スマホを拾った

 

スマホを拾った

 朝、電車に乗っていると、隣に座っていた男性がスマホを座席に置いたまま、電車を降りてしまった。私は珍しいこともあるものだなと思いながらも、そのスマホを手に取ると、彼の背中を慌てて追いかけた。しかし、タイミング悪く、電車のドアが閉まってしまった。


 私は学校に行く途中だったので、学校帰りに交番に届けようと、そのスマホをカバンにしまった。そして放課後、交番に向かって歩いていると、私のカバンから変な着信音が聞こえてきた。カバンを開けると、朝拾ったスマホに電話がかかってきた。私は勝手に取るのは悪いかなぁと思ったが、もしかしたら、あの男性が家の電話からこのスマホに電話をかけているかもしれないと思い、電話を取った。すると、ドスの効いた声で、電話越しにこうを言われた。


「例のブツは用意できたか?それと、もしサツにバラしたら、どうなるかわかってるよな?」


 私は何も言わずに電話を切った。その後、交番には行かなかった。もしそんなことをして、電話相手の悪事が警察にバレてしまったら、スマホの持ち主が殺されてしまうかもしれない。だから私は、ポケットティッシュで自分の指紋を拭き取ると、近くの用水路にスマホを投げ捨てた。

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スマホを拾った   @hanashiro_himeka

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