泡沫が春に囁く

ユニーグ

春に嘆く

 春になると、あのことを思い出す。煌めいた記憶が、頭の中で木霊する。

 昔は、オカルトと聞くだけで心が踊ったものだ。だが、今は違う。ワクワクはするが、それだけだ。

 耳鳴りがする。あのときから自分に刻まれた言葉が今も俺を後悔させる。

 言葉は呪いだ。言霊という言葉があるように、いつまでもいつまでもこびりついてくる。

 あの日から、随分と時が経った。

 俺は今でも、君のことを忘れられないままでいる。その度に涙を流し、後悔する。

 随分と弱くなったものだ。彼女が知ったら、笑うかもしれない。

 運命の悪戯という言葉があるように、あの日の出来事は俺に……いや、俺たちに大きな落とし物を残していった。

 言葉が、浮かんでは消える。まるで泡のようだ。その言葉は、俺に囁くように、消えていく。

 外の桜は揺らめいて、空の碧さは輝いて……でもその景色は、俺には眩しすぎて。

 春の景色を見下ろして、今日も俺は嘆いている。

 泡沫に消えた、君を思って……。

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泡沫が春に囁く ユニーグ @2004724

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