第98話 旅は続くよ、それじゃあ、また
こんにちは、サーシャです。
完全にガント王国を離脱した後、「ダンジョンマスター」がいるダンジョン巡ることになった。
神器持ち召喚者4人を沼様が召し上がって「沼」のレベルは6・46に上がった。それから死に神と初級ダンジョンのダンジョンマスターを貢いで6・78まで上がった。
上昇の大半は死に神。低級とはいえ、やはり人間からしたら上位の存在のようだ。
『サーシャ、イタス島のダンジョンは気配は大きかったが、攻略に時間がかかりそうだ。確認したいことがある。メルカのメモの中に、お前らの世界でいう中級ダンジョンはないか』
「あるよ。ニュデリイの国がある半島の南の先に、バハナシってダンジョン」
『次はそこだ』
◆◆
ミスリル風呂で高速移動して、商業ギルドに登録してあるニュデリイのダバダッタの街に寄った。まあ、沼様のためのスイーツを買った。私は非常食。沼様のスイーツに260万ゴールド、私の30日分の非常食が4万ゴールド。私は元が貧乏な育ちなので、1人のときの食べ物にこだわりはない。
それから4日後、バハナシ中級ダンジョンを攻略した。
苦手な猿を避け、猿を避け、フロアボスは泥団子で仕留め、また猿。思い出しても、つまらない1週間だった。ラストは不自然な木が生えているボス部屋で、大猿を倒した。
前と同じく、攻略後の「ダンマス」探しが始まった。だけど、今回は要領が幾分か分かっている。
不自然な木に泥団子を投げつけて2メートル「沼」を展開させると、道は見つかった。
ばきばきばきっ。根っこのところに降り階段が隠されていて、下に部屋があった。
中ではパンツ1枚のおじさんがソファーに座っていて、何かを読んでいた。
「うん、お前なんだ。出て行け」
すごい舐めるような視線で私を見ている。おっぱいに集中している。
「いや、出ていかんでいい。迷い込んだのか」
「きもっ」
ぽっちょーん。80センチ「沼」を2つ出して、おじさんが座るすファーの下に滑らせた。
ばきばきばき!
「やめろ、何すんだ!」。おっさんは思わず立ち上がったが、沼の1個に右足を入っていた。
とぷっ。
「特殊スキルか何かか。ふんっ、えっ、えっ。なぜ抜けない」
「捕まえた」
「嘘だ。俺をここに送ったダンジョン神ってやつは、この部屋だけは俺の絶対領域って言ったぞ」
しゃべるそばから、おっさんはどんどん沼に沈んでいく。
「沼様の雇い主の邪神様の方が、ダンジョン神とやらより上みたいね」
「こら、解除しろ!」
「やばっ」。おっさんの魔力のようなものが膨れあがった。だから、2メートルの泥団子を出して、おっさんに投げつけた。
「ホワイトフレイム!」
ぺちょっ。ぽっちょーん。
私にかざした右手に泥団子を投げて、発射された魔法ごと「沼」に吸い込んだ。端から少しだけ白い光が漏れたが、それだけで左足をやけどした。何だか怖い魔法だ。
とっぷん。
『サーシャ、良くやった』
「沼様、何とかなったよ。けど、中級ダンジョンなのに、ダンマスってのやばくない」
『うむ。送られてきた「ホワイトフレイム」は3属性がミックスされた特殊な魔法だ。熱量が普通ではないぞ』
「じゃあ、「沼の底」から出せば、強力な攻撃手段になるね」
『今はやめておけ。10メートル範囲で出して、お前も無事でいられる威力ではない』
「げ、じゃあ、さっきの私は意外に危なかったんだ」
◆◆
沼様の見込みでは、これで沼レベルが6・89まで行く。あと1人、中級か上級ダンジョンのダンジョンマスターを倒せば沼レベルが「7」までいく可能性はある。ただ、まともに戦うはめになると、危険かも。
『サーシャどうする。ダンマスが固有の攻撃手段を持っていると分かった。次の判断はお前に任せる。無理せんでいい』
とは言われたが、沼レベル上昇は私のレベルアップの早さにつながる。すなわち、私とゲルダの幸せにつながる。だからやめる気はない。
◆◆
ダバダッタに一度は帰った。帰って、次に行く上級ダンジョンの下調べをした。
最近は街から東を中心に海辺でばかり活動していたが、次は西に入って山間部。
メルカのメモにあったひとつ、バララシ上級ダンジョンに入る。獲物は私向きで三種のキメラが基本。牛、豚、鳥の食肉混合とあって、人気ダンジョンなのだ。全50階で通路型。
格差トラップダンジョンといわれるタイプで、20階まで敵がめちゃ弱で肉も大したことがない。侮って21階に降りると、いきなり敵が強くなるそうだ。ダンジョンボスでもレベル70だから、私には関係ないが。
ギルドで情報と非常食を揃えて出ようとすると、声をかけられた。
「あの・・サーシャさんでしょうか」
「ふむ?」
見ると、鉄製で悪くない装備をした14歳くらいの女の子がいる。
「そうだけど、どうかしたの」
「あの、私はアルルです。バララシ上級ダンジョンに行かれるのですよね」
「それが何か」
「私も同行させてもらえませんでしょうか」
「ダメだね」
即答した。恐らく女の子は、よくてレベル30程度。目的は何か分からないが、上級ダンジョンでは足手まといだ。
「ダンジョンマスターってご存じですか」
「ん。今なんて言ったの」
「私の双子の兄が死んでダンジョンマスターになったんです。解放してあげたい。そのために兄のアレンが幾つかのキーワードを残したんです。「女性でサーシャ」という人に手伝ってもらえって、夢の中で語りかけてきたんです」
ぼそっ「沼様、どう思う?」
ぽっちょーん。
『分からんが、お前の好きにしろ。メルカから収穫続きだが、すべてお前の行き当たりばったりに任せた結果だ。それもアタイの予想外の行動だ』
「沼」スキルを持った私にメロン、カリナ、ゲルダ、メルカと導いて来られたが、みんなファーストコンタクトは普通じゃなかった。
まあ、ゲルダと普通に過ごせるようになり、メロンやカリナ、そしてマリアさんと合流するつもりの日まで2年以上もある。
私にしかできない不思議な冒険を続けよう。
ま、成り行き任せだね。
◇◇◇◇◇
アルル編から最終章まで、練り直します
作品を読んでくださった皆様、ありがとうごさいました。
イレギュラー召喚で神器をもらえませんでした。だけど、勝手に付いてきたスキルがまずまず強力です とみっしぇる @kyontama
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