5 事件
サングラスをかけたその男は、辺りを気にしながら走った。一刻も早くあれから遠ざかること、今はただそれだけを考えていた。
と、突然目の前に、みすぼらしい姿のホームレスが立ち塞がった。かと思うと、驚いている間もなく男の体は宙を舞い、うつ伏せに地べたに転がされ、後ろ手に
「容疑者確保」
ホームレスは、両腕を極められた男の上で言った。こいつ、刑事だったのか。
四方から刑事たちが走ってきて、男を取り押さえ、手錠をかけた。そして引き起こされ、連行されようとしたとき、男は震える声で言った。
「パトカーに乗せないのか? 急がないと、もう時間がないぞ」
しまった、とホームレスは思った。まさか、設定時間がそんなに短いはずは・・・。
彼は走り出した。場所はわかっている。問題は、時間がどれだけ残されているか、だ。この距離で、なおかつ容疑者自身が巻き込まれるのを恐れるほどの威力だとしたら・・・。
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