救済
二日間飲まず食わずで泣き叫んだ俺は、ついに意識を失った。
もうどんな殺され方でもいい。
誰か俺を殺してくれ。
そんな時どこからか声が聞こえた。
いや、脳から聞こえた。
「エティーに生きたいと思わせてくれて感謝する。
生きたいと願えば願うほど力は強くなるんだ。君のおかげだよ。」
声の主はおそらく神だろう。
俺はふざけるなと思った。
神は思考を読めるのか話を続けた。
「君のおかげで戦争は終わったんだ。力が弱ければ終わらない。そうだ!君を木にしてやろう。君はここで悠久の時を見守るんだ。」
「やめろ!」
確かに俺は言ったはずだった。
しかし声は出ず、口がパクパクと動いただけだった。
「君はずっと死にたがっていただろう?永遠に生きながら死せる者として救済してあげるんだ。嬉しいだろう?」
そしてみるみると俺は木になった。
抵抗できなかった。
砂漠にただ一つ木が生えた。
それから何百年も経った。
砂漠は五十年程で緑が戻り、リオスとマドレータの往来は再開した。
俺は死ぬことができず、毎日エティーのことを考えていた。
あの時エティーを止めていれば。
何度思ったことだろう。
ふわりと芳しい香りがした。
その中に懐かしい香りが混じっていた。
今日も俺は世界を見守っている。
君になれたなら リーア @Kyzeluke
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