第10話 断絶と意地

家はいつもピリピリしていた。

リビングに僕が入ると、父は黙って出て行く。

食事はさっさと食べて僕は自分の部屋に戻る。

父は僕をいつもくだらない、ものもわからないバカだという目つきで見る。

僕は友人を、人とも思わない父に苛立ちを隠さない。だってあんたは1人じゃないか?

事実父には友人がいない。家に連れてくることを見たことがあるのは子どもの頃から一度きりだ。

父は他人が嫌いなのだ。

母親と息子二人の前でふんぞり帰り、批判しキレる。それこそが父の望む絶対的な世界だ。

僕は自分なことは我慢できた。でも一緒に居てくれる仲間を見下すのだけは我慢ならなかった。僕と父は三年口をきかなかった。

家は張り詰め、母は見ないふりをし、

弟は僕は結婚したら明るい家庭を作るよ、とぽそりと言った。でも、ごめん。ここだけは譲れなかったんだ。

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木漏れ日 ~アダルトチルドレンでカサンドラな男の物語~ @komorebikokoro

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