第14話

ふふっ、えぇ…そうね、今の私は失踪中なの。

だから私がここに居た事は他言無用よ?

お願いしますね?」


ナナリーは失踪しているミザリーがここに来た事を驚き戸惑っていた。



「あ、はい、わかりました。

…って、そうではなくてですね?あの、義母様?

何故こちらにいらっしゃられたのですか?

それに義母様が失踪している間にレイルが……

「ナナリー様、レイルは生きていますよ。」




ミザリーから出た衝撃の言葉にナナリーは眼を見開き開いた口が塞がらなかった。




「………え?…えっ?えぇぇっー!?」


「しーっ。遮音の結界を張ってて良かったわ。

夜も遅いですから大声は控えて下さいね?」


「申し訳ございません…。

それでお義母様、レイルが生きているのは本当ですの…?レイルは生きていますのねっ?!」



「えぇ、勿論ちゃんと生きていますよ。

ですが今はまだ遠い場所に行っているので会えないの。

…ごめんなさいね。」



「でも何故、その事をわたくしに教えてくださったのですか?

そもそも何故レイルが生きているのを知っているのですか?

他の方々やお父様は死んだと仰っていましたのに…。」



「そう…ですね、、

それは貴方がレイルの事を唯一信頼し、想い、あの子の為に泣いてくれたから。それに将来はあの子のお嫁さん…つまり私の娘になるのでしょう?

だからこそ、貴方だけには教えておきたかったの。」


言葉を聞いた瞬間ナナリーは涙が止まらなくなっていた。



「2つ目、何故生きてるか知ってるかだけど、それは私がレイルを送り出した本人だからよ。

…あの子にはとてつもない才能があるの。

例えるなら近い将来、

神魔大戦時の勇者や魔王、それこそ神などといった者たちに肩を並べる程の天性の才能…。

だから今潰されるわけにはいかなかったの。」



驚いていた。

ナナリーもレイルに才能があるのは分かっていた。

というよりも視えていた。

ナナリーは先祖返りで強力な魔眼を所持していたからだ。

しかし、歴代最強の勇者や神に匹敵する程とは思ってもみなかった。





「お、義母様、いつレイルに会えるのでしょうか?」


「そうね、上手くいけば貴方が成人する頃に会える筈よ。

辛いとは思うけど、それまで我慢ね。大丈夫?」



「…はいっ!大丈夫ですわ!

わたくし我慢出来ます!

レイルが成長して帰ってくるならわたくしも

とびきり良い女性になってレイルを迎えますわ!」



「ふふっ…ありがとう。あの子もきっと喜ぶわ。

それじゃ、私はそろそろ行かないと……

また会いましょう。次会う時は貴方とレイルが一緒の時かしらね?」




そう言い残しミザリーは夜の帳に消えていった。


残されたナナリーはと言うと…


「…ミザリーお義母様。わたくしやりますわ!

きっとレイルに相応しい女性になってあっと驚かせて見せますわ!


明日から頑張りますわよーーーっ!」



次の日から笑顔の戻ったナナリーの姿があった。

これにはダグラスとアメリアも唖然とし、


「ナ、ナナリー、大丈夫なのか?

もう部屋から出て…身体は辛くないか??」


「??…大丈夫ですわ!

お父様、お母様、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。これからは精進して女を磨きますわ!」



「そ、そうか……何があったか分からんが元気になって何よりだ!」



(成人までの後約10年…頑張りますわよー!)


ナナリーは気合を入れるのだった。

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