第18話 フランクフルト学派

 フランクフルト学派と聞いてもご存じの方は少ないのではないかと思いますが、新マルクス主義と言うべき思想です。このフランクフルト学派の主張は、様々な分野に強い影響を与えています。しかし、このフランクフルト学派について調べたところ、フランクフルト学派について書かれた記事が非常に少なく、見つかっても専門用語の羅列の内容でしたので、簡単に要約してみました。

 このフランクフルト学派は、フランクフルト大学のフェリクス・ヴァイルが1922年夏、ドイツ・テューリンゲン州のイルメナウで第1回マルクス主義研究集会が開催されたことに始まります。フェリクス・ヴァイルは新しい形のマルクス主義を模索するためのフランクフルト社会研究所を設置しました。

 社会研究所に所属した学者たちはマルクス・レーニン主義者であり、なぜ共産革命が世界に広がらないかを分析した結果、共産主義の素晴らしさが広がらないのは、宗教、伝統、常識によって一般人の思考ががんじがらめになっているからだとの結論ににりました。

 このフランクフルト学派の思想について調べましたが、難解な話であるだけでなく、調べることにどれだけの意味があるのかと思う内容でした。一応は簡単に触れますが、フランクフルト学派は批判理論が陽名ですが、マルクスとフロイトのそれぞれの議論が理論的に「節合」した理論とありました。

 この「節合」とは何かと思って調べたところ、アーティキュレーションの訳語であり、辞書にも掲載されていない言葉です。アーティキュレーションは、1970年代にはマルクス主義の用語で、異なった複数の生産様式が1つの社会や社会編成の中に共存していることを意味とありましたが、80年代に入ってからは生産様式を分析の中心カテゴリーとする伝統的なマルクス主義の経済決定論を批判的に乗り越える概念として用いられるようになりました。

 そして更に生産様式の分野だけではなく、伝統的なマルクス主義の経済決定論を批判的に乗り越える概念として用いられるようになりました。この場合にはマルクス主義にフロイトの理論を統合したと言った意味になると思いますが、意味の定義すら曖昧な専門用語をさりげなく使用している時点で読む気をなくしました。

 これは仏教書を読んでいて何度も経験したことですが、難解な専門用語を並べ、如何にも高尚な話をしているようでも専門用語を一つずつ解読しながら読んで分かったことは大して意味があるとも思えない内容であることが大半でした。このフランクフルト学派の思想も現実を無視した虚構の世界で構築された緻密な理論体系であることから何の役にも立たないのではないかと思います。

 その理由はマルクス主義自体が破綻した理論であることから、マルクス主義の根本的な間違いを認めない限り、どんな理論を融合させたとしても破綻した理論となることは避けられませんが、フランクフルト学派の思想は資本主義社会を社会主義社会に移行させるための理論です。

 このフランクフルト学派について調べていて詐欺師の反省を思い出しました。詐欺師や泥棒が警察に逮捕され、刑務所に収容されて反省するのは、どうして失敗したかの反省であり、罪を犯したことの反省ではないと聞いたことがあります。マルクスが予言したように資本主義が発展しても革命は起きませんでした。

 常識的に考えるならば、革命が起きないのはマルクス主義が間違ってるからではないかと考えるのではないかと考えます。若い頃にマルクス主義に傾倒しながらも年齢を重ねてマスクス主義の間違いに気付き、保守に転向された方も少なくないようですが、革命が起きない理由を別に求める人が多いようです。

 これは詐欺師や泥棒の反省に似ています。根本的な原因を認めることなく、手段の間違いを反省することにおいてはどちらも同じです。詐欺師や泥棒の場合には、目的は犯罪行為であり、フランクフルト学派の場合には資本主義体制の打倒となります。       

 マルクス主義者からするならば、犯罪行為と革命を一緒にすべきではないと言われるかと思いますが、全ての前提が革命を起こさなければならないとの前提になっていることに疑問を感じます。現実に資本主義体制は発展しましたが、社会主義体制は失敗に終わったと言えるのにどうして社会主義体制を目指す必要があるのかの説明もありません。そのため、フランクフルト学派の人々は、不成仏霊に翻弄されて社会を混乱に陥れようとしているのではないかとの疑いを持つようになりました。

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