第5話 最後の書き込み

 俺が最後に雷魚さんの書き込みを見たのは、15年くらい前のことだ。


「やっぱり、自分は死んでました。


 先祖の墓に行ったら、墓石に自分の名前が入っていました。ショックでした。享年15歳と書いてあったので、亡くなったのは、中学生の時でした。多分、屋上から飛び降りた生徒は自分だったんだと思います。自分の部屋を見回してみても、中学の頃のままなのです。大学に行ったはずなのに、その形跡が全くありません。大学で使ったであろうテキストが一冊もないんです。壁には今でも光GENJIのポスターが張られたままです。


 今日は、みなさんに、お礼とお別れをしたいと思います。


 今まで、私の茶番に、長年、お付き合いいただき、ありがとうございました。

 これからは陰ながら皆様のご活躍をお祈りしています」


 これは、どういうことか俺は今でもモヤモヤしている。 

 雷魚さんはいつまで生きていたのか。

 掲示板に書き込んでいたのは何者なのか。


****


 俺はまた最近、ネットで似たような投稿を読んだ。


「私は子どもの頃から霊感がありました。一番最初の記憶は赤ちゃんの頃です・・・私はベビーベッドに寝かされていて・・・」


 怪談は繰り返される。

 俺はまたその書き込みを追っている。

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