新たな夜
「新しい住人、山本さん!そして多華子さんに乾杯!」
音頭をとるのは売れない作家、川端。すっかり多華子を認めているようだ。
ズーッ、ズズーッ、
「やっぱり蕎麦は最高だ!江戸っ娘は蕎麦に限る!」
「ふっ、刑事のころを思い出すぜ」
「かっこつけんじゃないよ!」
はっはっはっはっはっは
「山本さん、本当にありがとうございます」
「いえいえ」
「本当だ。誰かさんとは違ってちゃんと蕎麦がある!しかもこーんなに!」
「はいはい、すみませんでした」
はっはっはっはっはっは
「それではここで一曲!入居祝いの歌!」
パチパチパチパチ!
いよっ!大家さんも喜んでるぞ!
あんた!今の大家さんは多華子さんだろ!
二人とも喜んでるぞ!
夜空に浮かぶ満月の下で
「山本さん、本当にありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ今日からお願いします。」
「早速お部屋にご案内しますね。少しお話も良いですか?」
「はい」
ようこそ、新たな居場所「ゆーかり荘」へ。
ORDINARY 裏街の月 流 裕 @1098944
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