第147話 企画会議です!

黒「では第一回企画会議を始めたいと思います」

メ「はい! 拍手です!」

桃「ぱちぱちぱち」

蘭「パチパチパチ」

フ「……パチ」

黒「この会議はね、我がゲームスタジオ・クロノスの記念すべき第一作目のオリジナルゲームの企画をみんなで考えていこうではないかという会議でございますよ。FORT蘭丸ふぉーとらんまる!」

蘭「ハイィ!?」

黒「企画は考えて来たんだろうな?」

蘭「もちロンです!」

黒「桃ノ木さんは議事録をよろしく」

桃「おまかせください、黒ノ木先輩」

黒「フォト子ちゃん!」

フ「……なに?」

黒「可愛いから名前呼んでみただけ!」

メ「ご主人様! 進めてください!」

黒「じゃあ早速始めようか。我こそはと思う人は手をあげてください」

蘭「シャチョー! ボクからいかせてくだサイ!」

黒「お、やる気充分だな。じゃあFORT蘭丸から頼む」

蘭「ハイィ! こういうノは最初にやってしまった方が後が楽ナノです。最初に名乗りをあげることデ積極性を認められクソ企画だとしても一定の評価を得られマス。後にいくほどネタ被りが発生しプレゼンは難しくナリます。ナニより最初に終わらす事によりメンタル的に楽な状態で会議に参加する事ができマス」

黒「はよせい!」



 企画一、FORT蘭丸『フォートらんまるナイト』


蘭「ボクが考えたノはフォートらんまるナイトというゲームデ、略してフォートナ……」

黒「略さなくていいんだよ」

メ「ジャンルはガンシューティングアクションでしょうか……」

蘭「さすが女将サン! よくおわかりデ!」

黒「んで、何が特徴のゲームなの」

蘭「ハイ! このゲームの特徴は千人のプレイヤーにヨるバトルロイヤルデス! 千人のプレイヤーが島ニ集まり一斉に戦いマス」

桃「FORT蘭丸君、千人は多すぎない? すごい時間かかっちゃうでしょ?」

蘭「ゴ心配なく。開始十秒で爆撃によりプレイヤーが半分になります」

フ「……クソゲー」

蘭「課金アイテムで地下シェルターを販売しまスので爆撃はこれで生き残れマス!」

メ「開始で半分になってもまだ五百人もいますよ」

蘭「大丈夫デス! 課金アイテムで巨大ロボを販売しマス! 巨大ロボ一体で百人は倒せマス!」

黒「じゃあ最後は巨大ロボ同士の戦いになる感じか」

蘭「そうデス! 巨大ロボはロマン! ボクもいつかは巨大ロボを設計シテ操縦してみたいデス! ピポパポ!」

黒「無課金勢を削ぎ落としていくゲームね」



 企画二、桃ノ木桃智もものきももち『ときめき丸メガネ』


桃「私が考えたのはときめき丸メガネ。略してときメガです」

黒「丸メガネとはいいところ突いてくるね」

桃「はい。このゲームはいわゆる恋愛シミュレーションゲームで、ヒロインは全員丸メガネです」

黒「へえ、面白そうだ」

メ「そうでしょうか……」

桃「丸メガネの女の子達と学園生活を送り、親密度を上げ、卒業式の日に伝説の丸メガネの下で告白をします」

フ「……伝説の丸メガネってなに」

黒「百万本売れる」

メ「丸メガネ需要の過大評価が凄いです……」



 企画三、影山かげやまフォトン『スプラフォトーン』


フ「……するの」

黒「なんて?」

フ「……浅草の町をペンキで埋め尽くすの」

蘭「それはナニを競うのですカ?」

フ「町に色を塗ってるだけで楽しい、ウフフ」

メ「笑顔が可愛いです!」

黒「色塗るだけでゲームとして成り立つのかなあ」

フ「……じゃあ他のプレイヤーも一緒に色を塗るの」

桃「邪魔をするって事かしら?」

フ「一緒に色を塗れたらもっと楽しい、エヘヘ」

メ「可愛いです!」

蘭「勝ち負けトカはないのデスか?」

フ「じゃあ、たくさん塗れた人が勝ち」

黒「こいつぁ売れそうだ」

メ「やめておきましょう!」



 企画四、メル子『刺股さすまたサバイバーズ』


黒「刺股?」

メ「はい! 最強武器である刺股一本で迫り来る大量の敵をギッタンバッタンと薙ぎ倒していくゲームです!」

蘭「女将サン! 刺股なんて弱いですヨ」

メ「刺股は強いですよ!!!!」

蘭「ごめんナさい!」

黒「でも刺股だけじゃ絵面が地味でしょ」

メ「その点はご心配なく。電気刺股、刺股二刀流、刺股銃、刺股バズーカ、刺股戦車などのバリエーションを用意しています!」

桃「刺股って誰に需要があるのかしら」

メ「ご存じないのですか!? 最近は女子高生だって刺股を持っていますよ!」

黒「うそこけ」



 企画五、マリー・マリー『お嬢様GO』


マ「オーホホホホ! わたくしの番ですわねー!」

黒「うわっ、マリー!? いきなり入ってこないでよ。何しに来たの?」

マ「今日は企画会議があると聞きまして企画を持ってまいりましたのよー!」

メ「部外者は立ち入り禁止です!」

ア「お嬢様が徹夜で考えた企画を聞かないとお損をいたしますわよー!」

蘭「黒ノ木シャチョー! せっかくだかラ聞くだけ聞きましョう!」

黒「ああ、そう。じゃあまあいいや。マリー話して」

マ「お嬢様GOは地図を使ったゲームですのよ。地図にお嬢様の居場所が記されておりまして、実際にその場所まで歩いていくと野生のお嬢様に会えるのですわ」

黒「野生のお嬢様!?」

マ「そしたらお嬢様ボールを投げてぶつける事でお嬢様を捕獲する事ができますの」

蘭「楽しそうデス!」

桃「お嬢様を捕獲して何をするのかしら?」

マ「もちろんお嬢様バトルをしますわ」

メ「お嬢様バトル!? どうやって戦うのですか!?」

マ「札束が武器ですわ。札束で相手の頬を張るのですわ」

フ「……醜い戦い」

マ「もしくは札束が入ったトランクケースの角で相手の頭を殴りつけるのも有効ですわよ」

黒「それもう石投げてるのと変わらんじゃろ……」

ア「これはもう大ヒット間違いなしでありゃんすわー!」

マア「「オーホホホホ!」」



 企画六、ゴリラロボ『バナナフィットネス』


ゴ「ウホ」

黒「うわ、びっくりした。ゴリラロボが入ってきた」

ゴ「ウホ」

黒「なになに? 自分も企画を考えてきたから聞け? しょうがないな。話してみろ」

ゴ「ウホ」

黒「なになに? バナナ型コントローラーを使ってバナナを上手に取って食べるゲーム? 実際に体を動かさないとバナナが取れないからフィットネスになる」

ゴ「ウホ」

黒「ゴリラロボの癖に常識的な企画を持ち込むな」



 企画七、マッチョメイド『マッチョマッチョレボリューション』


マ「おでも 企画 もってきた」

黒「うわ、また来た。なんでこの会議の情報が漏洩してるのよ。情報漏らした人誰!?」

メ「マッチョメイド! 話してみてください!」

マ「画面に ポージングのアイコン 流れてくる それにあわせて ポージングする うまくポージングできたら 高得点」

黒「うーむ……思ったよりいけそうだな」

メ「ナイス企画ですよ、マッチョメイド!」



 企画八、美食ロボ『イチャモン』


美「店主、ここがプレゼン会場か」

黒「そうですけど」

美「ではここで一番面白いと思う企画をプレゼンしてみろ」

黒「いやあんたがプレゼンする側だよ」

美「店主、この企画は本物か?」

黒「ちゃんとみんなが考えてきた企画だよ」

美「ほほう、では教えてくれ。本物の企画とはなんなのだ」

黒「なにって、面白くて売れる企画を考えてますよ」

美「ふうむ、面白い企画か……そもそも面白いとはなんなのだ? 売れたら面白い企画なのか? 売れさえすればなんでもいいのか? ここの企画が本物と言ったからには答えてもらおう。まず第一に面白いとは何か?」

黒「そんな簡単に面白さを定義できたら苦労せんわ!」

美「面白さの定義もできないくせに売れるゲームというのはおかしいじゃないか」

黒「帰りなはれや!」



 企画九、黒ノ木鏡乃みらの『エターナルメイドブリリアント』


鏡「黒ノ木鏡乃です! 中学生です! 今日は企画を持ってきました!」

黒「この為に新幹線乗ってきたの!?」

メ「ご主人様、聞いてあげましょう」

鏡「主人公は最強メイドロボで右手に魔界神ロボメガーネの呪いを受けています! メイドロボは普段はその呪いを気合いで押さえ込んでいるけど、怒ると呪いが暴走して町を滅ぼしてしまいます!」

黒「これなんの話?」

鏡「メイドロボはロボメガーネに攫われた妹を助ける為に太陽神メカシロッティの啓示を受けて魔界に乗り込みます! メイドロボはロボメガーネにエターナルメイドブリリアントを炸裂させて妹を助け出しました! 終わりです!」

メ「鏡乃ちゃんすごいです! 面白いです!」

桃「感動しました」

鏡「えへへ」

黒「どうしよこれ」



 企画十、黒ノ木黒乃『おっぱいクエスト』


黒「最後は私の企画だね」

蘭「シャチョー! 待ってまシタ!」

黒「プレイヤーはアイカップ勇者ね。アイカップ勇者がAカップ魔王をしばき倒すRPGだ!」

メ「悪い予感しかしません……」

黒「アイカップ勇者は酒場で自由に仲間を集める事ができる。Jカップ戦士、Kカップ僧侶、Lカップ魔法使い!」

フ「……動きにくそう」

黒「レベルが上がる毎にカップ数も上がる! 最強のZカップ勇者一行とAカップ魔王の戦いは必見!」

桃「先輩、絶対に売れますよ」

メ「一番しょうもない企画でした!」



メ「ご主人様……プルプル震えていますが大丈夫でしょうか」

黒「貴様らーッ!」

蘭「どうしマしたシャチョー!?」

黒「クソ企画ばっかり持ち込みやがってー!」

フ「……クロ社長の企画が一番クソ」

黒「こりゃあ性根を入れ替えて企画を練り直さにゃあにっちもさっちもいかんぞ!」

メ「はあ」

黒「明日から冬季休暇の予定だったが返上する!」

蘭「イヤァー! ブラック企業!」

黒「大晦日おおみそかに向けて初日の出合宿を行う! 合宿でお前らのたるんだ心身を鍛え直してやるから覚悟しろ!」

メ「次回より『ろぼキャン編』始まります!」

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