第106話 一万世代を経て

 20万年前に人類は誕生したらしい。

 そして飢餓に対応できた人間だけが生き延び、その遺伝子を一万世代も持ち続けた子孫が飽食の現代に〈生活悪習慣病〉として苦しむのも皮肉な運命である。

○飢餓遺伝子を一万世代も受け継ぎて飽食に病む現代の皮肉


▼食事にとどまらず、コミュニケーションにおいても問題を抱えている。

 かつて対面での会話しかなかった人類は、自らが作り出した文明社会に対応できず逆にうろたえている。

○人類の一万世代にくらぶれば十世代に足るか文明社会は


▼私にとっての情報化元年。パソコンを電話回線にモデム接続しインターネットを使い始めたのは1994年のことだ。

「ピロピロ」という音で接続時間を気にしながらの時代…。

 あらかじめメールを打ち終えてからモデムを接続し、送信し終えたら回線を即切断する。

 万一の切り忘れにそなえて自動的に接続が終了するよう設定したことも懐かしい。


▼それが今や「老いも若きもスマホ」の時代だ。

 なかには(デジタル化したライフスタイルが原因で)心の不調を訴えるものも多い。

 一日中スマホを手放せず、常にSNSでやり取りしていないと不安になるらしい。

 アンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』を読みながら気づいた。

「IT技術の進歩に人間の精神的変化が追いついていけないのだ」と。


▼コロナ禍で出張はならず、リモート会議に初参加した。

 画面の隅に映る自分の顔ばかり気になる。

○ZOOMなるリモート会議で気になるは画面の下の小窓のアホ面


▼次第に慣れ、パワーポイントで作ったパネルを前にマイク付きのヘッドセットで話していると、テレビに出演しているようでテンションが上がる。

○ZOOMでのリモート会議に嵌まり込みパネルづくりやヘッドセットも


(20210510)

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