第5話とある依頼と美味しいご飯


 昨日は忙しかったので、今日は少しゆったりした予定で行きたいところだ。


 昨日作った書類を忘れないうちに生産ギルドに出しに行くといつもと違ってギルドが慌ただしい。


 こそっと窓口で提出してこよーっと…。



「あっ!ユーリさん!ちょっとよろしいですか?!」



 よ、よろしくないです!!


「は、はい。大丈夫です。書類を提出しにきただけですから…。」


 よろしくないと思っていても口に出せないのが俺…。


「登録申請書類ですね、不備もありませんのでお預かりしておきます。それとユーリさんに指名依頼が出ているのですが今日のご予定はいかがでしょうか?」


「指名依頼ですか?」


「はい、冒険者ギルドからの指名依頼なんです。今、生産ギルドに所属している「赤の手」が使える方に依頼を出していまして…。」


「なるほど、だから僕に冒険者ギルドから…。お話を聞かせていただいてもいいですか?聞いてから依頼を受けるかどうか決めたいです。」


「大丈夫です!ありがとうございます!この街には「赤の手」を使える方があまり多くないので受けていただけるよう詳しく説明させていただきます!」


 そういえばこの街にいる「赤の手」の使い手は俺を含めて6人くらいだったかな?冒険者で流れてきた人がいたらもっとかも…。

 規模の大きな街だから6人でも少ないのかもしれない…。

 とりあえず話を聞いてから、だよね。


「お願いします!」


 そう言って受付さんは説明をはじめたのを聞く体勢に入る。


「主な依頼内容としては「赤の手」による魔法植物の駆逐です。


 実は街近郊の森にキラープラントが繁殖してしまったようで…。


 運の悪いことに地下茎を伸ばすツル型のキラープラントだったので冒険者ギルドだけでは対応しきれないということで依頼がきたようです。ユーリさんがた「赤の手」使いの方には地下茎部の破壊をお願いします。

 地上部は順次依頼を受けた冒険者が焼き払うと聞いています。

 植物鑑定師からの駆逐完了の号令で依頼完了としますので詳しい終了期日が決まっておりません…。

 また、報酬はキラープラントの繁殖規模により金貨10枚に上乗せするそうです。

 依頼内容の説明は以上となります。質問はございますか?」


 最低でも金貨10枚はもらえるのは大きいな上乗せの上限もないとは太っ腹だ。

 地上部は全部取っ払ってもらえるのなら俺でも楽に除草できるかもしれない。


 ツル型のキラープラントの怖いところは地下茎を用いて繁殖するので横に広がって行くことと、植物だが肉食なため人間を含む動物たちを栄養にするということだ。


 ツルを使い生き物を絡め取り地中に引きずり込んでしまう恐ろしい植物だが肝心の地上部を焼き払ってくれるなら俺は安全なはず!


「いえ、大丈夫です!依頼を受けようと思います。説明ありがとうございました。いつから駆逐ははじまるんでしょうか?」


「本当ですか?!ありがとうございます。

 駆逐自体はすでに始まっていまして、地上部の排除をおこなっていると聞いています。

「赤の手」で地下茎の排除を行うのは早くても今日の夕方以降になるそうです。

 冒険者ギルドから使いのものがご自宅までお声がけしに行くそうなので、それをお待ちいただいく形になりますね。」


「なるほど、わかりました!」


 とりあえずしばらくは自宅待機しておけばいいってことか…。

 家の用事をやってしまおう。

 あとは駆逐に持っていく荷物を用意しないとな!ご飯とかご飯とか!


「本日はありがとうございました。」


「はい、また来ます!」


 生産ギルドを出て帰路に着く、道には外壁の門から帰ってきた傷だらけの冒険者がちらほら歩いている。


 昨日、お客さんが多かったのはキラープラントのせいだったのかもしれない。


「今日もたくさん魔法薬を出しておこうかな。」


 たくさんお客さんがきそうなので薬を作り出しておいてもいいかもしれない。

 それに駆逐に向かう時用に自分の分も作っておかなきゃな…。




「その前にお昼ご飯を食べよう!」


 今日のお昼は少しガッツリ目に作る予定。


 夕方に冒険者ギルドの人が呼びにきたらしばらくはまともなご飯が食べられないかもしれないからだ。


 ひき肉と玉ねぎを炒め少量のナンプラーと醤油で味付けする。ナンプラーの臭みが苦手なので醤油の方が多めだ。


 それを丸く盛り付けたご飯の上に盛り付ける。


 さらにそのご飯の上に刻んだレタスと刻んだホールトマトも盛り付け、最後に上から目玉焼きを乗せたら完成!


 なんちゃってタコライス!

 ちなみに目玉焼きは半熟派だ。



「久しぶりの白米!いただきます!」


 美味しい!!!

 やっぱり白米は最高だ!


 パンも美味しいんだがやっぱり白米の方が好きだ。

 まぁ、俺が作れるものがご飯のお供が多いせいもあるが…。


「余った白米はおにぎりにしよ!」


 豪華に3合もご飯を炊いたので鍋に半分以上残っている。


 おにぎりにして依頼に持っていこう!そのためのアイテムバッグだ。


 具材はリトルボアの醤油煮と甘辛鶏ひき肉と、王道で梅干しも!


 梅干しは師匠が送ってくれたとても美味しいものだ。

 このおにぎりがあれば依頼でキラープラントを駆逐するのも苦じゃないな!!

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