第245話 登場人物紹介です! その三

黒「登場人物紹介もいよいよ終盤戦! みんな覚悟はいいかー!」


 うおおおおおおおおお!


メ「最後まで全力でいきますからねー! ついてきてくださいー!」


 うおおおおおおおおお!


マ「どうしてライブみたいなノリになっていますの」

ア「登場人物紹介にお金を払って観にくる人達の気が知れませんの」

黒「こらこらこらー! なんてこというの!?」


 東京ドームを上回らんばかりの浅草演芸ホールの熱気は最高潮に達しようとしていた。


メ「さあ! 夜公演の部開幕です! まずはこの方!」



 ——お役人ロボ。


役「台東ロボ区役所のものです」

メ「聞き取り調査の時の担当のお役人さんです!」

黒「私とメル子で扱いが全然違ったよね」

役「末長くお幸せに」



 ——車内販売ロボ。


メ「新幹線の中でお弁当などを売ってくれるロボットです!」



 ——桃ノ木朱華もものきしゅか


朱「あの、ども。ウチがミラちゃんのお嫁さんの朱華です……」

ア「小さくて可愛いですわー!」

黒「朱華ちゃんは桃ノ木さんの妹なんだよね」

朱「はい、お姉ちゃんがいつもお世話になっています」

メ「朱華ちゃんと鏡乃みらのちゃんは将来を誓い合ったカップルでもあります!」

朱「えへへ」



 ——FORT蘭丸ふぉーとらんまる


蘭「みなさん、コンニチハ! プログラミングロボのFORT蘭丸デス! マスターはルビーデス!」

黒「お、出たな。FORT蘭丸はゲームスタジオ・クロノスの社員でプログラムを担当しているんだ。うちの会社では唯一の男性ロボだな」

メ「蘭丸君はプログラムの腕はいいのですが、すぐに逃げ出すという癖があります! 初めて登場した時も仕事から逃げ出して無人島で発見されました!」

黒「逃げ癖は困ったもんだが、うちの貴重な戦力だからな。これからも頼むよ」

蘭「エヘヘ。ちなみに、FORTRANフォートランというプログラム言語カラ名付けられまシタ!」



 ——ジョークラッ車太郎。


メ「無人島に逃げ出してきた重機ロボです! マヒナさんの鉄拳をくらって更生しました!」



 ——マスターROBOSUKEとROBOSUKEロボ。


マ「やっぱりROBOSUKEが好き」

R「俺達には……ROBOSUKEしかないんですよ」

メ「ROBOSUKEロボスケのイベントの常連出場者です! ROBOSUKEといえば、この二人のことを指します!」

ア「全く結果を残せないお笑い枠ですわー!」



 ——ローション生命体『ソラリス』。


ソ「愚かなる人間どもよ。滅ぼしてくれるぞ」

メ「ロボローションに含まれるナノマシンが暴走を起こし、知能を持ったのがソラリスです!」

黒「ソラリスは本当に強敵だった。みんなで力を合わせて戦って倒したんだけど、なぜか私のおさげに隠れ潜んでいてまた復活したんだ」

メ「復活したソラリスと再び戦う羽目になりました! なんとか倒しましたけれど、もう復活はしないでください!」

ソ「ロボローションがある限り私は何度でも蘇る」



 ——八龍丸パチドラ


八「オートマモードスタート。黒乃サン、オヒサシブリデス」

黒「巨大ロボの八龍丸に搭載されているAIね。私を座席ごと発射したことは忘れんからな!」



 ——ピエール=オーギュスト・ルノ悪太郎るのわーるたろう


ル「イベントに参加させていただき、大変光栄に思わさせていただいております」

黒「ゲームスタジオ・クロノスの社員募集に応募してきた画家ロボね」

ル「その節は大変お世話になりましたと言わさせていただきます」

メ「させていただく、させていただくうるさいですね」



 ——ジョン・フォン・ノイ満太郎。


ノ「数学ロボのジョン・フォン・ノイ満太郎です」

メ「この方も面接に来た方です!」



 ——影山かげやまフォトン。


フ「……た」

黒「なんて?」

フ「……待ちくたびれた」

メ「ゲームスタジオ・クロノスの社員であるお絵描きロボのフォト子ちゃんです! 青いロングヘアが可愛い子供型ロボットです! でも立派な成人です!」

フ「……マスターは影山陰子かげやまいんこ先生」

黒「先生に外で修行をしてこいって言われてうちに来たんだよね」



 ——ロボ僧侶。


メ「ゲーム『ロボゴンクエスト3』で登場した三人組です! ロボ商人の町にご主人様を置き去りにしました!」



 ——銀座ロボ越の会長、ロボ井ロボ友銀行の頭取、ロボ日新聞の社主。


メ「美食ロボ部に出入りしている業界の重鎮達です! 美食ロボの言いなりです!」



 ——ロボ三ろぼぞう


三「皆様、よろしくお願いします。ロボ三と申します。スプリーム献立の調理を担当する板前ロボです」

メ「坊主頭のロボ三君は美食ロボ部で働く新人板前です!」

黒「メル子の大ファンで木彫りのメル子像を巡って美食ロボを破壊したこともあったな。刑務所から出てこれたのかな?」

三「その節はご迷惑をおかけしました! でも先生が許してくれたので不起訴処分になりました!」



 ——ロボ福の大将。


大「うちの餃子はこうやって食べるんだよ」

メ「大森の町中華『ロボ福』の大将ロボです!」

黒「マーボー麺が最高にうまかったな。大将! また食べにいくからね!」



 ——ナウル。


ナ「マヒナ様のメイドロボ軍団『MHN29』の一員であるナウルと申します」

メ「静止軌道ステーションで出会ったメイドロボです! シャフニートメタシンにより洗脳された状態で登場しました!」

黒「ノエ子にそっくりなんだよね。これが全部で二十九人いるのかあ。でへへ」



 ——ロコ。


ロ「マヒナ様のメイドロボ軍団『MHN29』の一員であるロコと申します」

メ「ハワイ基地ベースで出会ったメイドロボです! コテージでお世話をしてくれました!」

黒「まあシャフニートメタシンを盛られたんだけどね。でも可愛いから許す」



 ——ナル。


ナ「マヒナ様のメイドロボ軍団『MHN29』の一員であるナルと申します」

メ「シャフニートメタシンの製造工場にいました! 最初にご主人様のさば折りによって更生しました!」

黒「ぐへへ」



 ——ウルヴェヒ。


ウ「マヒナ様のメイドロボ軍団『MHN29』の一員であるウルヴェヒと申します」

メ「シャフニートメタシン工場で蘭丸君からシャフドロゲンニートキサイドを抽出していました!」

黒「FORT蘭丸のニート力はすごかったらしい」



 ——フムフムヌクヌクアプアア。


フ「マヒナ様のメイドロボ軍団『MHN29』の一員であるフムフムヌクヌクアプアアと申します」

メ「月の宮殿内部を警備していて一瞬で倒された方です!」

マ「早口言葉みたいですのー!」



 ——ラニ。


フ「マヒナ様のメイドロボ軍団『MHN29』の長姉であるラニと申します」

メ「ラニさんは最初に社会不適合ロボになったメイドロボで、月の騒動の元凶とも言えます!」

黒「まあ、本当の元凶はニコラ・テス乱太郎なんだけどね」



 ——ルビー・アーラン・ハスケル。


ル「はぁ〜い、ルビーね〜。だーりんのマスターね〜」

メ「蘭丸君のマスターです! 凄腕のプログラマーでアメリカ人です! ムチムチボディの銀髪が特徴です!」

黒「ちなみにルビーもアーランもハスケルもプログラム言語の名前だ」

マ「無人島ではわたくしと一緒にサバイバルしましたわー!」



 ——プチ黒、プチメル子。


メ「八又はちまた産業が開発した手のひらサイズのロボット『プチロボット』です! ご主人様にそっくりなプチ黒と、私にそっくりなプチメル子がいます!」

黒「一応おもちゃって扱いだけど、AIを搭載しているからおもちゃとは思えないくらい賢い」

メ「ミニチュアハウスのプチ小汚い部屋で暮らしています!」

プ『おっぱい』

黒「喋ったぁぁぁあああ!?」



 ——プチマリ、プチアン子。


マ「クサカリ・インダストリアルが開発した『プチドロイド』ですわー!」

ア「お嬢様とわたくしにそっくりでしてよー! 手のひらサイズでとても愛らしいですわー!」

メ「プチご主人様とプチメル子のライバルです!」



 ——影山陰子かげやまいんこ


陰「皆様よろしくお願いします。フォトンの主人である影山陰子と申します」

メ「陰子先生は著名な書道家で、浅草に書道教室を開業しています! そりふる堂の奥様とは顔見知りのようです!」

陰「フォトンをくれぐれもよろしくお願いします」



 ——しらゆき様。


し「おねえちゃん、だれ?」

メ「最終回で登場した少女です! お屋敷に篭っていて生きる気力を失っていました!」

黒「ほえ〜、この子がメル子の新しいご主人様か〜」

メ「やめてください!」



 ——使用人の女性。


メ「しらゆき様のお屋敷の使用人の方です!」



 ——サーバルキャットロボ、クアッカワラビーロボ、フィリピンワシロボ、メスローランドゴリラロボ。


メ「浅草動物園から逃げ出した動物ロボ達です!」

マ「また浅草動物園にいきたいですのー!」



 ——浅草寺の坊主達。


メ「ご主人様の切断されたおさげを供養してくださいました!」

ア「楽しいアトラクションでしたわー!」



 ——林権田はやしごんだ


林「俺もいるぜ!」

メ「ボロアパートのお隣さんです!」

マ「ボロアパート消失に巻き込まれてしまいましたの」



 ——大家さん夫婦。


メ「ボロアパートの大家さん夫婦です!」

黒「旦那さんは隅田川博士の研究所で働いていた職員みたいだね」



 ——隅田川すみだがわ博士。


隅「ワシが隅田川博士じゃ」

メ「近代ロボットの祖、隅田川博士です! 多次元虚像電子頭脳ホログラフィックブレインの開発、ロボット三原則の撤廃、ロボットに人権をもたらすなど、数々の功績を持つ偉大な科学者です! 我々ロボットの産みの親といっても過言ではありません!」

黒「トーマス・エジ宗次郎、ニコラ・テス乱太郎、ルベールさん、アインシュ太郎を作った人でもあるんだよね。そして紅子の父親だ」

メ「隅田川博士は量子兵器により、研究所ごと量子状態になっていました。マスター観測者権限を持ち、自分の存在を自由に確定させることができます。そうやって確率の雲の中から、世界のロボットを見守ってくださっていたのです」

隅「しかし、ローション生命体『ソラリス』により量子状態になった研究所が侵食され、マスター観測者権限が奴に奪われてしまったのじゃ。黒乃君達がソラリスと戦い倒したことで、権限は黒乃君に移譲された」

黒「その結果、残念だけど博士は地球規模にまで確率の分布が広がった状態から収縮できなくなったんだ。つまりもうこの世から存在が消えてしまったんだ」

マ「なにを言っているのかまったくわかりませんのー!」

メ「博士! 浅草の町のことは私達にお任せください!」

隅「ガハハハハハ! ワシは全く心配しておらんよ!」



 ——ロボット刑事デカ


刑「容疑者黒ノ木黒乃。お前がやったんだな?」

メ「ご主人様が美食ロボ殺しの容疑で逮捕された時の調査官です!」

黒「ロボカツ丼美味しかった」



 ——美食ロボ部の料理長、仲居ロボ。


メ「美食ロボ部で働く皆さんです!」

黒「美食ロボ殺しの容疑者でもある」



 ——梅ノ木小梅うめのきこうめ


梅「マリーちゃんの同級生の小梅です」

マ「小梅さんですのー!」

梅「マリーちゃん!」

メ「マリーちゃんのクラスメイトです! 大和撫子のようであり、ボーイッシュな感じも残るイケメン女子です! マリーちゃんのことが大好きです!」

梅「言わないでください!」



 ——アルベルト・アインシュ太郎。


ア「ひゃひゃひゃ、ワシがアインシュ太郎じゃよ」

メ「出ました! 隅田川博士に作られた理論物理学ロボットです!」

黒「この博士、月をまるごと量子状態にさせてしまうとんでもなくやばいロボットだ」

ア「ひゃひゃひゃ、あれには参ったの。計画が成功したと思いきや、お主の持つマスター観測者権限のおかげで月が元の状態に戻ってしまったわい」

メ「今現在はご主人様の権限を奪おうと画策中のようです!」

黒「まったく、次から次へとやばいロボットが……あ、こら、マヒナ! ノエ子! 今は本番中だからね! ゴタゴタはイベントが終わったあとでやってよね!」



 ——思い出のメイドロボ。


思「お嬢様、お紅茶はいかがですか?」

メ「ロボット展覧会にいたメイドロボです!」

黒「うおっ、うおっ! ご主人様が子供の頃に初めて見たメイドロボだよ! この人を見てご主人様はメイドロボを買おうと決心したんだ」

思「ご自分のメイドロボと出会えて良かったですね」

黒「はい! あなたのおかげでメル子と出会えました!」

ア「いい話ですわー!」



 ——ハル。


ハ「いまさら人間のペットになどなるものか!」

メ「肉球島にいたロボキャット達のリーダーです! 肉球島の工場で生産され、人間に見捨てられ、ロボキャット達だけで生き抜いてきました!」

黒「人間の都合で作られて、置き去りにされて。それでも頑張って生きてきたんだ。すごい奴らだよ」



 ——タマ。


タ「ニャー」

メ「ハルから離反したロボキャット達のリーダーです!」



 ——工場長。


工「ハル、今度こそお前らを守ってやる」

メ「肉球島ロボキャット工場の工場長です! 理由があって工場を廃棄せざるを得ませんでした! しかしご主人様の呼びかけにより再び肉球島に戻ってきました!」

黒「工場長もロボキャット達を捨てたくて捨てたわけではないんだよね。まあでも結局人間の都合でいいように捨てられたロボキャット達。彼らのこれからが心配だ」



 ——靴下。


メ「無人島でご主人様を救ってくれた臭い靴下です!」

マ「臭いですのー!」

黒「こらこらー!」



 ——ロボ浜ラーメンの店主夫婦。


夫「うちはネギラーメンが美味しいですよ〜」

婦「ごゆっくり召しあがってくださいね〜」

メ「もう存在しないラーメン屋の店主さん夫婦です!」

黒「うう、大将! また大将のネギラーメンが食べたいです!」



 


 パチパチパチパチ。

 パチパチパチパチ。

 パチパチパチパチ。

 出演者達が舞台袖から高座へと戻ってきた。ステージいっぱいに列をなしてその拍手を受け取った。浅草演芸ホールはいつまでも鳴り止むことのない拍手に包まれた。この拍手はなにへの拍手なのであろうか?


黒「終わった……」

メ「終わりましたね……」


 黒乃とメル子はぐったりとうなだれた。額から汗が滴り落ちた。


マ「お疲れ様ですのー!」

ア「総勢百十七人も紹介しましたのー!」


 拍手は続く。

 そう、これは長きにわたる連載によって積み重ねられたものに対する拍手なのだ。

 物語の重さはなにによってもたらされるのか。プロットだろうか? 設定だろうか? 表現だろうか?

 それは人。人の積み重ねなのだ。物語は主役だけで成り立つものではない。様々な人との出会いこそが物語なのだ!


黒「ありがとうありがとう!」

メ「ありがとうございます!」


 拍手は続く。

 黒乃は改めて後ろを振り返り出演者達を見渡した。そして再び客席を見渡した。観客の一人一人の顔を確かめた。最後の出演者は、そう……読者である皆さんなのだ。皆さんは確かにこの物語の中に存在し、彼女らと一緒に世界を走り抜けたのだ!


黒「この作品がここまで連載できたのも、ひとえに……」

メ「はい!」

黒「ご主人様とメル子のおかげだね!」

メ「ですね!」

黒「ふふふ、ははは!」

メ「アハハハハ!」


 観客達はさっさと帰り支度を始めた。

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