終焉
「いつ戦争を終わらせるんだ…?身体を捧げたらどうなるんだ…?」
俺は不安だった。
戦争を終わらせるために一人の天使を生け贄にするなんて、神はどうかしてるし、エティーは死んでしまうかもしれない、そんな考えがよぎった。
「明日終わらせるわ。身体を捧げたら戦場が砂漠化すると思う。そしたら私…私は…」
エティーはそう言って泣き出してしまった。
あぁ、神はなんて残酷なのだろう。
君になれたなら、どれほどいいか。
俺はエティーを抱きしめるしかできなかった。
俺は自分の無力さを恨んだ。
気が付けば暖かな光が俺たちを包んでいた。
俺はエティーを起こさないようにベッドから起き、朝食を用意した。
エティーは小さく伸びをするとあくびをして、俺の方へ来た。
「朝食ありがとう。一緒に食事をするのはこれが最後かな。」
エティーは力なく微笑んだ。
俺はエティーとの時間を一秒たりとも無駄にしないようにした。
たった一日でこう思うのは、恋をしたのだと近所の女性は言うだろうが、そんなものじゃない。
朝食を食べ、戦地へ行く準備をする。
俺は弓を背負い、エティーは乾いた服に着替えた。
「戦地へ行ったらあなたも死んでしまうわ。」
「君に殺されるなら構わないよ。さぁ行こうか。」
俺たちは戦地まだ歩いていった。
エティーは飛べるが最後の時間を一緒に過ごすことにした。
戦地に着き、エティーを見送る。
「俺は援護をする。少しの間だったけど楽しかった。ありがとう。」
「私も楽しかったわ。少しの間忘れられたもの。ありがとう。」
そう言ってエティーは飛んでいった。
俺は弓を構え、エティーが攻撃されないよう殺していく。
一人、また一人と頭や胸を撃ち抜いていく。
エティーが飛んでいってから数分後、辺りは眩い光に包まれた。
エティーの身体が捧げられたのだろう。
薄れゆく意識の中眩い光の中で全ての物質が消えていくのが見えた。
あぁ、ついに俺は死ぬのか。
待ち望んでいた時が来た。
そして俺は意識を手放した。
どれほど時が経っただろう。
目を開くとそこには砂漠が広がっていた。
俺は青ざめた。
何故俺は生きている。
光に包まれて死んだはずだった。
きっと残酷な神の仕業だ。
俺は泣き叫んだ。
地面を叩き、声が枯れても泣き叫んだ。
玩具を取り上げられた赤子のように泣き叫んだ。
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