実行委員会②


「はぁぁぁ」


その後種目決めや何やらで長引いたホームルームが終わり、私は逃げる様に教室を出た。

今まで通りなら。会議は既に始まっている。人が思いの他早く集まったので始めてしまおうとなったらしい。いや、待っとけよっと言う話だ。


(行かなくていい方法ないかなぁ)


そんな事を考えながらとろとろ歩いていると、いつの間にかコミュニティールームの前まで来ていた。

実行委員会が行われている会場だ。

何度も繰り返したせいで、自然とそこに向かっていた様だ。


(いや、“強制いべんと”のせいかも)


コミュニティールームの前で立っていると、中からドアが開かれた。


「おや?君は……」


ねっとり耳に絡みつくような声。

京極だ。見なくても分かる。私は覚悟を決めて上を見上げた。


「1-1実行委員の立花です。遅くなってすみません」


『ああ、ええねん。大丈夫やよ?例年実行委員会は開始が遅れるねん。各種目誰が出るとか、クラスで決めてから集まるから……でも、お前はおかしいやろ!』


【私に向けられていた視線が途中で後ろへと移る。振り返るとそこには西園寺先輩の姿があった】


『いやぁ。ごめんね?僕のプリンセスを迎えに行ったんだけど、どうやら入れ違いになったみたいだ』


【西園寺先輩は私の方に手を置くとグッと引き寄せた】


『誰が、お前のやねん』


【京極先輩はチョップを西園寺先輩の頭に落とした。西園寺先輩はハハハと笑いながら私から離れてた】


(いや、プリンセスにも突っ込んで欲しいんだけど…)


普通ごく一般の生徒をプリンセスなどと言う生徒会長が居るだろうか?いや居ない。

しかし、彼らは私の常識など通じる相手では無いのだ諦める他ない。

私は気が付かれないようにため息を着いた。2人に促され、しぶしぶ教室に入ることにする。


【カタカナのコの文字を描く様に実行委員の人達が座っている。空いている席を探していると新谷くんが手を振っているのが見えた】


『よっ!お前も委員になったんだ』


『うん、誰も立候補者いなかったから……新谷くんはどうして?』


【新谷くんが席を開けてくれたので、私は彼の隣に腰かけながら尋ねた】


『俺バスケ部忙しくて、物出られないからさ。クラスの奴らがせめて実行委員しろってさ』


【出し物とは、クラスでやるダンスやマスゲームの事。ことぶき学園の文化祭は1年生が、ダンスやマスゲームの発表。2年生は団体競技。騎馬戦や棒倒し。3年は体育祭に自由参加となっている】


『それは、大変だね』


『まぁ、正直めんどくさかったけどお前と一緒になれたからいいや』


【会議が再開しているのに、議長の西園寺先輩に見向きもせず。私の方を新谷くんは見つめる】


(いやいや、気まずい。周りの視線が痛いって!!)


私は新谷の方を見ないように、必死に前を見る。

コーラル色の視線を交わしていると、正面のアンバーの瞳と目が合った。

まるで「助けてあげる」とでも言うように、アンバーの瞳が揺れた。


(いやいや、いい!放っておいて!!)

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