第94話 介護医療院

 医師法は昭和23年7月30日に法律第201号として公布された。

 第一条は「医師は、医療及び保健指導を掌(つかさど)ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」とうたわれる。

 当時は生後半年だった私も今や73歳の爺医(じじい)だ。

○医師法と同い年なる爺医われ第一条で地域まもらむ


▼高齢社会にコロナ禍が追い打ちをかける日本の医師不足は深刻になるだろう。

 医師免許証を授かった身としては、おいそれと隠居などしていられない。

 …とは言うものの(前線は現役バリバリの専門医にお願いして)爺医は殿(しんがり)を務めることにする。

「年寄りの冷や水」と笑われぬよう。


▼介護老人保健施設は(在宅復帰を支援する)中間施設であったはずが、入所の長期化で「第二特養」と皮肉られるようになった。

「在宅復帰!」は御題目に過ぎないのが地方の現実かも…。

 しかし、老健(医療・介護)と特養(介護・住まい)では役割が違う。

 そのため老健には常勤医師が置かれ、更にリハビリ部門も設置されている。


▼2017年の介護保険法改正で〈介護医療院〉が創設された。

『介護医療院公式サイト』(https://kaigoiryouin. mhlw.go.jp/)

「老健と特養のハイブリッド」とか「医療・介護付きの終の棲家」とも聞く。


▼コロナ禍の一年を老健施設長として振り返れば…。

 救急搬送を望まない家族が増えた結果(肺炎や帯状疱疹・蜂窩織炎・尿路感染症などを施設で治療することになり)今や介護医療院長もどきだ。

 負担が増えた副施設長ら看護師さんには申し訳ないと思いつつ、ナイチンゲール精神に甘えてしまう爺医である。

○ありがたきナイチンゲール精神に支へられコロナ禍を乗り切らむと励む


(20210215)

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