第10話 エンディング

アレクの店はオープンしてから、約1週間経過した。

味はもちろん、イケメンを揃えた店内の雰囲気は評判 も 良かった。

オーナーの叔父さんだけでなく、気難しい父親からもわざわざ電話をかけてきてアレクの店を称賛してくれた。


従業員のジョンがリピートで来店した客の席番号を伝えに来る。

『きっとアレクさん目当てですよ。』

ジョンはアレクの手を取り甲にキスをする。


『レジの確認お願いします。』

サムに呼ばれてアレクはレジ横で電卓をはじく。

サムは計算が終わるまで、アレクの首筋にキスをしている。

『サム、計算が合わなくなるだろ。』


『アレクさん、先休憩どうぞ。』

冷蔵庫からペットボトルを取り出して、アレクは休憩室に入る。と、間髪入れずにボブが付いて入る。

アレクは振り返りボブの首に手を回しキスをする。


体が幾つあっても足りない職場だ。

流星の所に行く暇もない。俺が行かなくて寂しがっていないかな?


『ちょっと!何処に行くの?』

結子が休憩室に向かう道を手を伸ばしてとうせんぼする。

『マイクさん宛の電話が来たので。発注の件みたいですよ。』

最近入ったばかりのバイト君には、マイクと流星の休憩の邪魔はしないように、後で釘を差しておかないと。

『私が変わりに出ますね。』

結子はにこりとする。

電話、私がわかる内容で良かった。

休憩中の2人の仲の邪魔はしたくない。

今頃キスとかしてたりして!


フロアに戻ると有名小説家の噂がたっている常連さんとバッチリと目があった。

なんとなく結子と同じ臭いがする。腐男子かな?

結子はついOKマークを手で作る。


『先生!BrightWin先生!聞いてますか?もしもーし。』

担当が次の連載の話をしている。

前回の小説、レストランを舞台にした話の評判が良かったからスピンオフを書いて欲しいと。

あぁ、いくらでも書くさ。

今度は高校を舞台にするか、それとも生徒と先生にするか、異世界ものか…。

ネタはつきない。

BrightWinはもちろんペンネームだ。

本名は非公開なので、ここには書けない。

それよりも、マイクと流星が休憩室に入って行ってから10分以上経っている。

色々と妄想が膨らむが、厨房からフロアに出てきた結子さんと目があった。

結子は指でOKマークを作っている。

これは、とうとう、もしかして、もしかしてかも!!


マイクはつい椅子から腰を上げてしまった。

隣の流星もゆっくりと立ち上がり、マイクを見つめる。

マイクは段々と顔を近付けてくる流星の口元をつい手でガードしてしまった。

流星はマイクに口元を塞がれた手を取り自分の指を絡める。

改めて流星の顔が近付く。マイクは目を瞑って横を向いてしまった。

流星の息が首にかかる。

首筋に唇が触れる。

『ちょっっ!』

マイクはもう片方の手で流星を押し退けようとするも、その手も掴まれる。

『嫌なら押し退けて。』

流星の唇がマイクの唇に触れる。また離れて、今度ははむはむと唇を挟むようなキス。

唇を離し、流星はマイクをじっと見つめる。

マイクは瞑っていた目を開けて、パチパチを瞬きをした。

抵抗しようと思えば出来るのに、何故か押し退ける事が出来ない。

何か言わないと。

『休憩時間が…。』

流星はマイクの腕時計を自分の方に向けて、『後10分ですよ。何して過ごしましょうか?』

流星は小悪魔らしい微笑みで、マイクの指先を自分の口元に持って行く。

どうやら、マイクは流星にキスするしか選択肢はないらしい。




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君のせい @BrightWin

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