第25話

闘気や武術の鍛錬も順調に進み、

レイルが7歳になった頃、基本の型が残すは薙刀術だけになっていた。


その頃には魔法回路も経絡と同じ段階まで増えて、

行使できる様になった。


正確には、

上級魔法が使えるまでに成長していたのだ。



いつもの様に道場で瞑想していると、

龍弦と楓がこちらに向かって歩いて来たのが気配で感じた。



「レイルや、今夜も精が出るのぅ。

あまり無理はするでないぞ?」



「レイルやっほー。

楓お姉ちゃんが遊びに来たよー♪」


「あれ?弦爺と楓が一緒に来るなんて珍しいね?

どうしたの??」


「うむ、それなんじゃがな…

レイルも7歳になって、武術も中々の物になって来た。

そこでじゃ、楓が付き添いでレイルのダンジョンデビューをしてもらおうと思ってな?

嫌なら別に行かなくてもいいんじゃが…

どうじゃ?行ってみるか?」



ダンジョン。

それは元のいた世界でも、

この地球でも変わらない。

冒険者達が財宝や未知の鉱石、スキルオーブなどを探し求める迷宮……

モンスター、魔獣の蔓延る魔鏡である。

レイルも今の自分がどこまで成長出来ているか知りたかった。

しかし、ダンジョンに入るには資格が要る事を……誰でも入れる様な場所ではないことを思い出した。



「弦爺…行きたいのはやまやまだけど、

僕冒険者じゃないよ?

それに探索許可証も持ってないからダンジョンに入れないよ??」



「ほっほ。それなら大丈夫じゃ!

うちの所有地にはの、ダンジョンがあるんじゃ。

それも国の所有ではなくて儂の個人所有しとるダンジョンじゃ!」



「えぇっ?!ダンジョンって個人所有できる物なの!?

…って言うか、

ずっと思ってたけど弦爺って何者なの??

偉い人ってのは何となくわかってたけど…」



「うむ。ダンジョンは個人で持てるのう。

持ってる者は少ないの。」


「へぇー!凄いなぁー!」



「ただし、条件があるがの。

まずは金じゃな!

国の保有してるもの以外は競売で買えるからの。

その後に魔物氾濫した時に鎮められる戦力を有しておるかどうかじゃ!

最後に身分がはっきりしているくらいかの?

大体は財閥や、大手の冒険者クランなどが持っておるのぉ。」


龍弦がレイルにドヤ顔をしている横で、

楓が続きを話し始める。



「あと龍弦老師はね、

レイルの知っての通り摩利支天流の当主だけど、

色んな肩書きを持ってるの。

1つ、日本冒険者組合特別顧問。

2つ、国立東日本冒険者学園–理事長

3つ、世界首脳円卓会議−総括長とかね。

……他にも細々とあるんだけど、

私も多すぎて全部覚えてないの。ごめんね?」



レイルはなんか凄い肩書きが出て来たなぁ。と思っていた。



「ほっほ。ちなみに儂もなんの肩書きを持っとるか全部把握しとらん!殆ど千夜さん任せじゃしな!」


「…弦爺、それ威張る所じゃないよ?

まぁ、それならダンジョン行ってみたいな…」


「私はダンジョンには何度も入ってるから安心してついて来て良いわよっ!」


楓の言葉を聞いた瞬間、顔が引き攣り、


「楓に安心してって言われると、そこはかとなく不安だよ…

ねぇ、弦爺は一緒に来てくれないの?」


と龍弦に助けを求めるが…



「すまんの。儂はこれから2週間ほど海外に行かなくてはならんのじゃ…

付いて行ってやりたいんじゃがのぅ。

まぁ、楓と一緒なら大丈夫じゃよ。

浅い階層しか進む許可は出しとらんしの。

何事も経験じゃ!頑張るのじゃ!」



用事があるなら仕方ないと思い


「わかった。なら弦爺が帰ってくるまでにいっぱい経験を積んでもっと強くなっておくよ!」



「よく言った!その意気じゃ!

それでこそ儂の子じゃ!」



レイルはワクワクしながらダンジョンに潜る日を楽しみに待つのだった。

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