第125話 ご主人様ショッピング
「はい、はい、はい、始まりました。はい、始まりました。『ご主人様ショッピング』の放送がね、始まりました」
カメラの前に白ティー黒髪おさげの女性が現れた。丸メガネの上から丸いグラサンをかけている。
『始まった!』
『グラサンwww』
『ここどこですの?』
「あ、ここはですね。
「ご主人様! 名乗ってください!」
「あ、どうも皆さん。ご主人様ショッピングの
「助手の
「あ、早速コメントが来てますね。ぱっくりピスピスさん、飛んで平八郎さん、今日もよろしくね、お願いしますよ。あ、季刊で合併号さん、初めまして。見ていってください。あ」
『なにショッピングってwww』
『メル蔵ー!』
『何か売るの?』
「あ、今日はですね、あの、売るものがね、あるんですよ。ないんですよ。いやあるんですよ」
『どっちだよwww』
『メル蔵を売ってくれ』
『なんで尼崎にいますの?』
「では、あ、皆さん。早速いっちゃいましょうか。商品をね、紹介しますよ。メル蔵!」
「デュルルルルルル、デン!」
「ご主人様メガネwithクロノキメガネ〜!」
「パフパフパフ!」
黒男は手に持った丸メガネをカメラに近づけた。
『丸メガネwww』
『世界のクロノキメガネじゃん』
『誰が買うんだよwww』
「お、凄い反応が来ていますね。さすがクロノキメガネ。皆さん、よっぽどクロノキメガネが好きなんでしょうか」
『違うわwww』
『有名なブランドなん?』
『全然知りませんの』
『まさかのコラボ!』
「では、では、今日はね。このクロノキメガネの良さをね、あの、ガンガン紹介して、ガンガン売っていきたいと思います!」
「ご主人様! ゲストの紹介をしてください!」
「あ、そうそう、今日はね、特別ゲストがね、来ていますから。じゃあ早速、紹介していきますよ。まずは一人目!」
カメラの前に白ティー黒髪おさげの少女が現れた。丸メガネの上から丸いグラサンをかけている。
「あ、皆さん初めまして。
『!?』
『え? なにこれ?』
『そっくりさん?』
「丸メガネ愛好家の
カメラの前に白ティー黒髪おさげの少女が現れた。丸メガネの上から丸いグラサンをかけている。
「あ、どうも、こんに、あ、
『またそっくりさん!?』
『え? これCG?』
『どういう事?』
「丸メガネ愛好家の
カメラの前に白ティー黒髪おさげの少女が現れた。丸メガネの上から丸いグラサンをかけている。
「あ、こんにちは! 丸メガネが大好きな
『また増えたwww』
『クローン人間なの?』
『何この番組』
「丸メガネ愛好家の
白ティー丸グラサン黒髪おさげの四人はずらりと横に並んだ。
『四姉妹!?』
『区別がつかないwww』
『鏡豚ちょっと小さくて可愛いwww』
「はい、それぞれ個性豊かなゲストがね、来てくれましたよ。みんなよろしくね」
「「よろしくお願いします」」
『個性豊かwww』
『個性は凄いけど区別がつかねんだわ』
『全員貧乳www』
「あ、エゴマカップヌードルさん、区別がつかないとは? あ、とにかく明るい緋村さん、貧乳ではないですね」
「ご主人様! 最初のコーナー行きましょう! デュルルルルルル、デン!」
「丸メガネの良いところ百個言ってみた〜」
「パフパフパフ!」
『百個はないだろwww』
『三つが限界だわ』
「あ、クロノキメガネはですね、日本の丸メガネのシェア九十パーセントを占めている凄いメガネですね。世界の丸メガネ市場でもね、丸メガネと言えば『Kuronoki』みたいに言われていますよ。
「はい!」
「一つ目いって!」
「丸い!」
『そりゃ丸いだろwww』
『丸いと何が良いんだよwww』
「
「はい!」
「二つ目!」
「丸い!」
『被ってるwww』
『展開読めたwww』
「
「なあに?」
「三つ目!」
「頑丈」
「そこは丸いでボケるところでしょ!!!」
『ボケ失敗www』
『中学生には難しかったwww』
『鏡豚かわいいwww』
「メル蔵!」
「はい!」
「四つ目!」
「視界にフレームが入ってこない!」
「ガチに答えた!」
『さすがメル蔵』
『ガチでもいいだろwww』
『メガネかけてないのになんで知ってるのwww』
するとカメラが黒男が手に持っている丸メガネにズームアップした。
「そんな良いところいっぱいのご主人様メガネwithクロノキメガネを九万円でご提供致します」
『クソ高いwww』
『誰が買うんだよwww』
「よく見てください。フレームに『ご主人様チャンネル』の刻印があります。かっこいいでしょう?」
『¥90000。買いました』
『売れたwww』
『まじかよwww』
「あ、ニコラ・テス乱太郎さん、お買い上げね、ありがとうございますよ。あ、でも月までは送料が高すぎるので浅草の販売店までね、取りに来てください。メル蔵!」
「はい!」
「メル蔵モデルもいこうか!」
「はい!」
すると画面に紙袋を被ったメイドロボが現れた。紙袋の中に手を突っ込み何かを取り出した。
「こちら私、メル蔵モデルの丸メガネになっています。よく見てください。フレームに『メル蔵』の刻印があります。十五万円での提供となります」
『ガチで高えwww』
『なんでそんなに高いのwww』
「クロノキメガネのフレームは形状復元ナノフレームを採用していますので大変高価になっております。折れて真っ二つになっても米粒でくっつけておくだけで翌朝には復元しています」
『すげえ!』
『さすがナノテク!』
『¥150000。買いました』
「ニコラ・テス乱太郎さん、お買い上げありがとうございます。月までは送料が高すぎますので、浅草の販売店まで取りに来てください」
「クロちゃん!」
「どした? 鏡豚?」
「鏡豚もメル蔵モデルの欲しい!」
「鏡豚は最新モデルの貰ったばっかりでしょ。それでいいでしょが」
「欲しい! メル蔵モデルのが欲しい!」
「わがまま言うな!」
「みーちゃん! 今配信中だから!」
「欲しい!」
黄豚と紫豚が慌てて鏡豚を宥めにかかる。
『内輪揉めwww』
『まあ中学生だからな』
『鏡豚かわいいwww』
「じゃあもう次のコーナーいきますよ」
「デュルルルルル、デン!」
「丸メガネ味比べ〜!」
「パフパフパフ!」
『味比べ?』
『なにそれ?』
『なんかやばそうwww』
「あ、このコーナーはですね、四人の丸メガネをですね、あの、メル蔵に味見してもらいまして。そんで、誰の丸メガネかを当てるというゲームですね」
『イカれてるwww』
『キモいwww』
『メガネに味は無いだろwww』
「ではメル蔵!」
「はい!」
「目隠しして椅子に座って!」
「準備できました!」
「じゃあ最初の丸メガネはこれ!」
黒男は丸メガネをメル蔵に手渡した。
「くんくん、この匂いは……馴染みの無い匂いですね。この時点でご主人様は選択肢から外れます」
メル蔵は丸メガネをペロリと舐めた。
「若い味がします。濃い目の味でずっと洗っていない感じですね。あまり運動していないからか苦味があります」
『汚ねえ!』
『これBANされるだろwww』
『やべえwww』
「わかりました! 紫豚ちゃんの丸メガネです!」
「ファイナルメガネ?」
「ファイナルメガネ!」
「正解!」
「やりました! どんなもんですか! 簡単ですよ! ちょろいもんです! 皆さん見ましたか!?」
『すげえ』
『わかるもんなんだな』
『これを見て丸メガネを買いたくなるのか?』
「では次の丸メガネいくよ!」
「はい!」
黒男は丸メガネをメル蔵に手渡した。
「くんくん、あれ? 匂いはしませんね。清潔に管理しているようです。これは難問ですね。味を見ておきましょう」
メル蔵は丸メガネをペロリと舐めた。
「ほぼ無味に近いです。でも待ってください。微かに鼻の奥に抜ける感じ……このフレーバーはどこかで味わった経験があります。もう一度舐めてみます。あれ? 先ほどとは味が変わりましたね。左右で味が違います。これは……? 大人のビターな雰囲気が加わっています。という事はご主人様? いや待ってください。ご主人様の丸メガネならば一口目でわかるはずです。なるほどなるほど、そう来ますか。引っ掛けようとしても無駄ですよ! 何年メイドロボをやっていると思っていますか! 舐めてもらっては困りますよ! この丸メガネの持ち主は黄豚ちゃんです! ファイナルメガネ! 簡単ですよ! どうですか!」
『あれ?』
『どした?』
『ファイナルメガネしたぞ?』
「答えは黄豚ちゃんです! どうですか!? ファイナルメガネ! さあ!」
『なんかいなくね?』
『貧乳どもどこ行った』
『おーい!』
「なんですか! もったいぶりますね! ファイナルメガネ! ファイナルメガネ! もう目隠し取りますよ!? 黄豚ちゃんの丸メガネで正解でしょう! 目隠し取りますからね!?」
メル蔵は目隠しを取り周囲を見渡した。そこには誰もいなかった。
「って、いないし!!」
『放置www』
『ドッキリwww』
『公園で丸メガネを舐めるメイドロボwww』
『ロボマッポ呼んで!』
「あ、ではね、今日はこの辺で配信を終わろうと思います。皆さん丸メガネの購入お願いしますよ。あ、なかやまインジェクション加工にくんさん、今日も楽しんでいただけたでしょうか? あ、全自動忖度機さん、次回もね、見てくださいよ。それでは次回の放送でお会いしましょう、さようなら」
(軽快なBGM)
「ご主人様! どこにいきましたか!」
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