第4話 〜勇者、異世界の不思議を知る〜

 エレナの後ろを歩いてついて行くと扉の前に着いた。


「ヒモト、私の専属執事なのですから扉を開けて下さる?」


「そうなのか?今開ける」


 ヒモトは扉を開けるとまるで貴族の部屋の様な豪華な部屋が現れた。



「ヒモト、貴方も入りなさい」


「あぁ、魔導具がこんなに」


「魔導具とは何ですの?」


「灯の魔導具は金貨10枚はする、それがこんなに」


「それは高かったかしらね?みやび、居ますか?」


  お嬢様が何やら名前を呼ぶと侍女が現れた。


「エレナ様、如何しました?」


「このライトって高いのかしら?」


「特別な物では無いですが数万くらいですかね」


「ヒモト金貨の下の貨幣は何かしら?」


「大銀貨、銀貨、銅貨がありました。大銀貨10枚で金貨1枚です」


「それなら大銀貨数枚の価値ね」


 ヒモトは驚いた。これほどの明るさを保てる魔導具が大銀貨数枚。平民にもつける事が出来る価格だ。


 勿論高くはあるが。


「それより魔導具とは何?」


「魔導具とは魔石の中にある魔力を用いて色々な事が出来る道具です」


「魔力ねぇ、ヒモトの力は魔力による物?」


「大体、そんな物ですね」


二人の会話にいざ入る、侍女のみやび


「あのお嬢様、この男性は?」


「ヒモトよ、色々あって専属執事にしましたの」


「しました。とおっしゃられても当主様に何と報告したら」


「お母様には報告済みよ、後で来ると思うわ」


「ヒモト様、お嬢様の専属執事になるのでしたら私が指導を行わせて頂きます。」


みやび、貴方が指導する必要は無くってよ。ヒモトには私が直々に行います。」


 みやびはお嬢様の言動に目を疑った。仕える主であるエレナ様が直々に指導するなどあり得ない事である。


「お嬢様!幾ら何でも主自らが指導するなど聞いた事ありません!」


「ヒモトは特別なのよ、色々とね。ですから私が指導します。勿論教える事が出来ない事は他の方にお任せするつもりではあります。」


「…はぁ、分かりました。しかし当主様が認めない場合は私が指導いたします。いいですね?」


「えぇ、勿論よ。ヒモト何を気にしているの?」


 ヒモトは壁にあるテレビをじっと見つめていた。


「これはは何だ?デカい割には薄いな」


「あれはテレビと言って映像を映す為の機械ですわ。ほら、この通り」


 丁度映っているのはエレナ誘拐についてのニュースであった。


 犯人であるヒモトの元仲間?は捕まり、[銃弾を切ったり、謎の力を使う化け物が出たなど]とやばい物の使用も疑われている様だ。


「どういう事何だ?精巧な絵の人間が喋っているだと!」


「あれは…貴方が目で観ている様な景色を記録してここに映しているのよ」


「ど、どれだけ複雑な魔導具なんだ。爺さんだってここまで凄い物はそうそう作れなかった。」


「これはテレビ、家電ですよ。ヒモト様はその創造力が豊かな様ですが、お嬢様の恥になる事は言わないように」


「ヒモトは面白いわね。この様な物は大抵一家に1つはあるのよ。」


「どれだけ、豊かな国なんだ。これを1つ以上家にあるなんて、大帝国イクサバカリでも持てない程には凄いのだぞ」


 ヒモトは改めてこの世界に戦慄する。


 魔力も魔法も無い世界、しかしヒモトがいた世界とは隔絶された品々、経済力、とんでもない世界に来てしまったと改めて感じる元勇者。


「あら、お母様から連絡が来ました」


謎の板を触るお嬢様を不思議そうに見るヒモト。


「どうやらお父様のお仕事にお母様が向かうみたいね」


「そうでございますか、お嬢様とのお話を楽しみにしていたでしょうに」


「仕方ないわよ、お母様も大事な役目です」


「エレナ様」


「どうしたのヒモト?」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る