未確認生物

@marp

第1話

 時代は近未来、大いに科学技術が発展していた。


 この時代では宇宙を容易に行き来できる宇宙船が開発されていた。

 僕はまだ子供だったが、この宇宙船で星間を旅する探索隊に選抜された。

 僕の周りには近い年齢の子供なんていなかった。基本的には大人ばかりである。


 ふと宇宙はどんな場所なんだろうと考えてみることがあった

 日々の訓練からどんなに危険な場所かもわかってるつもりだった。 

 でも憧れる希望の場所でもあった。

 いろいろな星の地球の風景にはない自然や燃料があるかもしれないと思ったら興奮が冷めやらなかった。


 でも、僕は宇宙人にはあまり会いたくはなかった。なぜかと言うと、怖いからだ。何をしてくるかわからないし、自分たちより高い技術を有してる場合、従服しなくてはいけないかもしれないからだ。




 それからしばらく時間が経って、宇宙へ出発する日がやってきた。


 まずは近くの太陽系の惑星を探検したが、宇宙人は1人も見つからなかった。代わりに様々な自然の風景がそこにあった。砂だらけの星だったり、荒れ狂う天候で全体がガスで覆われた星々もあった。

 それから、他の惑星系にも行った。

 ケンタウロス座、へびつかい座、エリヌダス座にも行った。

 そして、この間に僕は子供ではなくなっていた。

 しかし、心の中は子供みたいに好奇心で満ちていた。


 が、それらの星々では宇宙人は結局、見つからなかった。




 冒険の終わりに近い頃に全体氷らしい物質で覆われているある星に着陸して探索することになった。

 着陸して、一息ついている間、近くの大きな氷を覗き込んでいるとそこには自分の知らない自分がいた。小さな変化であるが確かに異なる自分がこちらを覗いていた。

 周りの人間を見渡すと同じように数人も近くの氷を覗き込んで驚く様子だった。

 目、耳、口、鼻が小さくなったり大きくなったりしていた。

 それからその隊員たちで話し合った結果、光の屈折の現象ではないかということではなく、互いに以前までの姿とはほんの少し違って見えたということからただ事ではないと地球に早急に帰ることになったのだ。

 けれど、星を離れていった後に不思議なことが沢山起こった。

 食事はあまり取らなかったとしても腹が空かないし、水掻きの部分が広めになってきたり、他の人と喋らなくても伝えたいことがわかるようになってきた。

 そして、気がつけば、自分達は正真正銘の「宇宙人」になっていた。


 現状のまま自分たちが地球へ帰っていったとしても受け入れてもらえるかもわからない。仮に受け入れてもらえたとしても地球の人からの偏見や差別に苦しむ他ないということは

 例え言わなくても全員わかっていた。


 この為、僕たち「宇宙人」はどこかにいるはずの「地球人」を探して故郷には帰還せず、旅に出ることとなった。

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