竜血の姫

作者 うぉーけん

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★★★ Excellent!!!

鉱物に造詣の深いドワーフの姫シンシャを探偵役に、姫を慕うアナグマの獣人の少女アイオンを助手役にして展開される濃密なミステリ。
重厚な文体で、軽妙に描かれる謎解きは、読者を次のページへの誘う。

……しかし、あえてこの作品において特筆したいのは、ミステリというジャンルの閉塞感を、ファンタジー世界という道具をもって拡張しながら、歴史性という楔によって自己批判の意識をも内包している点にある。さらに、その歴史性をもまなざす重層構造が存在するのである。

ミステリはその性質上、制約が多く(ノックスやヴァン・ダインの戒律は、その典型だろう)、その可能世界は小さくなりがちである。(例えば、絶海の孤島であるとか、外界から隔離された洋館であるとか)。
それは緊迫感を演出し、トリックの強度を底上げする点でミステリの魅力であるが、同時に、読者に閉塞感をもたらすこともある。
本作は、そのデメリットを、亜人や魔法や竜やらの伝承伝説が織りなすファンタジー世界で置換することで、矮小な現実世界を拡張するというファンタジーの機能が働き、無限に広がる世界の地平を感じさせながら、同時に確固としたミステリのお約束を守ることを両立しているのである。
本作は、魔法を基調とし、亜人による文明が繁栄する大陸を、電気による”近代”文明をもって蹂躙した西方の島国セプタードアイル帝国の帝都が舞台である。実は、トリックや謎解きの根幹となるのは現実世界の鉱物知識や化学であり、ファンタジー世界を代表しているのは主人公とその付き人だけなのだ。ではあるが、要所要所に散りばめられた大陸の様子や、ドワーフの文化の描写が、読者の想像を広大かつ未知なるファンタジー世界に駆り立てるのである。その可能世界の広大さが、ミステリの閉塞感を打破し、柔軟な物語世界を構築している。

とはいえ、二つジャンル、特にファンタジーは、無自覚に世界を構築する危険性… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

金属と鉱物の扱いに長けた魅力ある女性ドワーフが独自の視点と知識を武器に、巻き起こる事件を解決していく物語です。

ぴしっ丁寧に描かれる世界を舞台を、ほんわか可愛い「アナグマ獣人の女のコ」の目線で描かれます。

冷徹で重厚な世界観を、可愛い視点で魅せるギャップにヤラれました。

・重厚なファンタジー
・獣人(けもみみ)
・鉱物、金属、宝石
・推理、ミステリー
・工業、ミリタリー がお好きな人!是非お勧めです!


あっ、プロローグは頑張って乗り越えて下さい。