか?」

マヒ「え、ええ!?」

美食「作戦の定義だ。作戦と呼ばれるためにはなにが必要なのだ? みんなで考えたら作戦なのか? この策略を欠いたら作戦でなくなるという策略はなんだ?」

マヒ「そ、そんなこと」

美食「作戦の定義もできないくせに作戦会議というのはおかしいじゃないか」

黒乃「こいつは敵のスパイだ。追い出せ!」



マヒ「貴様らー! どいつもこいつもクソ作戦ばかり出しやがってー!」

マリ「そんなこと言われても困りますの」

アン「黒乃様にそっくりですの」

マヒ「いいか! 博士は待ってはくれない。連載三百回も目前だ! いつ行動を起こすのかもわからない! 各々ができるかぎり備えるしかないんだ! わかったな!」

一同「はーい」

マヒ「解散!」

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