第251話 企画会議です! その四

黒「では第四回企画会議を始めたいと思います」

メ「はい! 拍手です!」

桃「ぱちぱちぱち」

蘭「パチパチパチ」

フ「……ぱち」

黒「我らがゲームスタジオ・クロノスも一つの山場を乗り越え、新しいステージに突入しようとしている! 目標はもちろん、オリジナルゲームの開発だ! そのためにはまず企画! 企画がなけりゃなんにも始まらん! 度重なる合宿により諸君らも新たな発想、着想を得られたと思う! 今こそ蓄えられたエナジーを放出すべき時だ!」

蘭「シャチョー! 合宿はもうコリゴリデスよ!」



 企画一、FORT蘭丸『フォート・オブ・ランマル』


蘭「舞台は太平洋に浮かぶランマル島デス!」

フ「……相変わらずタイトルの自己主張がすごい」

蘭「この島の住人は毎日グータラと自由にのんびり過ごしていたのデスが、ある日突然、社畜軍が攻めてきて占領されてしまいマス!」

桃「社畜軍?」

蘭「社畜軍は鬼畜の所業にヨリ、島の住人に労働を教えマス!」

メ「良かったではないですか」

蘭「主人公は島の住人を労働から救うタメに、そしてほまれを取り戻すタメに戦いマス!」

黒「なんでもいいけどお前は働け」



 企画二、桃ノ木桃智『白ティー島物語』


桃「飛行機が墜落し、無人島に漂着する所から物語は始まります」

メ「サバイバルものでしょうか?」

桃「漂着したのは全員、白ティー丸メガネ黒髪おさげの少女達です」

黒「白ティー丸メガネ黒髪おさげ? 聞いたことのない組み合わせだな」

桃「少女達は生き残りをかけてサバイバルを行います。その過程で友情が深まり、カップルが生まれます。お互いの白ティーを交換することでカップルが成立します」

フ「……全員白ティーだから交換しても同じ」

桃「少女達は白ティー島の秘密を解き明かし、島から脱出を目指します」

蘭「白ティー島ってナンデス!?」

黒「百万本売れる」



 企画三、影山フォトン『ロボッシーアイランド』


フ「……ボクの考えた企画はね。ロボッシーアイランド。ロボッシーがね、双子のロボちゃんを救うためにね、島に冒険にいくの」

桃「ロボッシーってなにかしら?」

フ「ロボッシーはね、緑の化け物。長い舌で獲物を捕らえて食べるの。うふふ、可愛い」

メ「ぎゃあ!」

蘭「イヤァ! また捕食獣デスか!?」

フ「……双子の片方のロボちゃんを背中に乗せて、もう片方のロボちゃんを探すアクションゲーム。二人で協力しあいながらステージを進んでいくの、うふふ」

黒「ロボちゃんは非常食ではないよね?」



 企画四、メル子『刺股・オブ・レジェンド』


メ「私が考えたゲームは無人島に迫り来るゾンボ(ゾンビロボット)を刺股チャンピオンを配置して撃退するゲームです!」

蘭「女将サン! また刺股デスか!?」

メ「無人島の各所に拠点があり、そこに攻め込まれないようにうまく刺股チャンピオンを配置します! 刺股チャンピオンは百四十体います!」

桃「全員刺股を持っているの? バリエーション的に大丈夫かしら?」

メ「ご心配なく! 刺股フレイム、刺股ウィップ、捕食の刺股、刺股アイなど、刺股チャンピオンごとに違うスキルが用意されています!」

フ「……もう一生分刺股って言ったでしょ」

黒「刺股がどこの層に訴求力があるのかさっぱりわからんな」

メ「ご存じないのですか!? 今ラーメン屋にいけば、みんな刺股で麺を啜っていますよ!」

黒「うそこけ!」



 企画五、マリー・マリー『お嬢様出口』


マ「オーホホホホ! そろそろわたくしのお出番ですわねー!」

黒「うわ、ロッカーの中からマリーがでてきた」

メ「異変です!」

ア「オーホホホホ! お嬢様の企画なら爆売れ間違いなしですわいなー!」

フ「……アン子ちゃんは机の下からでてきた」

黒「ねえ、ひょっとしてうちらが出社する前から隠れてたの? ロボマッポ呼ぶよ?」

蘭「マリーチャン! プレゼンしてくだサイ!」

マ「わたくしが考えたお嬢様出口はお嬢様だらけの無人島から脱出するゲームですのよ」

黒「あ、勝手に始めたわ」

マ「お嬢様出口にはルールがありますの。出会ったお嬢様に異変を感じたら引き返しますの。異変を感じなかったら進みますの。最終的にお嬢様出口から島を脱出しますのよ」

ア「さすがお嬢様ですの」

フ「……無人島にお嬢様がいる時点で異変しかない」



 企画六、マッチョメイド『マッチョゲーム』


マ「おでも きかく かんがえてきた」

黒「うわっ、びっくりしたぁ」

桃「図体が大きいからいきなり入ってくるとびっくりするわね」

メ「マッチョメイド! どんな企画ですか? 教えてください!」

マ「マッチョゲームは むじんとうでおこなう サバイバルゲーム まずは さくらんぼを 筋肉で あつめる」

蘭「食料を調達するゲームデスね!」

マ「さくらんぼを二つ 筋肉で がったいさせると いちごになる」

黒「筋肉でさくらんぼがいちごに!?」

マ「どんどん がったいさせていって さいごに すいかを つくったら ゲームクリア」

フ「……筋肉ってすごい」



 企画七、黒メル子『ロボイゾン ロボドーン』


闇「私も企画を考えてきました」

黒「黒メル子じゃん。貧乳でも可愛いなあ〜」

メ「どうして黒メル子がここにいるのですか!?」

フ「……黒メル子ちゃんの企画聞きたい」

闇「舞台は原生林です。その中でロボット達は文明を失って原始的な生活をしていました」

桃「ロボットなのに文明を失っているのね」

闇「森の中にはどういうわけか白ティー丸メガネ黒髪おさげの女性達がうろついていて大変危険です。主人公のローボイはその白ティー達と戦いながら世界の秘密を解き明かしていきます」

蘭「なんか壮大な話デス!」

闇「ローボイは白ティーの巨尻に槍をブッ刺すと白ティーを手懐けて乗ることができます」

メ「ご主人様に乗らないでください!」

黒「え? 私?」

桃「ハァハァ」

闇「最終的には空飛ぶ白ティーにも乗ることができます」

フ「……白ティーに無限の可能性を感じる」



 企画八、ゴリラロボ『天穂てんすいのゴリラヒメ』


ゴ「ウホ」

フ「……でかい」

黒「ゴリラロボはどうやって企画会議の情報を仕入れてるの?」

メ「ゴリラロボ! プレゼンお願いします!」

ゴ「ウホ」

黒「ふんふん、なになに? このゲームはゴリラヒメが島でバナナを育てながら、迫り来る鬼ロボを撃退するゲーム? バナナ育成パートと鬼ロボ撃退パートを交互に繰り返す? バナナ栽培は徹底的に作り込まれていて、農林水産省の推薦を得られる予定?」

桃「確かにバナナ栽培ゲームって聞いたことがないわね」

黒「ふんふん? 美味しいバナナを育てられるとゴリラヒメがパワーアップして、より強い鬼ロボを倒せる? なるほどなあ」

メ「ナイス企画ですよ! ゴリラロボ!」

ゴ「ウホ!」



 企画九、美食ロボ『肉球島リゾート化計画』


美「女将、ここが本物のプレゼン会場か?」

黒「美食ロボ。お前いつの間にか肉球島から帰ってきてたのか」

メ「お誕生日会にもいましたよ!」

黒「もう一度肉球島へけぇれ!」



 企画十、黒ノ木鏡乃みらの『邪龍教室』


鏡「みなさんこんにちは! 黒ノ木鏡乃です! 尼崎からきた中学生です!」

黒「学校はどうしたぁ!?」

桃「ハァハァ」

メ「鏡乃ちゃん! 今日はどんなゲームを考えてきましたか!?」

鏡「はい! 鏡乃が考えたゲームは『邪龍教室』です! ごく普通の小学校が邪龍ウロロボスの力によって別の時代へ転移してしまいます」

蘭「学園転移モノデスね!」

鏡「転移した小学生達はパニックを起こします! 力を合わせて邪龍を倒して元の時代に帰ろうと頑張ります!」

桃「無事帰れるのかしら」

鏡「しかし偶然学校にきていたパン屋のおっさんが学校を支配し始めます。唯一の大人の力を利用して、生徒達をいいように使い始めます!」

フ「……大人って汚い」

鏡「生徒達は力を合わせて邪悪なパン屋と戦うことを決意します! 果たして生徒達はパン屋のおっさんを倒すことができるのでしょうか!? 乞うご期待です!」

メ「鏡乃ちゃん! これは売れますよ!」

桃「感動したわ」

黒「邪龍はどうした」



 企画十一、黒ノ木黒乃『おっぱい教室』


黒「ごくごく普通のおっぱい学園が邪おっぱいの力で別の時代に転移してしまうところから物語は始まる」

フ「……もうやばい」

黒「転移したおっぱい生徒達は力を合わせて元の時代に戻ろうとするんだ」

蘭「シャチョー! これ大丈夫デスか!?」

黒「しかし偶然学園にきていたおっぱん屋のおっさんが学園を支配し始めてしまうのだ」

メ「おっぱん屋ってなんですか!?」

黒「果たしておっぱい生徒達はおっぱん屋のおっさんを倒して元の時代に帰れるのだろうか? 乞うご期待だ!」

桃「先輩、これはきましたね」



メ「あれ? ご主人様、なにかプルプルと震えていますが大丈夫でしょうか?」

黒「貴様らーッ!!」

蘭「シャチョー!?」

フ「……声が大きい」

黒「クソ企画ばかり持ち込みやがってー!」

フ「……クロ社長の企画が一番クソ」

黒「無人島にサバイバル合宿に行ったからって、どいつもこいつもサバイバルのゲームばかり持ち込みやがってー!」

蘭「そのタメに無人島に行ったんジャなかったんデスか!?」

黒「こうなったら合宿じゃい! また合宿に行くぞぞぞぞーい!」

蘭「イヤァー! どこにデスか!?」

黒「まだ決めとらん!」

フ「……合宿のスパンが短すぎる。劇場版クオリティを要求される作者の負担がでかい」

メ「合宿編第四弾、現在立案中です! 公開時期未定!」

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