第203話 企画会議です! その三

黒「では第三回企画会議を始めたいと思います」

メ「はい! 拍手です!」

桃「ぱちぱちぱち」

蘭「パチパチパチ」

フ「……ぱち」

黒「我々ゲームスタジオ・クロノスの初オリジナル作品となるゲームの企画を今まで色々と考えてきてもらったわけだけれども。正直これだという企画が未だに出てきていません。残念です」

メ「はい残念ですよ、皆さん!」

黒「そろそろね、そろそろ! バチコンとした企画が欲しいんですよ! そのために我々は月まで行って合宿をしてきましたからね。その成果を今発揮する時でございますよ、皆さん!」

フ「……月旅行、楽しかった」

桃「また行きたいわね」

蘭「シャチョー! モウ宇宙はコリゴリデスヨ!」



 企画一、FORT蘭丸『テラフォートランマルーズ』


蘭「ボクの企画は火星にゴキブリロボを駆除しにいくゲームデス!」

メ「ぎゃあ!」

黒「ゴキブリロボ、可愛いよね」

蘭「人類は火星を人が住める星に改造するタメにゴキブリロボを送り込みまシタ。しかしナゼかゴキブリロボが進化をして、ゴキブリ人間ロボになってしまいまシタ」

メ「ぎゃあ!」

黒「ゴキブリメイドロボもいるかな?」

蘭「色々な能力を持ったロボットが火星に乗り込んでゴキブリロボを駆除しマス!」

桃「絵面が酷いことになりそうだけど、大丈夫かしら」

フ「……すんごいリアルなゴキブリの3Dモデル作っちゃお、うふふ」

メ「ぎゃあ! やめてください!」


 

 企画二、桃ノ木桃智『クロクロのアトリエ〜スペースブルグのロボ金術師〜』


桃「主人公は金星に住む白ティー丸メガネ黒髪おさげの美少女クロクロです。お尻が通常よりムチムチしています」

黒「へえ、面白そうだ」

メ「その自信はどこからくるのでしょうか……」

桃「クロクロはスペースロボ金術学校を卒業するために、すごい丸メガネの開発を始めます。宇宙を飛び回り、素材を集めます。盗賊団と戦ったり、恋愛をしたりします。一人前のスペースロボ金術師になったらゲームクリアです」

フ「……スペースロボ金術師ってなに」

黒「これは売れそうだ」



 企画三、メル子『2201年刺股さすまたの旅』


メ「物語は月面に刺さった一本の刺股を発見したことから始まります」

蘭「どうシテ月に刺股ガ!?」

メ「実はその刺股は邪悪な刺股で、それに触れたロボは人類に反逆を起こします!」

黒「やべぇ!」

メ「その頃地球では一本の正義の刺股が発見されます!」

桃「刺股に善とか悪とかあるのかしら」

メ「正義の刺股に触れたロボットは正義のマッチョメイドとなり、悪の刺股軍団と戦いを繰り広げます!」

フ「……刺股じゃ人気でない」

メ「知らないのですか!? 今山手線に乗れば刺股を持ったサラリーマンで溢れていますよ!」

黒「うそこけ」



 企画四、影山フォトン『ロボミン』


フ「うふふ、ボクの企画はね、ロボミン。主人公がある惑星に墜落したらね、謎の生命体ロボミンがいたの」

蘭「ロボミンと戦うんデスか!?」

フ「違うよ。ロボミンは地面に埋まってて、それを引っこ抜くとね、主人公についてくるの。可愛い、えへへ」

桃「ついてきたらどうなるのかしら?」

フ「たくさんのロボミンを連れて歩くだけで楽しい、うふふ」

黒「フォト子ちゃん、それじゃゲームにならないんじゃないの?」

フ「じゃあついてきたロボミンに指示を出すことで色々やってくれる。ロボミンの色によってできることが違うの」

メ「可愛くて面白そうです!」



 企画五、マリー・マリー『アーマード・お嬢様』


マ「オーホホホホ! 次はわたくしの企画ですわねー!」

黒「うわ、また勝手に入ってきた。マリー、ここは出入り自由じゃないし、なんで今日企画会議があることを知ってんのよ」

ア「マリー家の情報網をなめてもらっては困りますでございますわよー!」

蘭「マリーチャン! マリーチャン!」

マ「わたくしの考えたゲームはアーマード・お嬢様というアクションゲームですのよ」

黒「あ、もう勝手にプレゼン始めた」

マ「アーマード・お嬢様はカスタマイズ可能なお嬢様で、好きなおパーツを組み合わせて強いお嬢様を作ることができますの」

フ「……お嬢様ってすごい」

マ「お嬢様を作ったら出撃して敵を倒しますの。するとさらに強いおパーツが手に入りますのでまたお嬢様を強くできますの」

ア「ムーンライト縦ロールが最強の武器でございますのよ」

メ「最強の武器は刺股に決まっていますよ!」



 企画六、ルビー・アーラン・ハスケル『ロボフィールド』


ル「はーぃ、だーりん」

蘭「ルビー!? ルビー来ちゃったんデスか!?」

黒「またきたよ」

ル「シャチョさん、ほわっつあっぷ?」

黒「まさか、ルビーも企画を持ってきたの?」

ル「いぇーす、おけー?」

黒「おーけーおーけー、もうやっちゃって」

ル「わたーしの考えたのはぁ、ロボフィールドデース。このゲームはぁ、一万個の惑星を探索できマース」

黒「一万!?」

桃「数が多すぎるわね。実装するのに何年かかるのかしら」

ル「どんうぉりー、リアルタイム自動生成だからー、時間はかかりまセーン」

蘭「ルビーは惑星のリアルタイムシミュレーション技術の特許を持っていマス!」

黒「すげえ! じゃあその技術使えば一万の惑星を好きに冒険できるのか!」

蘭「デモ、特許使用料で開発費が全部飛びマス!」

黒「けぇれ!」



 企画七、美食ロボ『アルティメット献立三本勝負』


美「女将、ここの企画は本物か?」

黒「けぇってくれ!」



 企画八、黒メル子『レッド・ロボット・リデンプション』


闇「私が考えましたのは宇宙西部劇ゲームです」

メ「黒メル子!?」

黒「黒メル子まで来ちゃったよ」

フ「……メル子ちゃんが二人いる」

闇「宇宙連邦捜査官に追われたクローノは、愛するメイドロボを取り戻すためにスペースギャングを追いかけて倒していきます」

桃「ハードな内容なのね」

闇「全員倒して見事メイドロボを取り戻しますが、実はそのメイドロボこそが黒幕なのでした」

蘭「イヤァー!」

闇「闇に堕ちたクローノはメイドロボと一緒に宇宙連邦に戦いを挑みます。愛するメイドロボと一緒ならば、秩序を破壊することも厭わないのです。これぞ真の主人公たる姿ですよ! アハハ、アハハハハハハハ!」

フ「……怖い」



 企画九、マッチョメイド『ロボット・オブ・ウォー』


マ「おで 企画 かんがえてきた」

黒「マッチョメイド!?」

メ「マッチョメイド! プレゼンしてみてください!」

マ「主人公は 宇宙神話の機神 マッチョトス」

フ「……強そう」

マ「マッチョトスは 手がすべって じぶんの嫁と娘を スクラップにしてしまう」

黒「アホやな(笑)」

マ「マッチョトスは それに怒って 主機神マッチョウスに たたかいをいどむ」

桃「逆恨みだわね」

メ「マッチョトスが 宇宙神話の機神を ぜんぶスクラップにしたら ゲームクリア」

メ「マッチョメイド! ナイス企画ですよ!」



 企画十、黒ノ木鏡乃みらの『ロボ・ウォーズ』


鏡「皆さんこんにちは! 尼崎から来ました黒ノ木鏡乃です! 中学生です!」

桃「ハァハァ、採用」

黒「ねえ、鏡乃。新幹線代は誰が出してるの?」

鏡「時代は宇宙歴五百万年。宇宙の中心に暗黒のリキを操る悪の帝国がありました! 帝国はリキの力を使って宇宙を征服しようとしています!」

メ「大変です!」

鏡「しかし宇宙の果てに正義のリキを操るロボダイの騎士がいました! ロボダイの騎士達は超光速亜空間戦闘機ロボファイヤーに乗って帝国を爆撃します!」

黒「リキはどこいった?」

鏡「ロボダイの騎士達は帝国の巨大戦艦ロボ・デストロイヤーを爆破して宇宙に平和がやってきました! 終わりです!」

桃「六百万本売れるわ」

メ「鏡乃ちゃん、頑張りましたね!」

鏡「えへへ」

黒「ポジティブさはすごい」



 企画十一、黒ノ木黒乃『おっぱい・ウォーズ』


黒「時代は宇宙歴五百万年。銀河の中心におっぱいパワーを操る悪の帝国がありました。帝国はおっパワーで宇宙を征服しようとしています」

メ「一行でわかります! しょうもない企画です!」

黒「しかし銀河の果てに正義のおっパワーを操るおっぱダイの騎士がいました。おっぱダイの騎士達は超高速亜空間戦闘機おっぱいファイヤー(おっぱヤー)に乗って帝国を爆撃します」

フ「……言ってて恥ずかしくないの」

黒「おっぱダイの騎士達は帝国の巨大戦艦おっぱい・デストロイヤー(おっぱヤー)を爆破して宇宙に平和がやってきました。終わりです」

桃「先輩、映画化間違いないです」



メ「あれ? ご主人様、なにかプルプルと震えていますが大丈夫でしょうか?」

黒「貴様らーッ!!」

蘭「シャチョー!?」

フ「……うるさい」

黒「クソ企画ばかり持ち込みやがってー!」

フ「……クロ社長の企画が一番クソ」

黒「月に合宿に行ったからって、どいつもこいつも宇宙の企画ばかり考えやがってー!」

蘭「そのタメに月に行ったんジャなかったんデスか!?」

黒「こうなったら合宿じゃい! また合宿に行くぞ!」

蘭「イヤァー! どこにデスか!?」

黒「知らん!」

メ「合宿編第三弾、現在立案中です! 公開時期未定!」

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