壊したもの

@1malg_eunbam

壊されたもの

今日も金属と金属が重なり合う音で目が覚める。私はいつものようにのろのろと外にいる彼らと同じようなものをもって家を出る。「行ってきます」誰も返事はしないけど。一応。いつからこんな世界になったのかは私にはわからない。いや、わかってはいるけど認めたくない。私は少し前までは幸せに囲まれすぎていたんだ。そうやって私はいつも失ってから、価値に気づく。いつも私は遅い。この現実のはじめからも私は遅れていた。



あの日の朝も私は寝坊していた。のろのろ下に降りて行ったこと、テレビでみんなの日常が変わったこと・・・家族を失ったこと。すべて昨日のことのように覚えてる。

この世の中のすべてが変わった。食べ物も衣服もすべてAIが配るような配膳式になった。そしてAIがこの世を支配した。AIから与えられるものはどれのもこれにも心がないし、何より量が少なかった。AIは1家族に1か月に一回野菜ジュース3本と、米を3合しかくれなかった。そんな少ないと人は自分を犠牲にするか、それともほかの人を犠牲にして、自分が生き残るかどちらかしかしなくなった。

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