第24話

レイルがこの世界に来て1年ほど経ち7歳になる頃、日頃の鍛錬によって

刀術、体術などの基本の型はほぼ全て習得していた。

していたが、闘気の鍛錬が思いのほか厳しい物だった。


(う〜ん、、、丹田から身体全体に循環してる気を闘気に変換するとこまでは出来るんだけど、

まだ全然経絡を増やせてないんだよね…


弦爺は瞑想しながら丹田に集中している気を、

木の根が張る様に徐々に張り巡らしていけって言うけどかなり難しいよ…でも着実に増えてるから頑張らないと!……………って、あれ?)



レイルがうんうん唸りながら悩んでいると、

不意に頭によぎった。



(……闘気って使う力の種類が違うだけでどこか魔力に似てるんだよね。

魔力回路も気の経絡も力を通す道って点は一緒…

弦爺も言ってた様に経絡は増やせる…

なら魔力回路は…?

今まで回路を増やすなんて考えたこともなかったけどもしかして増やせる?!)



レイルに雷が落ちた様な衝撃が走った。

高位魔術が使える様になるかも知れない!

という希望に

今まで魔術を諦めかけていた心に

一筋の光が差した瞬間だった。


(よぉーし!どうせ今まで出来なかったんだ!

魔力回路を増やせるかやってみよう!

…まずは気と同じ要領で魔力を集めてっと…

それから魔力回路に流して、、、

今の僕は手足に4本しか回路が無い。

だからその4本から根が張る様に徐々に増やしていく…まずは右腕から……)




「!!…っっぐぅ!」


次の瞬間、右腕が激痛に襲われ

レイルは余りの痛みに悶絶してしまった。



「や、やばい…腕が潰れるかと思った……

やっぱり無理か…。

それもそうだよね…魔力と気は別物だし、

魔力回路が増えるなんて聞いた事ないし……」



レイルは意気消沈してしまった。

しかし、僅かな希望を捨てきれずダメ元で右腕を見ると…



「!?……ふ、増えてる…?」



レイルの神眼でじぃーっと目を凝らすと、

右腕の回路から1本の糸の様な細い回路が伸びているのがわかった。



「ーーー〜っ!やっっったぁぁ!!!

本当に!?本当に増えたよっ!!


……っふぐっ…うぐっ…ぶえだよーっ!

だめだどおもっでだのにー!」



レイルは瞳に涙を一杯に溜めながら歓喜してぴょんぴょんと飛び跳ねた。

まさに狂喜乱舞である。




レイルが自室でドンドンと飛び跳ねているので

何事かと龍弦がやって来た。


「レイルや、どうしたんじゃ?そんなにドンドンして……

どうしたんじゃ?!そんなに泣いて!

何かあったのかの?!」



「弦爺…ゔゔん、ちがうんだ。

魔力が…魔力回路が増えたんだっ!」



「!…なんと!それは誠か!

ほんに、、良かったのう…

あれだけ苦労しておったからの、、、

…にしても、どうやって増やしたのじゃ?」


「それが、気も魔力も似てるから経絡みたいに増やせないか試したんだ!

そしたら細いけど確かに1本回路が増えたんだよ!」




(こやつ…経絡を1本増やすのにも尋常ではない努力と才能がいると言うのに、違う力の回路までも増やすとは…)



「流石レイルじゃのぅー!これからも努力とすれば

必ずや報われるでの。頑張るのじゃぞ!

…しかし、今日はもう遅いから早く寝なさい。

明日に響くぞ?」



「うん!わかったよ!

おやすみなさい弦爺。」


「うむ。おやすみレイル。」



(明日からは経絡と魔力回路を並行しながら鍛錬するぞー!頑張ろう!さぁ寝るぞー!)



「……………むり。眠れない!」


そう言ったものの、右腕の確かな痛み…

そして努力すれば魔法が使えるようになる事に興奮と希望に、眠気や疲れなどは吹っ飛び寝付けない夜を過ごしたレイルだった。

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