第85話 言論の府

 2020流行語大賞は『三密』と順当。

 コロナ禍の折、ここのタイトルに使った言葉もいくつか並ぶ。

 流行〈語〉ではないが繰り返し聞かされたのは…。

『お答を差し控えさせていただきます』


▼立命館大学の産業社会学部准教授・桜井啓太氏はツイートする。

「聞かれても答えない国家。いつからこんなに国会は答えなくても許される場所になったのか、と思い作ってみた。やはりここ数年の答えの少なさは異常…」と。


▼国会会議録検索システムで、1970年以降の『お答を差し控える』という答弁数を調べたそうだ。

 グラフを見ると、直近5年は毎年300件を超えており、とくに安倍政権下の2017~19年は毎年500件超と突出している。

○国会の「回答を控えたい」とふ常套句、何処に消えしや「言論の府」は


▼国会会議録検索システムのホーム頁(https://kokkai.ndl.go.jp)には「第1回国会(昭和22年5月)からの本会議・委員会の会議録をテキスト又は画像で閲覧できます」とある。


▼ところが昨今は「回答は控えさせていただきます」という「黙秘」のごとき慇懃(いんぎん)無礼が繰り返される。

「壊れたレコードのような…」と揶揄(やゆ)する向きもある。


▼面白半分で『壊れたレコード』をキーワードに検索したところ、結果は…。

「該当会議録:20件・該当箇所:24、該当会議録のうち1‐20件を表示」と出た。

 画面上の〈該当箇所を展開〉のアイコンをクリックしたら議事録も読める。

○国会の会議録検索システムを調べて唖然。常套句の多さに


▼憲法第41条「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と定められている。

 そのテレビ中継を見ていたが、あまりのひどさに一首。

○国会で過ちを交(かざ)る政治家の厚顔無恥にテレビ切るなり


(20201213)

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