実行委員会①
《5月15日》
新入生歓迎会が終わった月曜日。
体育祭についてホームルームで話し合っていた。
(本当に、本当にッッ!!! 死ななくて良かったぁ)
結局あの後、天田と話すこと無く。
西園寺らに呼ばれてテーブルに戻ったのだ。
夜寝首を欠かれるのでは無いかと、ビクビクしていたがそんなことも無く。無事、行事を終えてホームルームに参加出来ている。
(まぁ憂鬱な事に変わりはないんだけど……)
頬杖を着きながら、なかなか決まらない実行委員について考える。結論から言えば、実行委員には私がなる。これもまた決定事項。シロ曰く、私が参加しないと“ストーリー”が始まらないらしい。
「それでは、実行委員の立候補者は居ないよう……」
後に続く言葉は、推薦する人は居ますか?だ。しかし今回は、その言葉が出るより早く私は手を挙げた。
「立候補してくれるという事でしょうか」
クラス委員が戸惑ったように言うが、私は黙って席を立ち上がると教壇の前に立ち「精一杯頑張ります。よろしく」と頭を下げた。
自ら立候補する。意味の無い長い話し合いをとっとと終わらせたかったのもあるが、今回 “ふらぐ”を回避するために、私は作戦を立てたのだ。
このままグダグダ話し合いが続けられると、実行委員が決まっていない私のクラスに西園寺が現れて、私が推薦されてしまう。
そしてそのまま、実行委員会の会場に連れ出されてしまうのだ。
西園寺は日本を牛耳ると言われる程の大企業西園寺グループの御曹司と言われている。
実際は異世界の王子なのだが。。
そんな男に推薦されるなんて、ましてや連れ立って教室を出るなんて、後がどうなるかなんて目に見えている。
(さっさと実行委員の、集まりに行くに限る)
実行委員は新谷を始め“こうりゃくキャラ”が選ばれる事になっている。
彼らの他に有象無象もいるのだけれど、顔が曖昧な上に存在感が無さすぎるので、変わっているのか。いつものメンバーなのかわかり兼ねる。
ともあれ、西園寺が登場する前に教室を離れたい私はさっさと荷物をまとめ始めた。
『失礼するよ?1-1は実行委員決まったかな?』
(はあぁ!?)
なんの予告もなくドアが開き、西園寺が教室入ってくる。彼が見る黒板に書かれた実行委員の横には私の名前。
頼むから黙っててくれよ。なんて願いは一瞬で砕かれる。
『実行委員いいんなんだね!よろしくプリンセス』
西園寺はスタスタと優雅に私の前までくる。
爽やかに笑顔を、向けられて目を逸らしたい衝動に駆られるが。浮き足立つクラスの雰囲気がそれを許さない。
(ここで無視でもしょうものなら……ああ恐ろしい)
背筋をゾゾゾっと震わせた私は精一杯の笑顔を作った。
「よろしくお願いします。先輩」
(どうせ、こう成るなら立候補なんて、しなければ良かったァァ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます