月の独り言 🌗

上月くるを

月の独り言 🌗





 眼下には黄金色の稲田と白い蕎麦の花畑、マンションの常夜灯が消え始めました。

 明け方、西の空にかたむいて、だんだん白くなりながら、月は静かに思いました。




 ――ゆうべ眠れず苦しんだ人たち、少しだけ考えを変えてみたらどうかしら。🌙

   人間の目は外側に向いてついている、その意味を知ったら、きっと……。🧚‍♂️




 ズームアップしてみると、朝晩の冷気に濃さを増した紅や紫の朝顔の花、人丈近く浮いて咲くコスモス、てんでんばらばらを向いた猫じゃらし、だれもいない保育園。


 新聞配達のオッチャンオバチャン連はそれぞれの店にもどり、早番のダンプカーがブルルルンと出動し、スーパーの品出しはいまが佳境で、犬の散歩組みが三々五々。


 入れ替わりに空に昇る太陽とともに地球の活動が始まろうとしているようですが、大半の人が胸の内に抱える悩みや葛藤は、朝になったからといって消えてはくれず。



 

 ――ただね、外側に向いた目に見えたことだけが真実とは限らないのよね。🏙️

   視線を自分に向けたらいままで気づかなかったものが見えて来るかも。🔏



 

 事実はひとつではなく、いろいろな角度から見れば、それだけの数の事実がある。

 そのこと(誤解)に気づくことができたら、煩悶や苦痛から解放され楽になれる。


 われわれ悠久の宇宙から見たら、人の一生は、ほんの一瞬の儚さでしかないのに、その大切な時間を負のスパイラルに縛られて無為にするほど残念なことはないもの。


 


      🌄




 そう呟いているうちに、東山のうらが茜色に染まり始め、呼応して月は白くなり。

 あっという間に干菓子のように薄く頼りなくなった月は、もうなにも言いません。


 

 

 

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