新入生歓迎会④
(やっぱり。白理人は“こうりゃくキャラ”じゃないのかな?)
BBQも終わり、今夜宿泊するロッジへ戻ってきた。
私の周りには、生徒会役員のメンバーと新谷が揃っている。
白に連れられて森を出た後、私を探していたらしい新谷に達に囲まれた。
白の姿はいつの間にか見えなくなっていて、私は迷子になっていた事を皆に伝えたのだ。
“少し”あった時間を私の捜索の為に使わせてしまったのは申し訳なく思う。けれど、そのおかげで選択肢をする事は免れた。
『無事に今回のイベントが終わって良かったよ。2人ともお疲れ様』
お疲れ様会と称し何故か、私と言ノ葉のロッジに集まったメンバーは、ぶどうジュースが入った使い捨てのプラコップを掲げる。
(西園寺がやると、ワインの様に見えるんだが…マジで)
『カンパイ』
全員揃って口に出し、コップを軽くぶつける。
西園寺が手配した軽食。スモークサーモンやマリネなどぶどうジュースとはどちらかと言うと相性の悪いものばかり。
西園寺だけ、ワイン飲んでるんじゃ無いかと疑いたくなってしまう。
(イヤイヤって言うか生物!!どこから出したし!)
厨房がある、BBQ会場ならいざ知れず。
このロッジには電気はほとんど通っていない。もちろん冷蔵庫などない。
BBQ会場からは、結構な距離離れていたはずだ。
魔法が存在する、異世界の奴のやる事にいちいち突っ込んでいたら疲れるだけ。分かっているのだが、ついつい気になってしまうのだ。
『ほし…たくさん見れるよ?』
軽食に手をつけず、ただずんでいた私の手を天田が引いた。窓辺に案内されると空には満天の星空。
紺の闇に白い絵の具を散りばめたような無数の輝きに目を奪われる。
(そう言えば、じっくり星を見たのは“天田るーと”以来だっけ……)
細すぎて星なのか塵なのか分からないほど、沢山の星を見ていると、天田が私の顔を覗き込んでるのがわかる。
(無視だ。無視。それにしても、なんかこう……)
「そばかす見たい……」
「え?」
「っあ!」
また、口に出してしまった。
なんだろう、今回の私は口がゆるゆるだ。
無かったことに出来ないかと考えるが。天田のペリドットの瞳が私を捉えて離さない。
「そば、かす??」
(イヤ。ここはチャンスだと思え)
頭の悪い事を言って、監視する必要が無いと思わせればいいのだ。
「いや、あはあはあははは。めっちゃ星が細かいから、空のそばかすだな。なんて思って」
宇宙を知る彼にとって、空のそばかすなど、頭が悪い事この上ないだろう。
天田は何かと合理的に考える男だ。呆れればいいそう思って顔を見ると、彼は腹を抱えて笑っていた。
見たことの無い天田の姿だ。
「そらの、空の、そば、そばかすって!!!ッッ」
目に涙を浮かべて笑う天田に少しイラッとする。
(そこまで、笑う事なのか?)
この反応はどう言う事なのか、経験がない反応なので戸惑うしか出来ない。
私がオロオロとしていると、目元の涙をぬぐいながら天田は小さな声で呟いた。
「僕の星もその、そばかすのひとつなのか」
微かに届いたその言葉に私は震え上がった。
自分の星をそばかすとか言われて怒らない奴はいない。コレは死亡ふらぐと言うやつなのではないか。
そう、怯えている私の耳には続く言葉は届かなかった。
「なんだ、フフ。そうか、……気持ちが、軽くなったよ。。ありがとう…」
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