フライングモンキー
やはり、ちゃんと調べれば、偉い人がちゃんと名前を付けて定義してくれているものです。
フライングモンキー。
私が脱出マニュアルの方で“同罪の傍観者”と言うセンスのない呼び方をしていた、いわば、自己愛性PDの“取り巻き”の事です。
ゲンさんのような人達を語る上で、この“取り巻き”フライングモンキーは、欠かせない存在となってきます。
徹頭徹尾、ターゲットに“勝つ”……相手を踏みつけにした状態を永久に維持する事が本懐である彼らにとって、組織やコミュニティと言った場を“必勝”のものにする事に余念がありません。
と、言うよりは、必勝の場で無ければゲンさんのような人達は活性化出来ません。
こう言うのも下らない表現ですが、基本的に、2対1以上の、自分が少数側となった議論において“勝ち目”はまずありません。
そのメカニズムは、もはや言わずもがな、でしょう。
私がブラック前職で、何一つ反論を許されず、子供の退院日の早退を阻止され、無意味な眼鏡の購入など馬鹿げた要求を呑まざるを得なかったのは、閉ざされた空間の中でほぼ全ての他人が敵だったからです。
そんな空間では、多数側が白と言えば黒でも白になります。
前回、前職で受けた被害のリストにあった「LINEの着信音を変えろと強要してきた事務員」しかり「すれ違い様に威嚇してきた事務員」しかり。
どちらも、私からすれば、ろくに話した事すらない、影の薄い存在でした。
それがまるで、私の悪い部分全てを知り尽くしたような訳知り顔で、最初から険のある態度で絡んでくるのです。
ある意味で“勝つ”事だけに最適化された自己愛性PDの思考は、恫喝による支配と共に、このフライングモンキーで周囲を固める事に執着します。
ブラック前職で言えば、その筆頭はリーダーの片割れであるダイさんでしょう。
私は、心情だけで言えば、主犯のタケさんよりも彼の方が圧倒的に嫌いでした。
フライングモンキーとは、言わば、自分の無い人・価値判断を他人に依存しないと何も出来ない人が不当に威張るだけの、下らない欲望によって生まれるものだと考えます。
そんな彼を象徴するエピソードがひとつ。
ある時、タケさんに「もう話し掛けてくるな」と言われました。
これで数日は煩わされずに済む! と内心喜びつつ、その通りにしました。
そして、別件でダイさんに「自分の何が悪いのかタケに聞いてこい」と言われたので「もう話し掛けてくるなと言われたので無理です」と答えたら、
「それは、そう言う事じゃないだろう!」
との事。
そう言う事ではない、とはどういう事でしょう。
話し掛けてくるな、と言う言葉にはそれ以上の意味もそれ以下の意味もなく、額面通りに受け取られる可能性、責任を負うべきはその発言者の方です。
実際、自己愛性PDの無視だとか拒絶と言うのは長続きせず、口出しをせずには居られないので、言葉が本心で無いのは確かでしょう。
しかし、それを忖度する義務は、こちらには全くありません。
もう話し掛けずに済むなんて、非常に嬉しい相手です。向こうからそう言ってくれたのなら、ラッキーでしかありません。
こっちは、主犯にもフライングモンキーにも、心底関わりたく無いのであって、そこの前提からして、そもそも食い違っています。
これが、自己愛性PDの真意を知った“風”でいる、フライングモンキーの本質です。
敵として最も“邪魔”で厄介だったのは圧倒的にタケさんではありますが、彼については、成育環境等、想像するしかありませんが、ある意味で「自力ではどうする事も出来なかった」特質が原因であるはずです。
(だからと言って同情も、歩み寄る気もありませんし、万一再会したとすれば、次は絶対敵です)
しかし、ダイさんの場合は下らない承認欲求で他人の背中から、分不相応な尊大さで私を殺しかけたのです。心情的には、こちらの方が軽蔑・憎悪に値します。
そして、いくら、人は声の大きい他人に流されやすいものだとしても、自己愛性PDの凶行に笑顔で便乗できる人間ばかりではありません。
労せず手に入れたい承認欲求と、自己の希薄さ。
フライングモンキーにもまた、自己愛性PDや、それに類する素養があるのだと考えます。
先述の、子供の退院を迎えに行く事を妨害したのもこの人です。
また前回、リストアップした前職での被害の中に「通勤中に信号無視をしたと(又聞きで)言い掛かりを付け、自白を強要」と言うものがあったと思います。
当然、私は断固否定しましたし、最後まで自白を拒否しました。
そして最後に彼が言い放った理屈が、
「自分では気付いていないだけなんだろう」
つまりは、そう言う事です。
もはや彼の認識では、私が信号無視をしたと言うのは動かない“真実”であり、それを暴くためであれば多少の創作やこじつけは仕方がない、と本気で信じているようです。
うっかり、と言う事もまずあり得ません。
と言うのも当時の通勤ルートは死角に警察が張り込んでいる事の多いポイントであり、そのうっかりさえも無いように神経を使いながら運転していたからです。
私から見てダイさんは、元々自分がなく他人の言葉に左右されがちだったとは言え、このように能動的に冤罪を作り出すような人物ではありませんでした。
ブラック職場と言う密閉空間での独自の秩序に長く漬かった結果、自己愛性PDからフライングモンキーへと、その性質は“伝染”するのだと思います。
それは、ダイさんへその告発を行った人にも言えると思います。
私は、彼にまで憎まれていたとは夢にも思っていなかったので、その事実にはかなり心を折られました。
話は現職に戻ります。
前の話題でもちらりと触れました通り、ゲンさんもまた、フライングモンキーの抱き込みに余念がありません。
どんなまともな組織であっても、フライングモンキーの出現は防げないと考えます。
実際、私への陰口が漏れ聞こえてきた事も一度や二度ではありません。
また、私の凡ミスを逐一所属長へと必ず報告する行為もまた、フライングモンキー作りの一環でしょう。
ゲンさんのような人達の“手駒”であるフライングモンキーですが、それは役職者のような目上であっても例外ではありません。
ただし、成果は芳しくないようです。
所属長は前に紹介したように、ゲンさんの言葉をまともに受け取りません。
表面上は仲が良くても、いざと言う時に自分に刃向かう・明らかに上司として見下されている相手に同調する筋合いはありません。
そして、気性が荒くて何かと怒号の絶えないこの所属長は、ゲンさんにはほぼノータッチです。
理由は色々考えられますが、恐らく見放されたのだろうと推測します。
また、私がゲンさんのフライングモンキー呼ばわりした人物についても、別の場面では、ゲンさんへの陰口を叩く始末。
彼には本当の味方が誰一人存在しないので、陰口を叩いたとしても、一過性の雑談どまりにしかならず、私には全くダメージがありません。
前にも述べました通り、彼が所属長以上のステージで私を糾弾するにしても、仕事への知識不足から理論武装がままなりませんし、対する私は、彼が親切にもくれた“数多くのルール違反”と言うカードを多数持っています。
そして、ここでエッセイの最初に私が挙げた「組織の自浄能力」が重要になってきます。
酷薄な言い方になりますが、会社をブラックにする経営者には、所詮“知性”も“実力”もありません。
悪意から従業員を弾圧しているのではなく、それ以外に知らないもしくは無力である事を転嫁しなければならない、弱さから来ています。
そんな環境下では上も下も、フライングモンキーが作り放題と言う事です。
現職にはその余地が無く、現実にあるのは「本能的な衝動に従って周囲を抱き込もうとし、失敗し続ける」ゲンさんの姿だけです。
逆に言えば、ここまでやらかして致命的には嫌われておらず、談笑ができている辺りは世渡りが上手いのだろうと思います。
このように、フライングモンキーの存在なしに自己愛性PDは活性化出来ません。
フライングモンキーさえ居なければ、この「緩やかな殺人」の被害者が生み出される事がない。
だから私は、自己愛性PD本人よりも、フライングモンキーが最も罪深いと考えます。
身も蓋もない言い方になりますが、自己愛性PDが活性化出来ないような、真っ当な組織に身を置くしかありません。
ただ、この中でさえも、相手の自分ルールによる「言った者勝ち」を断固はね除ける勇気と努力が必要になってしまう。
それが、彼らに目を付けられた者の現実です。
不条理とは言え、通り魔に命乞いをした所で凶行を止めてくれる道理はありません。
諦めて交戦するか、逃げるしかないのです。
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