第9話 海底の山 ひらけゴマ


 正直めちゃめちゃ怖かった。

 突然視界がぐるんと回った。


 お兄さんいわく、鉄の鳥が頭から海に魚を取ろうとするかのように突入。それに合わせて座席がぐるんと回って私は下を向く鳥の中で横を向くように座っている。


「わー…!!きっれい!!」


 海の中は太陽の光で青く輝いている、魚も海藻も人がいない世界で楽しそうに生きていた。さっき怖かったのはもうこれでチャラ!もう空の旅と海の旅でここ最近掘り出していた疲れなんて消し飛んでしまったね!



 だけど鳥は深く深く海の底へと沈んでいく。しばらくすると魚も海藻も視えなくなり周囲は闇の世界に…暗い闇の中を椅子に座ったまま沈んでいく。

 ずーっと沈んでいくと何もなさ過ぎて暗い世界に私とお兄さんだけになったような気分になる。



「仕事を終えた仲間たちがもう少し残ってくれていればもっと景色が良かったんだけどすまないね。今ライトが復旧できたから少しだけ明るくなりそうだよ」


 そう軽く笑うように、申し訳なさそうにお兄さんが話しかけてくる。

 いわれるやいなや。パッと暗い世界になにかがある程度には見えるようになった。

 どこまでも広い海の底、ぼんやり変わった見た目の魚たちや大きな岩や海底に山まで見える。

 その山はなんだろう?手前半分は大きなドミノ倒しのような、いや瓦が3枚あるような不思議な見た目をしていた。その奥には高い塔のような山、さらに奥は高台の平地。



「お嬢ちゃん。あれが目的地だ。もう少しだけ我慢してくれよ」

「我慢なんてしてないよ?ありがとうお兄さん私にこんな楽しい景色をみせてくれて。あの山のどこへ行くの?」

「下から潜り込むように…行きたいんだけど隙間が無さそうだからね。奥の平らな場所へ行こう。そうすれば迎え入れてくれるはずさひらけゴマってね」



 ひらけゴマが何かは分からなかったけど鳥は山の奥側、三枚瓦の奥の塔よりさらに奥の平地に着陸する。すると大地をするりと通り抜けて飛行機は闇の中に沈んだ。

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崩壊世界でご飯を配ります。拾いました、無限生産拠点船『トレビ』 蹴神ミコト @kkkmikoto

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