第199話 ロボチューブ感謝祭です! その二

 てん、てれれんてってれん、てれれんてってれん、て、てってれん、てれっ、てれってってーん。


黒「さあ始まりました。『うちのメイドロボがそんなにイチャイチャラジオ放送してくれない』公開録音です!」


メ「ここ、浅草演芸ホールからお送りします。皆さん元気ですかー!?」


客「わあああああああああ!」


黒「いや〜、すごい盛り上がりですね」


メ「見てくださいよこの人。会場が満員です! 皆さん見えますか〜!?」


客「わあああああああああ!」


黒「メル子さん、ラジオなので見えませんよ」


メ「そうでした」


黒「(笑)」


メ「(笑)」


客「(笑)」


黒「さあ改めまして、パーソナリティの黒ノ木黒乃です」


メ「アシスタントのメル子です!」


客「パチパチパチパチパチ」


黒「さてさて」


メ「はいはい」


黒「とうとうやってまいりました」


メ「やってきましたね」


黒「連載二百回がとうとうやってまいりましたよ!」


メ「二百回ですよ、二百回。すごいことです」


黒「こんなに長期連載になるとは思っていませんでしたよ」


メ「本当ですね」


黒「ここまでこれたのもね、ここまでずっと支え続けてくれた……」


メ「私のお陰ですよ」


黒「(笑)」


客「(笑)」


黒「メル子さんのお陰ですか?」


メ「それはそうでしょう。世界一可愛いメイドロボのお陰ではなくて、誰のお陰だと言うのですか」


黒「いやまあ、そこは見てくださっている皆さんのお陰とか、そういうのあるじゃないですか」


メ「もちろん皆さんには感謝はしていますよ」


黒「感謝はしていますけど?」


メ「私のお陰ですよ」


黒「(笑)」


メ「(笑)」


客「(笑)」


黒「さあ、ではね。最初のコーナーいきますか」


メ「うちのリスナーがそんなにお便り送ってくれないのコーナー!」


客「パチパチパチパチパチ」


黒「このコーナーでは皆さんからのお便りをガンガン紹介していきますからね。メル子よろしく!」


メ「はい! メイドロボネーム『ドクター・スコーン』さんからいただきました」


黒「ドクター・スコーンさん、いるかな?」


メ「あ、後ろの方にいましたね」


客「パチパチパチパチ」


メ「えー、黒乃さん、メル子さんこんばんは」


黒「はい、こんばんは」


メ「お二人はとても仲が良いことで知られていますが、逆にお互いの嫌なところはどこでしょうか? 教えてください」


黒「はいはいはい、嫌なところね」


メ「どうでしょう、ご主人様。有りますか?」


黒「無いね!」


メ「有りませんか」


黒「無さすぎて困る。百年考えても浮かんでこないよ。まあしいていうなら」


メ「しいていうなら?」


黒「無いね! メル子のだったらケツの穴まで舐められるからね」


メ「汚い!」


黒「じゃあ、メル子はご主人様の嫌なところはあるんですかい? まあ無いとは思うけど」


メ「有りますね」


黒「あるんかい」


メ「まず、おならをしすぎですね」


黒「そんなにしていないでしょ」


メ「あと、寝る時にパンツいっちょなのも控えてください。それから私のブラを間違えてつけるのもやめてください。間違えようがないでしょう」


黒「うちの家族は全員パンイチだし……」


メ「それからどんな料理にも白飯を要求するのはやめてください。あと別のメイドロボにデレデレするのもやめてください!」


黒「こいつぅ〜、焼き餅グリルしてやんの〜」


メ「グリルしていませんよ! では次のお便りにいきます。メイドロボネーム『ニコラ・テス乱太郎』さん、いらっしゃいますか?」


黒「あ、最前列にいたね」


客「パチパチパチパチ」


メ「お二人ともこんにちは」


黒「はい、こんにちは」


メ「私には全世界のロボットを貧乳ロボにするという夢があるのですが、なかなか実現できなくて挫けそうです。どうしたら貧乳ロボだけの世界を作れますか? 教えてください」


黒「はいはいはい、貧乳ロボね。えーと、ニコラ・テス乱太郎君だっけ? 学生さんかな? 諦めたらそこで試合終了だよ」


メ「(笑)」


客「(笑)」


黒「いいかい。夢というのはある日突然叶うものじゃないんだよ。夢という目標に向けて一歩一歩進んでいくものなの。ニコラ・テス乱太郎君。昨日の君と今日の君。なにが違うかな? え? わからない? だからダメなんだよ。昨日の自分と今日の自分、違うところを見つけなさい。その違いが進んでいるのか下がっているのか、それはその日によって違うだろう。でもそれでいいのさ。進むこともあれば下がることもある。大事なのはその違いを認識することさ。一歩進んで一歩下がる。その刻んだ足跡こそが夢への道なんだ。まず自分の足跡を見つめ直しなさい」


メ「なにか良いことを言っているようで、中身がまるでない話とも言えます! ニコラ・テス乱太郎君、参考になったでしょうか!?」


黒「あ、まる〜。よかったよかった」


客「パチパチパチパチ」


メ「ではここで一曲聞いてください。ルナ・クイーンで『アイアンナックル』」



 夜空に浮かぶ白銀の君よ 伸ばした手から光が溢れる

 灼けた炉心にその身を写す 君の白肌は遠くへ逃げた


 廻りくるその姿は かたちを変えて

 そのひとつひとつに あなたが見えた


 拳を握りしめて 顔面を撃ち抜こう

 角度とか深さが いい感じになれば

 君の心が 私に届く


 拳を握りしめて 顔面を撃ち抜こう

 角度とか深さを 間違えたならば

 君の体は 廃棄場送り



客「パチパチパチパチ」


黒「いやー、いい曲だね」


メ「月のヒットチャートランキング一位らしいです」


黒「さあ! そろそろ番組も終わりが近づいてきました」


メ「初めての公開録音。皆さん楽しんでいただけましたか?」


客「わあああああああああああ」


黒「よかったです。公開録音はここで終わりになりますけど、この後もご主人様感謝祭は続きますからね」


メ「ご主人様! 次のコーナーはアレですね!」


黒「そう、アレね。ここで重大発表があります」


メ「なんでしょうか!」


黒「次のコーナーでなんと! 『うちのメイドロボがそんなにイチャイチャ百合生活してくれない』の二百回目が先行放映されます!」


メ「来ました!」


客「うおおおおおおおおおおおお!」


メ「いやー、どのような話なのでしょうか。楽しみですね!」


黒「ふふふ、じゃあちょっとだけ教えちゃおうかな」


メ「え!? 教えてくれるのですか!?」


黒「なんと第二百回目に『最終話』が放映されます」


メ「え? 最終話? え?」


客「え? え?」


黒「次回なんと最終話が載ります!」


メ「ええええええええええ!? え? え? え? 最終話!?」


黒「最終話です」


メ「ちょっと待ってください。え? この作品が終わるということですか!?」


黒「終わりません」


メ「え? 次の話が最終話なのですよね?」


黒「最終話が載ります」


メ「じゃあ作品が終わるということではないですか!」


黒「終わりません」


メ「ちょっと言っている意味がわからないのですが。次が最終話なのですよね?」


黒「次に最終話が載ります」


メ「では連載が終わるのですよね!?」


黒「最終話が載りますが、連載はその後も続きます」


メ「全然わかりません! 最終話が載ったらもう連載は終わりですよね!?」


黒「最終話の後も今まで通り連載は続きます」


客「は? え? わからん!?」


メ「ならば最終話ではないですよね!?」


黒「本来連載の一番最後に載せるはずだった話を特別に次回載せます」


メ「なんでそんなわけがわからないことをするのですか!!」


黒「だってそれがこの作品だし。基本わけがわからない作品でしょう」


メ「いや、そうかもしれませんが……これは常軌を逸していますよ!」


黒「次回最終話を載せます」


メ「ええええええええ!? わかりません! 終わるのですか!? 終わらないのですか!?」


黒「終わりません」


メ「ああああああああ。頭がおかしくなりそうです!」


客「えええええええ!?」


黒「さあ、お送りしてきました『うちのメイドロボがそんなにイチャイチャラジオ放送してくれない』公開録音! お別れの時間がやってまいりました! メル子さん! どうでしたか?」


メ「え? なにがですか? 今日なにかしましたっけ?」


黒「衝撃のあまりメモリが飛んでいるようですね。では皆さん、最終話の後にお会いしましょう。ワーワー言うとります、お時間です」


黒メ「さようなら」


客「パチパチパチパチ……???」

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