第5話 〜異世界の両親を助ける〜
「どうしたの?ヒモト」
「どうやらエレナ様のお母様が危ない事に巻き込まれようとしています」
「危ない事?何故、貴方は分かるの?」
勇者の力に備わっている能力の一つ。
「危機予知が反応しました。この後、何やら命の危機に巻き込まれる事を感じました。」
エレナはヒモトを見ながら伝える。
「ヒモト、お願い…お母様を助けて」
「お嬢様!その様突飛な話を信じて頭を下げるなど!ヒモト、その様な」
「エレナ様、まぁこれから世話になるんだ行って来るよ」
ヒモトは窓ガラスを突き破り、エレナの母親の救出に向かった。
「窓を破って出て行くなー!」
帰ったらあのメイドに怒られると思ったヒモトは家をビルを走って縦横無尽に駆ける。
「予め目印を付けたのがすぐに役に立つとは思わなかったな」
「あのデカい建物だな…姿を隠せ、アンビュブル」
「人質にされているな、敵対者は8、いや10、武器はあの銃とか言う物とおそらくナイフか短剣か」
ヒモトが救出作戦を考えている頃
「お、お嬢様!当主様と奥様が!」
「…大丈夫、ヒモトなら」
人質になっているエレナの両親は
「君達、望みは何だ」
「金を500億、海外に逃亡するまで警察には休暇を取って貰う事だな」
「…あなた、そのくらい」
エレナの父は声のトーンを落とし、妻に伝える。
「いや、全部要求を呑んだ所でここにいる者は殺されるだろう」
「護衛にまさか内通者が居たなんてね」
「これが終わったら、徹底して洗ってやる」
「エレナに心配させているかしら…あの子ならもしかして」
「あの子とは?」
エレナの父が呟くと人質の周りにいた3人は倒れた。
「な、何が起きた!」
「悪いんだが、お嬢様が待っているからすぐに片付けさせて貰うぞ」
「特殊部隊か!その剣は何だ」
「殺しはしない、行くぞ」
「何で銃弾をよけてんだよ!」
「化け物め!」
5人はヒモトの拳で倒された。
何やら黒い箱から声が聞こえる。
「これはスマホとは違うな?」
「君、誰か分からないが助けてくれてありがとう。
「改めて、孝四郎の妻のキャシーです。ありがとう、エレナの執事君」
「いえ、エレナ様を置いて来て心配させたかも知れません」
二人の会話について行けて無い孝四郎は聞く。
「あ〜、キャシーは彼の事を知っているのかな?」
「ヒモト君、エレナの専属執事よ」
「専属執事だと!そ、その様な報告は聞いていない」
「だって、帰ったら話してくれる予定だった筈よ?」
エレナの父孝四郎はヒモトの事を親の仇の様に睨んでいる。
「あなた、彼は私達の命の恩人ですよ。感謝こそしてもその様に威圧的に接するのはどうかと思いますよ」
「うっ、しかし可愛いエレナの近くにましてや何処の馬の骨とも分からない男を」
「それ以上おっしゃるならエレナを連れて実家に帰らせて頂きますよ?」
キャシーの言葉が決めてになり、打って変わり友好的な笑顔で話しかけて来た。
「どうもありがとう、君のおかげで助かった。ご飯でも食べて行きなさい。」
「いえ、エレナ様の為ですから」
話をしていると扉が勢いよく開かれた。
「人質が何で自由になってんだよ!」
「当主だけでも居ればいいだろ」
最後に残った犯罪者は人質に向かって発泡して来た。
「害意から守れプロテス」
「わぁぁ!あれ何ともない」
「ヒモト君が助けてくれたの?」
「君は何者なんだ?」
「元勇者の執事です」
銃弾を弾いている見えない壁の中からヒモトは犯罪者に手のひらを向ける。
「悪意を裁け、ジャッジメンテ」
「この光は何だ!」
「あっあぁ」
突然の強い光が犯罪者を包むと光が止んだ時には倒れていた。
「これで安全な筈です、外に連絡してください」
「あぁ、分かった。君はどうする?」
「屋敷に戻り、エレナ様に報告致します。」
「ヒモト君、エレナにケガも無かったから心配しないでと伝えてね」
「はい、キャシー様。では」
別れを告げるとヒモトは一瞬のうちに消えたのであった。
異世界転移勇者は悪人から執事にジョブチェン 遊遊 @yuyu68
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