第103話 メタボ健診
「特定保健指導に心血管危険因子の改善効果は見られない」という日本発の論文をアメリカの有名な医学雑誌(JAMA Intern Med.)で見つけた。
とかく前例踏襲になりがちで、見直しなどせずに継続したがる日本では珍しい研究だ。
▼2013~2018年に特定健診を受けた40~74歳の男性7万4693人を対象に、肥満と心血管リスクに対する特定保健指導と健康転帰の関連を検討。
特定保健指導で、1年後の(体重・BMI・腹囲)減少は認められたが、関連性は経時的に弱くなり、3~4年後には有意性がなくなった。
また1~4年後の(収縮期血圧・拡張期血圧・HbA1c・LDLコレステロール)値の変化との関連性には科学的根拠が認められない。
▼特定健診、いわゆる「メタボ健診」が始まったのは平成20年(2008)だから一昔前になる。
「早期予防・早期発見・早期治療」という御題目には誰も異を唱えられない。
…が受診率(2018年度)は54%、保健指導実施率は23%と、それぞれ想定(70%以上・45%以上)より低い。
▼さらにコロナ禍のおり、実施率・受講率の低下が危惧されている。
昨年の緊急事態宣言を受け、厚生労働省は少なくとも宣言の期間中は特定健診の実施を控えるよう通知した。
住民らが集会所などに集まるメタボ健診は「3密」に当たり、実施は望ましくないと判断。
このほかに75歳以上の高齢者健診も実施しないよう求めた。
健診を行う医療機関の負担を減らす狙いもあるらしい。
▼年間約160億円という費用対効果も今まで実証されて来なかった。
コロナ禍でメタボ健診は著減するはずだ。
「特定保健指導をしてもしなくても、心血管危険因子の改善に差はなかった」と数年後の再調査で明らかになるかも…。
○養生は自ら律するものなればメタボ健診も潮時なるらむ
(20210419)
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