旅の行方


 ふうと息をつきながら、地面に寝転ぶ。頭を上にやるとイチョウが心配そうに枝を震わせた。大丈夫だよとアオは手を振る。


「アオ。それで種は?」

「ん、ここにある」


 ごそごそと胸ポケットから胡桃くらいの種を取り出した。

 そう、深山に渡したのは守護樹の種ではない。とっさに持っていた他の種に神通力を流して、胡桃くらいの大きさに巨大化させ、壺に入れるときにすり替えたのだ。


「良かった」

「せっかく苦労して手に入れたんだ。簡単に渡すわけないだろ」

「だよな。漁夫の利で持って行かれてたまるかってかんじだよな」

「そうそ。きっと、大輪のヒマワリが半年後くらいに咲いてるはず」


 ククッと二人で笑い始める。深山がポカンとしてヒマワリを見上げているのを想像したら、腹を抱えて笑ってしまったけれど。


 守護樹の種が手に入った。大きな収穫だ。この種を持っていることで危険は増えるだろう。でも、種を狙ってくる奴は、きっと美優に関しての情報を持っているはずだ。


 一人じゃきっと心が折れてしまう。イチョウだって一人が寂しくてぐれてしまったくらいだ。

 でも、自分たちはお互いを支え合っていける。弱いところを見せたくなくて踏ん張れる。

 だから、きっと大丈夫。旅の終着まで前を向いて歩けるはずだ。





(了)



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ボタニカルな世界で冬夏青青~旅の行方は前途多難~ 青によし @inaho

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