実行委員会③



『コホンっ それではチーム別に別れてもらおうか』


【西園寺先輩の言葉を聞いて。赤色のネクタイの3年生が立ち上がる】


『4組こっち集まって〜』


『2組はこっちね!』


『ほな、1組はここら辺にしよか』


『じゃあ、3組は西園寺の周りに集まれー』


【先輩方の声掛けで、生徒たちはいっせいに動き始めた。私は1組みなので京極先輩の方へ集まる】


私は思っていた手助けと違った事にホッと胸を撫で下ろす。西園寺の事だから、「僕の隣においでプリンセス」とか言い出すのではとひやひやした。

私が立候補した事で、多少“いべんと”が変化したのだろう。

本来であれば、西園寺に隣に座らせられるのだから。


『同じ組やね?よろしゅう』


【京極先輩は彼の所に集まった2年の先輩と私に笑いかけた】


『はっはい!よろしくお、お願いします』


実際はアメジストの瞳は私しか写してないのだが……2年生の実行委員は女子。

京極に微笑みかけられ、顔を真っ赤にして、ペコペコと何度も頭を下げる。


体育祭は4チームで競う事になる。ことぶき学園の体育祭は学年の枠を超えた協力を売りにしているので、1年生から3年生まで混ざってクラス事にチームを組むのだ。


『ほんなら、早速やけどリレーの選抜選手を教えてくれへん?』


京極は学年混合種目に、出場する生徒たちの名前をテキパキとエントリーシートに書いていく。


(仕事は本当にできるんだよなぁ)


学園の外の仕事ぶりを思い出し、スラリとした綺麗な手が持つボールペンをぼーっと見つめていた。


1番初めの“人生”はここがゲームの中だとは知らなかったし。“いべんと”で体が固まることも無かった。今思えば、あいつ(プレイヤー)の思う通りに動いていたのかもしれない。


(って言うかさ。実行委員と生徒会掛け持ちって。どうなのッッ?)


遠い記憶に、気持ちが引っ張られそうになり、慌てて首を振る。余り疑問に思った事は無かったが、生徒会には生徒会の仕事がある。

西園寺ですら、実行委員は別の人にやらせている。


「ん?なに?」


見つめているのがバレた。

京極はプリントから顔を上げると、メガネのえを持ち上げた。


「いっいえ? 京極先輩は実行委員と生徒会掛け持ちなんだなぁって思っただけで」


「ああ、俺たち3年は体育祭自由参加やろ? やりたい人居ないんで、仕方ないから立候補したんよ」


(京極真也ってそんな善人見たいな顔出来たんだ)


穏やかに揺れるアメジストの瞳を見て、意外だなぁと驚く。険しい顔や、相手を誑かすような顔しか見てこなかった。こう見ると、普通の高校生なんだけどなぁ


「そうなんですか……」


あまり、無理しないでください。そう口から出そうになり慌てて噤む。


(あっぶねっ!!騙されるな!気持ちを強くもて私!)


自らの頬をペチンと叩き喝をいれる。懐かしい記憶を思い出したせいだ。普段見ないような顔に騙されてはいけない。少しでも興味を失うと、見捨てるわ。利用するわ。盾にするわ。

京極真也は、自ら手を下さないものの、最低の男なのだ。


(顔が良いとゆうのは本当に厄介だ。どうにか距離を取りたいものだなぁ)


京極が私に興味を持っているのは、会長の西園寺が構うから、あとは初対面の態度も少しあるかもしれないが。あそこは上手く切り抜けたと思いたい。


チーム中での役割や放送委員、保健委員との連絡。

など、細かい打ち合わせは今度すると言う事で今回の会議は解散となった。

解散のタイミングを知っていた私は。


「お疲れ様でした!トイレに行きたいので失礼します!!」


終わるや否や、教室を飛び出した。

グズグズしていたら、新谷に捕まって一緒に帰ることになってしまう!!

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ドキドキ☆ハラハラことぶき学園 ヒヨコの子 @hiyokoMa

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