第26話 決戦前夜

鳥取との対戦を終えた一城たち。決戦前夜、徳島の阿波美知事とテレビ電話をすることに。


出水「結果聞いたよ。鳥取に勝利おめでとう。」


一城「ありがとうございます。阿波美知事も群馬に勝利してましたよね。」


出水「当然。これで冬の資金戦が終われば私たちのCランク昇格が確定したわね。」


一城「そうか、全試合が終わってCランクのチームより資金が高ければランクが上がるルールでしたよね。」


出水「明日は私たちの試合、勝った方が負けた方に一生服従よね。」


一城「忘れていないとはさすがっすね。」


出水「別に、勝つのは私たちだから不安はないしね~」


出水は一城を煽るような言動を出したが一城は表情を何一つ変えることなかった。


一城「では、明日お会いしましょう。」


出水「えぇ。お互い、いい試合をしましょう。」


一城「はい。失礼します。」


一城はビデオ通話を切った。


一城「くっ・・・・・・相変わらずの自信ぶり。それでも強いんだよな。」


一城はどうやって徳島に勝つか考えてみることに。


一城「いや、今日は帰って寝よう。静流たちは先に帰ったし明日に備えて頭を休めよう。」


一城は帰り支度を整えて自分のマンションに帰った。


一城「あれ?明かりついてる。消すの忘れたかな?」


一城はドアにカギを刺して開けた。


一城「ただいま~って誰もいないのについつい言っちゃうんだよな。」


すると奥からパタパタと誰かが向かってくる音がした。


綾乃「お帰りなさい。ご飯もうできていますよ。」


一城「マジか、腹ペコだったから助かるわ~」


一城は靴を脱ぎながら違和感なしに答えて首を傾げる。正面を向くと黄色のギンガムチェックのエプロンを着た綾乃の姿が。


一城「な!?なんで綾乃が俺の家に?」


綾乃「反応遅いですよ~そこは私が向かって来た時に言ってくださいよ。」


一城「いや、自然すぎて気づかなかった。」


綾乃「他のメンバーもいますよ。」


一城「は!?」


一城がリビングに駆け込むとダイニングキッチンの机に恵、葵、静流の4人が座ってご飯のかつ丼を食べていた。


恵「あっ。一城さんお邪魔しています。」


葵「早く食べないとかつ丼冷めてしまいますよ。」


一城「いやいやいや!お前ら何シレっと人んちで飯食ってんだ!?」


静流「忘れてない?このマンション、ウチが所有してるの。だから合鍵の一つや二つ持ってるわよ。」


一城「そういえばココはそうだったな・・・・・・」


綾乃「ささ、一城さんも食べてください。」


一城「ありがとう。綾乃の飯食うの初めてだな・・・・・・」


綾乃の出されたかつ丼を口に運んだ。


一城「ウマっ!」


綾乃「そうでしょう。明日のためにゲン担ぎです。」


一城「卵もふわトロだし、カツもサクサク・・・・・・普段料理しているのか?」


綾乃「そうですね。実家暮らしですが母と一緒にやっています。」


一城「将来いい嫁さんになるな。」


綾乃「な!?え!?」


綾乃は一城のいい嫁さん発言に動揺して言葉を詰まらせた。


一城「さーて腹も満たされたし風呂でも入れようかな。」


恵「それでしたら私が入れましたよ。」


一城「ならお湯が溜まるまで時間がかかるな。」


静流「じゃあ、お風呂に入る順番をトランプで決めようよ。」


一城「はあ?でもウチにチップとかないぞ?」


静流「なら大富豪で決めない?これも戦略ゲームとして練習になるでしょ。」


一城「分かった。じゃあ大富豪から順番に入るか。」


ダイニングテーブルに5人が座り、トランプを配り終え試合が始まった。


一城「まず俺から行くぞ。スペードの5。」


静流「うーん。ハートの6」


恵「ダイヤの7です。」


葵「クラブのJです。イレブンバック{ジャックを出すと出す数字が逆に少ない順に出すようになる。}」


綾乃「ラッキー。ハートの3。」


4人はパスして綾乃のターンになる。綾乃はダイヤの4を出した。一城はスペードの6。静流はハートの9。恵はパスをした。葵はハートのQ。綾乃はスペードのKを出した。


一城「(エースはあるけどまだ出すのは早いよな・・・・・・)パス。」


他の3人もパスして綾乃のターン。クラブの5を出した。一城はハートの7。静流はクラブの10。恵はハートのKを出した。葵と綾乃はパスをだした。ここで一城はダイヤの2を出した。


一城「(切り札は・・・・・・この手の中にある!)8カード3枚にジョーカー!革命だ!」


恵・葵・綾乃・静流「な!?」


一城は8切り{8を出した時、強制的に切られ出した人の始まりのターンになる。}をして次に出したのが6のダブルカードを出した。葵が4のダブルカードを出して抵抗したが、一城は3のダブルカードを持っていて最後の一枚のダイヤの5を出して一城が大富豪になった。その後、葵、静流と上がり・・・・・・


綾乃「やった!私のあがり!」


綾乃がスペードの9を出して貧民になった。


恵「ま・・・・・・負けた。私が大貧民ですか。」


葵「珍しいですね。恵が負けるなんて。」


静流「確かに大体恵が勝っているよね。」


恵「一城さんが革命を使ったせいですよ!エースとクイーンのトリプルを持っていたのに~!」


一城「やっぱ大富豪の醍醐味は革命だろ~じゃあ恵は風呂掃除もよろしくな~」


恵「そんな~」


お風呂が入った時に鳴るメロディーが鳴り、洗面所で服を脱いだ一城はお風呂場に向かった。


一城「まさかこのメンバーで晩飯を俺の家で食うことになるとは・・・・・・いつもは一人で食ってたからなんか新鮮だな・・・・・・」


一城が自分の体をタオルで洗っているとお風呂場のドアをノックする音が聞こえた。


一城「なんだ?」


一城が反応すると


恵「あっ・・・・・・愛原です。」


一城「恵?」


恵「あの・・・・・・お背中お流しにまいりました。」


一城「ん?お背中?」


恵が戸を引いた。なぜかスクール水着に体操服を着ている。


一城「おまっ!今俺裸なんだよ!」


一城はとっさの判断で男のシンボルを隠した。


恵「ごめんなさい!」


一城は腰にタオルを巻いて隠すことができた。恵に背中を預けせっせと恵は泡立てたタオルで背中をこすっていた。


一城「もしかして・・・・・・大貧民だからやれって言われたのか?」


恵「はい・・・・・・葵さんに言われまして。この服も葵さんの私物だそうです。」


一城「アイツ・・・・・・何考えてんだ。でもいい力加減だな。」


恵「ありがとうございます。」


一城「それと明日。いよいよ徳島との最終戦だな。」


恵「そうですね。でも負けたら徳島に一生服従しなければならないですよね。」


一城「大丈夫だって、勝つのは俺たちだし、それに、恵には感謝しているんだ。」


恵「感謝ですか?」


一城「俺はただ徳島に命令を解除してほしいというお願いを出すだけでその他のことは何も考えていなかった。阿波美知事の言う通りでお互いのメリットがないと交渉はできないよな。でも、恵はとっさの判断とはいえ交渉材料を作ってくれたんだ。本当にありがとう。」


恵「そんな・・・・・・でも役に立ててほんとによかったです。」


一城「明日、必ず勝とう。そして、Cランクに上がろう!」


恵「はい!」


次の日・・・・・・徳島の県庁に到着した一城たち。ヘリポートにて待っていた和泉たちに挨拶をした。


和泉「ようこそ、わが徳島県庁へ。例のものは持ってきているわね。」


一城「これですね。」


一城は和泉にメロンバアムの入った紙袋を渡した。


和泉「ありがとう。これは試合後に食べるとするわ。毒が入っていたら大変だものね。」


一城「そんなことしないですって・・・・・・」


次回、Dランク戦最終戦。茨城VS徳島。果たして一生服従になるのはどちらになるのだろうか!?
















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