第292話 お嬢様ラジオです! その二

「ご主人様! そろそろラジオの時間ですよ」

「おっけーおっけー。二人で聞こうか」

「はい!」


 てん、てれれん、てってれん、てれれん、てってれん、て、てってれん、てれ、てれってってー。


マ『オーホホホホ! みなさまごきげんよう。パーソナリティーのマリー・マリーですの』


ア『オーホホホホ! みなさまごきげんよう。アシスタントのアンテロッテですの』


マア『オーホホホホ!』


「始まった!」

「始まりました!」


マ『この「うちのメイドロボが二十四時間イチャイチャしすぎてオーホホホホ!ラジオ」、略して「オホラジ」も今回で292回を迎えましたの』


ア『さすがお嬢様ですの』


マ『いよいよ記念すべき300回も見えてきた、そんなところで今日は特別にゲストもお招きしておりますので、楽しみにしていてほしいですの』


ア『お嬢様の人徳のなせるわざですの』


マ『それではオホラジ、今日も元気一杯でいきたいと思いますの』


マア『オーホホホホ!』


「ゲストがくるそうですよ!」

「いやあ、だれだろうね。楽しみだなあ」


 てん、てれれん、てってれん、てれれん、てってれん、て、てってれん、てれ、てれってってー。



マ『改めましてごきげんよう。パーソナリティーのマリー・マリーですの』


ア『アシスタントのアンテロッテですの。お嬢様、最初のコーナーにいってもよろしおますか?』


マ『よろしくですの』


ア『最初のコーナーはこちらですの。「お嬢様に聞いてみた」のコーナー! さっそくお便りをいただいておりますの。えー、ラジオネーム「梅梅小梅」さんからいただきましたの』


マ『ありがとうございますの』


ア『マリーちゃん、こんばんは。私の中学校に金髪縦ロールの超絶美少女がいるんですが、その子と仲良くなりたくてしょうがありません。可愛すぎて授業中手が震える始末です。下校中も手が震えています。寝る前も手が震えています。どうやったら手の震えがおさまるでしょうか?』


「へー、マリー以外にも金髪縦ロールの美少女っているんだなあ」

「手の震えの解消方法を聞いています……」


マ『梅梅小梅さん、ありがとうございますの。手が震えない方法は簡単ですの』


ア『お嬢様、どんな方法でございますの?』


マ『メイドロボに手を握ってもらえばおさまりますのよ。わたくし、ビビった時はいつもそうしておりますわよ』


ア『本当はわたくしのおっぱいを揉んで気を鎮めておりますのよ』


マ『揉んでいませんわよ』


ア『揉んでいますわよ』


マア『……』


ア『次のお便りにまいりますわ。えー、世界一の美少女メイドロボさんからいただきました』


マ『ありがとうございますの』


「やりました! 私のメールが読まれました!」

「おお、凄い。採用率激低なのに」


ア『マリーちゃん、こんばんは。私のご主人様はいつも寝転がってばかりで動こうとしません。マリーちゃんは休日はいつもなにをして過ごしていますか? 教えてください』


マ『わたくし、休日はいつもランニングをしておりますのよ。健康は大事ですものね』


ア『本当はいつもわたくしのおっぱいを揉みながらお昼寝をしておりますのよ』


マ『あとはお料理ですわ。お嬢様たるもの、お料理のひとつくらいできないとオホれませんものね』


ア『本当はわたくしが作った料理をあーんしながら食べていますのよ』


マ『あーんはしていませんわよ』


ア『していますわよ』


マア『……』


ア『では最後のお便りにまいりますわ。えー、世界一可愛い丸メガネさんからいただきましたの』


「やった! やった! 読まれた! とうとうご主人様のメールが読まれたよ!」

「おめでとうございます!」


ア『あ、間違えましたの。こちらのお便りでしたの。えー、エスケーピングロボさんからですの』


マ『ありがとうございますわ』


「ぎゃぽぽぽぽぽぽ! ちくしょおおおお! なんでえええええ! だれだこのエスケーピングロボとかいうやつううう!」

「ご主人様! 落ち着いてください!」


ア『ボクはマリーチャンの大ファンなのデスが、マリーチャンはドンな石鹸を使っていマスか!? 同じモノを使いたいノデ、教えてくだサイ!』


「キモいメールだな……」

「キモいですね……」


マ『わたくしはお石鹸は使っておりませんのよ。アンテロッテが素手で隅々まで洗ってくれるので、必要ありませんの』


ア『わたくしの指から分泌されるサポニンという天然成分は洗浄、美肌効果がありますのよ。おかげでお嬢様のお肌は大理石のようにツルツルツルリンコですの』


マ『ツルリンコですの』


ア『このコーナーは以上となりますの。ここで一曲聞いてくださいまし。わたくしアンテロッテが歌う「Mademoiselle, je vous aime」ですの』


 Je vous aime, jeune fille.

 Je vous aime beaucoup, beaucoup.

 J'aime, j'aime, j'aime, j'aime.

 J'aime la jeune femme.


 J'aime la jeune femme.

 Je t'aime plus que tout au monde.

 Je l'aime, je l'aime, je l'aime tellement.

 Je lui ronge les fesses aujourd'hui.


 Les fesses de votre fille sont douces.

 Si douces que j'ai envie de les manger.

 Parfois, je grignote trop fort.

 Je me mets en colère.


「ええ歌や〜」

「感動しました!」



マ『さあ、いよいよゲストのコーナーですの。今日はあの方がきてくださいましてよ』


「ゲスト? だれだろう!?」

「ワクワクです!」


ア『では、ご紹介しますの。ゲストの黒ノ木紫乃しの様ですの』


紫『ぐほほ、どうも黒ノ木姉妹サードのいらない子、紫乃です。尼崎からきた高校生です。うほほ』


マ『ようこそいらっしゃいましたの』


「紫乃!? なんで紫乃がゲストにくるのよ!?」

「紫乃ちゃん、がんばってください!」


マ『紫乃さんは黒乃さんの妹さんですのね』


紫『うん。黒ネエ、きーネエ、私、鏡乃みらのって感じ』


ア『お姉様に似て、背がお高いですのね』


紫『ぐほほ、学校で一番高い。でもなんの役にもたたない』


マ『そんなことありませんわよ。背がお高いのはご立派ですわよ』


紫『マリーはちっちゃくて可愛いなあ。うらやましい。ぐふふ』


マ『ありがとうございますの。それにしても黒乃さんにそっくりでございますのね』


ア『ブースに入ってきた時、黒乃様がいらしたのかと思いましてよ』


紫『え? 私と黒ネエが似てる? どのへんが?』


マ『え?』


ア『え?』


「いや〜? 似てるかなあ?」

「え?」


紫『まあ姉妹だから、似ていると言えば似ているのかも』


マ『丸メガネは似ていらっしゃいませんの?』


ア『同じものでございますわね?』


紫『え? ぜんぜん違うよ。私のはクロノキメガネの「Kuronoki Angel Blue」の第三世代のものだし。黒ネエのは「Kuronoki Hyphen」の初代だもん。見たらわかるでしょ』


マ『なにをおっしゃっているのかまったくわかりませんの』


ア『丸メガネに種類があるなんて初耳ですの』


紫『えー? 世界のクロノキメガネ知らないの? クロノキメガネはね、日本の丸メガネシェア九割を占めているんだよ』


マ『そんなクロノキメガネを〜?』


ア『そんなクロノキメガネを〜?』


紫マア『お買い求めください!』


「いいぞ、紫乃!」

「ナイス宣伝です!」



マ『ここで紫乃さんにお便りが届いていますので、ご紹介いたしますの』


紫『え? お便り? だれからだろう』


ア『わたくしが読みますの。しーちゃんへ。鏡乃みらのです。しーちゃん、いつも鏡乃と遊んでくれてありがとう。クロちゃんが尼崎を出てからとても寂しかったけど、いつもしーちゃんが一緒にいてくれるから寂しくありません。鏡乃がいたずらをしてきーちゃんに怒られる時に、一緒に怒られてくれてありがとう。鏡乃がエノキタケが苦手で食べられない時に、代わりに食べてくれてありがとう。最近きーちゃんが大学で忙しくて、ご飯作れなくて、代わりに作ってくれてありがとう。しーちゃんのコロッケ鍋が大好きです。これからもずっと鏡乃のお姉ちゃんでいてください。鏡乃』


紫『ばびびん! ばびびん! ぐおっ、ぐおっ、鏡乃〜』


マ『素敵な妹さんですの』


ア『いい兄弟ですの』


紫『だれが兄弟やねん! ばびびん!』


「ぶひひん! ばびん! 鏡乃〜」

「ご主人様! 鼻水を拭いてください!」


マ『紫乃さん、自慢の丸メガネが涙でぐしょぐしょですわよ』


ア『貸してくださいまし。拭いてさしあげますわ。あらですの。ワイパーで軽く拭いただけなのに、あっという間にレンズがピカピカですの』


紫『ぐおっ、ぐおっ。超撥水コーティングが施されたレンズだから、汚れがすぐに落ちるのだ』


マ『そんなクロノキメガネを〜?』


ア『そんなクロノキメガネを〜?』


紫マア『お買い求めください!』


「また宣伝入った!」

「やらせですかこれは!」



マ『さあ、お送りしてまいりました「うちのメイドロボが二十四時間イチャイチャしすぎてオーホホホホ!ラジオ」、略して「オホラジ」もお別れのお時間となりましたの』


ア『ゲストの紫乃様、いかがでしたでしょうか?』


紫『楽しかった〜。マリーも可愛かったし、アン子もエロかったし、最高だった。ぐふぐふ』


マ『ぜひまたゲストにいらしてくださいましね。それではこのへんで失礼いたしますの。この番組は世界のクロノキメガネの提供でお送りしましたの。それではみなさまごきげんよう』



「ご主人様! 今日も楽しかったですね!」

「次回も楽しみだ〜」


 てん、てれれん、てってれん、てれれん、てってれん、て、てってれん、てれ、てれってってー。

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