第87話 ときをただよふ
―『吾輩は〈杖〉アルヨ。最近、御主人が妙に張り切りだした。〈東奥文学賞〉の応募要項を見つけてからだと思う。
○ありがたき受賞の報かな医者つづけ歌詠みもの書き百寿めざさむ
「結果は二の次」とは言っても(万一に備えて)受賞スピーチで御主人が詠えるように、不肖〈杖〉は一首だけ用意したアルヨ』―。
▼夏目漱石『吾輩は猫である』にオマージュをささげた駄作の一部だ。
台湾生まれのパソコン〈杖〉は、御主人の自慢話や愚痴を聞かされながらもシニカルに観察し続ける。
残念ながら〈杖〉が準備した短歌を披露する機会は来なかった。
○第六回東奥文学賞の落選に参加証つくり次回へつなげむ
▼選に漏れたとはいえ、プリントされた原稿用紙100枚は存在感がある。
…が冊子を作るにはボリュームが足りない。
いたずら心で(これまで書きためたものを加え)取りあえず電子出版を…。
自分でアップすれば無料だというから驚く。
○キンドルの電子出版を準備して値はとりあえず百円としぬ
▼『ときをただよふ』の目次を御覧あれ。
前書きに代えて―我が『明鏡』草/ときをただよふ(シンクロニシティ・施設鳥は詠う・医師脳の杖・吾輩は杖である・エイチ病院は永遠に・遥かなるバグダッド・がんばっぺし高田病院・懐かしき財当仮設住宅・ウメガサイタ・佞武多つれづれ・情報化元年・でぃめんしあ)/医療で震災復興を/コロナ禍に愚考す/後書きに代えて―我が『残日録』
▼昔はパソコンを買うたびデータも入れ替えした。
今や日々のデータがクラウドに自動保存される便利さ。
だが医師脳は追いつけなくなる。
いずれはパソコンを操作できなくなり、クラウドに保存した文章の存在すら忘れてしまうのだろう。
○ぼけぬまに棚卸せむとクラウドの駄文ならべて『ときをただよふ』
(20201228)
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